モッキンバード

お気に入りのバーができた。

といってもまだ一度しか行ったことはないんだけれど。

先週の金曜日のことでした。

ぼくは友達とひさびさに町へ出てお酒を飲んだ。

いつも居酒屋ばかり行ってるんだけど、その日はちょっと勇気を出してみようってことで、帰り際、三軒目、小さなビルの二階にあるバーに入ってみた。

そこは狭くて席も少なくてお洒落な感じのまさにバー!って感じだった。だから少し恐縮した。

テーブル席がふたつあって、空いている方に通された。隣りのテーブルは若い男女五六人のグループで、熱く恋愛論を語り合ってるみたいだった。

ぼくたちはついにバーに来たぞ、ってそれだけでほとんど満足して、とりあえず気まぐれにカクテルを頼んでみた。バーテンダーがすごいイケメンで、背は高いし目はぱっちりしてて可愛いし、よく通る奇麗な声、それにしゃべりも面白かった。男として、人間として、完全に負けてるな、なんてことは不思議と思わなかった。だって彼はバーテンダーなのだから。バーテンダーは恰好よければよいほどよいものだ。それでひとつくらい抜けてるところがあるとなおよい。

ちなみに彼の年齢はぼくたちの少し上くらいだった。だから話し易かった。途中、カウンター席に常連らしき大柄の女の人が来たけれど、その人もユーモアにあふれているひとで、ぼくの頼んだカクテルの材料について、ぼくが知るはずもないのに尋ねてきたりして、とにかくぼくたちはその店に入ったことは、なんて幸運だったろうと思った。

時間がなかったから、二杯飲んだらもうお店を出ちゃったけど、また来ようぜ、ってそんな話を駅までの道中しきりにした。

金曜日が来たら、また行きたいな。

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