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Mist
2022年9月4日 13:25
私はいつだってはじまりが怖いんです。ランドセルに背負われて歩いた桜の路も、いつか夕暮れの帰り路に変わってしまうし、暗闇に咲いた線香花火も、いつか淋しい静寂に戻ってしまう。それに、出逢ったはずの人たちも、みんな、いつか、思い出に……。空っぽだった私の心を、あたたかく埋めていった優しいものたちが、時に流されて失われてしまう。それがあまりに自然で、だからこそ抗えず、残酷で、めまいがする。朝陽は当た