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月というのは


月と云うのは美しい


蟹がハサミをひろげて
月一面を占領して住むという


うさぎが跳ねているという

餅をついているのか
時をついているのか

女性の横顔ともいう


ファンデーションがうっすらと
白く輝き
火が燃えているような妖しさ
その鼻筋のとおった美しさに
僕は涙する


情熱の炎が静かの海にひろがり
ひかえめに静かに燃える
月には何かがあるのだ
燃えている何かが


時々まるで申し訳なく
光る灯火ともしび
僕の心のローソクのちっぽけな芯が
或いは燃えたものか


映しだしてくれる
そのおおらかさに涙する
善いも悪いもなく
ただ映しだしてくれる

明鏡の、夜空にかかるようで


月と云うのはじつに美しい


歩けばついてくる、と
幼いころ祖母に教わる
とまると月もとまる。。不思議


海に火が燃えているから

物静かなだけではない
そこに情熱が燃えている
常によりそう
君によりそう
情熱が
静かに燃える魂が
月にはきっとあるのだ


我らの住む地球を飛び出して
悠久の時が過ぎても


月にはきっと火が燃えているのだ





2022年の月食は火が燃えているようでした


月も火も四画の筆順で書く


きっともとはひとつにちがいない



学生さんの展示会にて
お気に入りの絵です


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