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「中富良野町を世の中に販売したい」ダイレクトマーケティングとカウンセリングアプローチで幸せのあふれる農業経営をされる寺坂農園株式会社代表 寺坂祐一さん

中富良野町でメロン農家をされている寺坂農園株式会社代表、寺坂祐一社長にインタビューをさせていただく機会をいただきました!

寺坂祐一さん プロフィール
◾️経歴 富良野市立農業高等学校 卒業
◾️職業 農業
◾️出身地 中富良野町
◾️活動地域 ??

Q.今はどんな活動をされていますか?

寺坂祐一さん(以下 寺坂 敬称略) メロン農家を中富良野町でやっております。もともと僕は中富良野町の農家の長男で生まれて、ある意味、親にだまされるような形で農家になったのですが笑、始めたころは多額の借金があることがわかったり、なかなか大変なところからのスタートでしたね。様々な試行錯誤をしましたが、なかなか上手く行かず。神田昌典さんのダイレクトマーケティングと出会ったことがきっかけで世界が変わりました。農業を始めた当時は、農協へ出荷するしかなかったので、自分達の商品の値段も自分で決められないし、どんなお客様に届いているのかもわからない状態でした。ダイレクトマーケティングで自分たちの製品をお客様に直接お届けし、感動が売上を増やしていくということを学んだことで、お客様とつながることを模索し、結果として多くの感動を頂くようになりました。
初めは自分たちのメロンだけを販売していましたが、お客様から「アスパラはないのか」とか声を頂くようになって、中富良野の地域へ貢献したい想いもあって、アスパラやとうもろこし、じゃがいもや玉ねぎ、にんじん、雪下キャベツなど、契約した農家さんから農産物を提供していただく形で、全国に中富良野町の魅力を直販や通販の形でお届けするということをしています。

私たちはお客様と直接つながるということを大切にしていて、全てお客様を意識して発信をしています。お蔭様で今では年間1億3000万円ほどの売り上げを上げることができ、年々成長することができています。

僕が大事にしていることは、僕たちはメロンを売っているのではなくて、メロンにまつわるストーリーを販売しているということ。28年間農業をやってきた中での経験だとか、マイナス10度の中でハウス栽培をしていることだとか、どんな品種を育てているのかとか、なかなか知らないじゃないですか。そういった背景をお伝えすることで、お客様に感動をお伝えするということをしています。

今は行政からも講演をしてほしいと依頼をいただくようになりました。出る杭は打たれますが、突出した杭はすがってくるということを経験しています笑。

Q.これからの夢やビジョンはありますか?


寺坂 ある意味、ある程度のお金を稼ぐという一つの「成功」を得ることができて感じたことは、お金では幸せが得られるわけではないし、有名になると孤立するということも経験しています。だからこそ、改めて思うのが人の幸せって人の関わり合いの中で生まれてくると思うのですね。
だからこそ、皆が幸せになるという未来を描きたいと思っていて、僕の役割は中富良野を盛り上げることにあると考えています。うちの企業理念が、「富良野の野菜のブランド価値をどこまでも高めて、世の中に売っていく」というもので、中富良野の野菜を全国に販売することで、もっと輝かせたいと考えています。三方よしのイメージで、お客様も喜んでいただけるし、農家さんも自分たちの仕事を誇りに思えるし、僕たちも存在意義を感じることができる。そんな風に皆が幸せになっていくことを考えています。

富良野の名前を使っているとか、そのように批判を受ける時もありますが、実際に富良野を一番売っているのは寺坂農園さんだよね、と言われるぐらい常にそう在りたいと考えています。

※冬の中富良野町の景色 寺坂社長のフェイスブックには中富良野町の様子や記事や動画が投稿されます。

Q.ビジョンに向かって、日々どんな実践をされていますか?


寺坂 そうですね。毎日、ツイッターやフェイスブックなどSNSに記事や動画の投稿をしています。こちらの書きたいことを書くだけではなくて、見た人が喜んでもらえること、徹底して分かち合うということを意識しています。
メロンや中富良野の農産物を購入したいお客様のために始めたこの取り組みですが、そのなかで僕たちの農園で行っている技術も動画でご紹介したりしているのですが、面白かったのは一部の同業の方から、「とても勉強になります」とか「励みになります」なんていう声ももらったりしています。こういった声をもらえることってすごく嬉しいんですよね。

今はスマートホンを使って、僕の場合は中富良野にいながら全国どこでもゆるく繋がることができて、心を通い合わせられるというのは、とても素晴らしい時代だと感じています。

Q.今の活動の変化のきっかけはどこにあるのでしょうか?

寺坂 ダイレクトマーケティングと出会ったことはとても大きいですね。経営がまだ大変だったころ神田昌典さんの本と出会って、とても衝撃を受けたのです。お客様と直接つながって関係をつくっていくというダイレクトマーケティングの考え方を通して、自分が働きかけることで、世界が変わっていくことを経験しています。
農業とダイレクトマーケティングはとても相性がよくて、まだ誰も手をつけていないブルーオーシャンです。ただ、農業の世界はもともとの慣習も強いし、守られている業界でもあるので、こういった活動をよく思わない方もいらっしゃいます。それのせいでやっかみを受けたりだとか、批判されるときもあったりしました。しかし、お客様の想いに応えられることや、協力を頂ける農家さんの声が励みになって、ここまでやれてこれています。

特に大変だったのが一昨年に起きたうちのメロン農園に除草剤がまかれてしまった事件です。当時は本当に絶望に打ちのめされましたが、その時の想いをSNSに投稿し、クラウドファンディングで農園の回復のための援助を求めました。
 お陰様で全国のお客様からの援助を頂き、それまで以上に多くの方に寺坂農園のことを知っていただく機会も得ることができました。この逆境を超えることで、ダイレクトマーケティングのすごさもそうだし、人の愛を感じることができて、人生は捨てたものじゃないんだと感じることができましたよ。

Q.これだけ逆境があるなかでも情熱を保ち続けられる理由はどこにあるのでしょうか?

寺坂 神田さんのダイレクトマーケティングと出会って、最初は自分の中にある妬みとか、見てろよ!というようなネガティブな力も使って頑張っていました。業績はよい方向に向かって年間3000万ほどを売り上げるようになりましたが、段々と両親との関係がおかしくなっていきました。特に父にとっては面白くないところもあったのだと思います。地域との関係もおかしくなっていきましたし、地域との関係を取り持つために、役職も引き受けるようになれば、家族と過ごせる時間もなくなるので夫婦喧嘩も増えていく。常に自分の中で戦うスイッチが入っていた状態でした。

その頃、本田健さんの10時間の講演の音声を何度も何度も聞いていて、『親と仲良くしないとお金持ちになれない』というフレーズがあって、それが頭から離れませんでした。このままでは大変なことになるという想いだけがありましたね。
そこで、自分の内面と向き合うために池内秀行さんを紹介していただき、彼のカウンセリングのアプローチを受けることになったのです。これを17年続けています。当初は何で俺が変わらなくちゃいけないんだとか、すごかったと思います笑。
 先生のすごいところは全て本人に解決をさせることでまったく依存させないんですね。
課題に出会ったとき、自分が向き合って、行動をする。自己理解を通して、受容し、成長する。自分で気づくことを通して課題を越えられたとき、先生は「あなたがやったことですよ」と言ってくれるのです。このサイクルを繰り返すお蔭で、ここまで業績が上がっていく中でも沢山の出来事がありましたが、その都度に超えていくことができました。むしろ自分と向き合わないと課題は形を変えて襲ってくることを感じています。

それまで中富良野のために地域の役職とかを積極的に引き受けてきました。
でもそうするとメロン農家は朝が早いので、早朝から仕事をして、仕事が終わったら夜は会合に参加するようになって、むしろ夜のほうが忙しいぐらいでした。だけど、そのように地域の中で無理して頑張り続けた結果、体調を壊して3年前に鬱になってしまったんです。
自分が鬱になったとき、17年ともに頑張ってきた池内さんから、「寺坂さん、申し訳ない。我々は敗北しました。我々が思った以上に向こうの力が上だった」と言われました。そして、中富良野から引っ越すこと、逃げることを勧められました。その時は驚きましたけど、とても嬉しかったことを覚えています。これが、初めて先生からアドバイスをもらったぐらいだったかな。でも、今、そのお蔭で地域の役職からも離れることもできて、夜も解放されて、非常に自由な時間を過ごせるようになりました。
僕はメロン農家の長男で生まれたのですが、長男の人って、なんでも自分がやらなくてはいけないって思いやすい人は多いと思うんですよね。僕も、そんな「長男プログラム」が勝手に動き出して、自分が何でもやらなきゃと背負ってしまっていたのですが、そんな僕にとって、逃げてもいいんだという選択肢を与えてくれたことは本当に人生が開けたと思っています。

そして、一昨年の除草剤事件ではクラウドファンディングを通して、日本で一番愛されているということを実感しましたし、自分の力で出来事を変えられるという成功体験を積んで、『人生は大丈夫なんだ』ということを気づくことができました。それまで社会は敵だと思っていましたが、今は何をやったら楽しいかを自然に考えることができるようになっています。

そういった「ねばならない」を手放して、自分が自分を守ってあげられる安心感を持てると、自然と自分の中にある戦うキャラの自分も、「自分となら安心だ」と統合されていくのですね。そうすると幸せを感じられるし、選択することができる。
 今は鬱になってよかったと心から思っています

こういったカウンセリングアプローチを用いた経営をされている農家さんはいないと思うので、次に出版する本ではこういったことをまとめたいと思い、現在、執筆しています。

Q.最後に座右の銘を教えてください

寺坂 「迷ったら進め!」ですね。

前進だけじゃなく、実は引くことが難しい時があります。
進むことが覚悟。時には逃げることもあり。360に進める覚悟をもつこと。
そのためには自分の中のねばならないを手放せることだと考えています。

記者 貴重なお話をありがとうございました。

編集後記 人生の中でお客様の心とつながるダイレクトマーケティングと自分と対話をするカウンセリングアプローチを持って、世界に自ら働きかけることで、寺坂社長のお話を通して、同じ長男としてとても感じることがありました。前に進むばかりではなく、時には助けを求めることも、逃げることも受けいれること。このメッセージは今の時代に生きる多くのチャレンジをしている人にとって助けになる言葉ではないかと感じました。

記者 ミッションリンク 堀江直樹

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


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