音楽とそれが与える影響力と
「ドーン!!」
身体中に電流が走った。
それは忘れもしない1990年、中学2年生の冬休み。
何気なくぼーっとTVでアニメの映画
を見ていたら起きた運命的な出会い。
私にとって予期せぬとてつもない大きな衝撃に
頭がクラクラする。
空に向かってグーンと伸びる「途中までのレール」。
その上を煙を吐き出しながら汽車は徐々にスピード
を上げていく。
そして夕陽に向かって悠然と駆け上がり
ついにはレールを離れ、先の見えない
「上空の彼方へ」と舞い上がる。
その後カットは汽車を地上から寂しげに見上げ、
涙する少年の顔にクローズアップ。
最後のナレーションのあと甲高い汽笛が鳴り響き
映画のエンディング曲
「THE GALAXY EXPRESS 999」が流れる
その衝撃は曲が進むにつれ次第に胸の高鳴り、
興奮に変わっていった。
当時13才の少年だった私にとって生まれて
初めての経験。
そう劇場版アニメ「銀河鉄道999」の再放送がTVでやっていたのだ。
オリジナルは1979年公開。
当時、私はまだ2才。
当然リアルタイムでは見ていない。
なのでそれまで999をみた事はなかったし、
当然その歌手の存在も知らなかった。
なんていう曲? 誰が歌っているの?
下から上に淀みなく流れるエンドロールから
曲名と歌手名を必死に探す。
いつ出てくるかわからないそれを
獲物を狩る獣のように目を凝らし、私は探した。
だが、「早すぎて目で追いきれない。」
しかし、たまたまビデオ録画していたので、
エンドロールを巻き戻し、一時停止。
長い英語のタイトルと歌手名
やっと見つけた
これが私とGodiego(ゴダイゴ)との出会いだ。
(画像はコロンビアのレコードジャケットより引用)
この「偶然の運命的な出会い」が私の音楽への
目覚めとなる。
もういても立ってもいられない
「この音源が欲しい!」
「もっと聞きたい!!」
「何度も聞きたい!」
という衝動が止まらない。
当時はアマゾンは愚かインターネットやスマホもない
そしてカセットテープからCDに移り変わる最中。
タイトルとグループ名の書かれた
メモを握り締め近くの音楽ショップに向かう!!
しかし、その当時ですら10年以上前の曲なので
探すのに一苦労。
そんな中、やっとの思いで
「シングルコレクションサイドA」というカセットを
見つけ手に入れた。
999はもちろん、他のシングル曲もテープが千切れるまで聴きあさった。
1990年という時代、そして中学生の私にとって
音楽の情報源はTVだけ。
当時TVで流れていたのはアイドルグループや
軽いポップスソング。
だがゴダイゴはそれらとは一線を画していた。
洋楽かと思わせる卓越したバンドテクニックと
グルーブはもちろん。
エッジの効いたスピード感と伸びのある声の
両面を持つ、日本人離れした英語を歌うボーカルの力はずば抜けていた。
「世の中にはこんな音楽があったのか!」
と身体中に電流が走った。
もちろん個人的に「ツボ」だったのは間違いない。
でもそれ以降、沢山のミュージシャンの音楽を聞いたが、この衝撃を上回るものに私はいまだ出会っていない。
それからは週末の度に秋葉原の電気街まで自転車を
走らせCDはもちろん、廃盤になったものは中古レコード
を買いあさう日々。
そのすえオールコンプリート、偏執狂ですね。
その後、貯金を崩しキーボードを購入。
高校ではバンドを組み、ずぶずぶと音楽のミチに引き寄せられていった。
しかし
バンドは大学で解散
そこからは1人で音楽の道を目指すも志半ばで挫折。
今でもあのキーボードは捨てられずにあるが、
年々埃にまみれ、ついには電源を入れられる事はなくなってしまった。
そして徐々に音楽からは遠ざかっていった。
あの衝撃から30年の時が立ち、2021年2月8日
「銀河鉄道999のシネマコンサート」という催しが
あることをニュースで知る。
「これはもう行くしかない!!」とすぐに申し込み。
シネマコンサートとは映画をフルスクリーンで上映、
それに合わせて音楽は生でフルオーケストラが演奏するというものらしい。
映画はそう、あの時みた999の劇場版映画。
あれをスクリーンでみられる日がくるとは感慨深い。
そしてエンディングの歌は会場でゴダイゴのボーカル、タケカワさんが歌うという。
そしてついに昨日、
人生初のシネマコンサートに行ってきました!!
昨今の対策として50%以下の収容人数での開催や
検温等もバッチリ。
大きなスクリーンでみる大迫力の999の劇場版アニメ。
映像とバッチリのタイミングで奏でられる
東京フィルハーモニーの生演奏。
劇中歌も生女性ボーカルとコーラス。
そしてなんと言っても挿入曲と、
エンディングの映像とを合わせたタケカワさんの
生「THE GALAXY EXPRESS 999」!!
「こんな日が来るなんて」と感慨深い。
込み上げる感情が押さえきれず、1人でウルウル
しちゃいました。
最後にサプライズがありましたが、まだ大阪公演が
あるので「それ」は行った方のお楽しみ。
999の歌い出しは
「さあ行くんだ、その顔を上げて〜」
という歌詞で始まる。
この曲を初めて聞いた当時の「目をキラキラとした」
私の感情が思い起こされる。
アマチュアながら私も音楽をやっていたから分かるが、
ボーカルは自分の身体が楽器。
だから年齢による影響が他の楽器よりも多く、
影響は顕著。
高いキーやテンポの速い曲を20代の頃のように歌うのは正直キツイと思う。
でも昨日のタケカワさんの歌声とパフォーマンスは
年齢を感じさせず、とても素晴らしかった!
どうやら調べたところ、
タケカワさんはもうすぐ70才になるという。
しかし今でも音楽はもちろん、いろんな事に興味を
持っている「まるで少年」のようだ。
最近ではキーボードのミッキー吉野さん、ギターの吉澤洋治さんと3ピースでのオンライン配信といった新たな取り組みをしている事には驚きだ!
「もうこんな歳だからとか、、」
「スキルが足りないとか、、」
「プロにならなきゃ意味がないとか、、」
「その道で一番にならなきゃとか、、」
「そんなことできっこないとか、、」
それははたして「他人の声か?」
それとも「自分の声?」
こんな無意識の心の声の言い訳でいつしか
「制限をかけている」事が多い自分に
気づかされた。
ある人の言葉で
「これからの自分史上、今が一番若い!」
という言葉があるがまさしくそう、今からでも遅いこと
なんかないんじゃないかな。
(画像は東映アニメーションより引用)
昨今の状況でミュージシャンやエンターテイナーは
ライブを制限されたり、大変な状況である。
飲食店、宿泊業、中小企業の経営者の方もそう。
いや、多くの方が大なり小なり影響を受けている
今は何かと大変なご時世、であるのは間違いない。
でも999はエンデイング曲の歌い出しで、
「さあ行くんだその顔を上〜げ〜て〜
新しい風に心を洗おう」と歌っている。
30年の時を経て、改めて映画を見ると、当時は
感じることが出来なかった色んな気づきをいただいた。
今回、こんな状況に置かれている僕らに、
このタイミングでの開催。
今の僕らに大切なコトを教えてくれたような
気がするのは偶然じゃない。
またここから始める「挑戦の気持ち」と、
「歩き出すチカラ」を私にくれた30年ぶりの999。
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