慶應通信出願時の志望理由書


はじめに(オープニング)

私は、最終学歴が高校中退(中卒)の状態から、高等学校卒業程度認定試験を受験して、一昨年2022年4月に慶應義塾大学 通信教育課程に入学することが出来ました。

そのため、時たま慶應通信への入学を検討している方から質問をいただくことがあり、少しでも力になれればいいなと思ったので、私が出願した際の志望理由書を公開しようと思います。

とはいえ、志望する学部・類が違えば全く違う内容を求められるだろうし、私の場合かなり芸能活動を絡めて書いているので参考にならないかも!

内容も、文字数を気にしてかなり駆け足な文書構成になっていますが、大目にみてください。これでも結果は合格ですので!

あと、当然提出物だから立派なことを書いていますが、ガチ理由は「慶應生という肩書きを手に入れたらウケるから」です。
私は慶應通信を年20万円の学割・教材・施設利用サブスクだと思っています。


【1】志望した学部・類で何を学ぼうとしているのか、①過去の学習経験、②将来の展望、のいずれにも触れながら、具体的に述べなさい。(720字以内)

志望した学部・類:文学部 第一類(哲学を主とする)

本文:
 私は芸能活動の一環としてSNSで発信を続ける中、目まぐるしい倫理観の変化を実感し、倫理学に興味を持った。倫理学について調べ、2018年にトイ人に掲載された柘植尚則先生のコラム「良心とは何か」を読み、現代における「正しいとは何か」について考えを深めたいと思った。よって私は、倫理学を学ぶため貴塾通信教育課程文学部第一類への入学を志望する。

 私はフリーランスのアイドルとして芸能活動を行っている。その中である男性からSNSをきっかけに脅迫やストーカー行為を繰り返し受けた。私は恐怖を感じ男性の行為は社会的に許されるものではないと思ったが、男性は私がそれを強要していると認識していた。また、警察に相談したが、男性の行為は現在の犯罪には当たらなかった。このことから私は、個人の善悪認識の齟齬や、現代社会の法整備に問題を感じた。そこで私はストーカー規制法等の法律を調べ、インターネットの急激な発展により生まれた問題に対する倫理規範の不確定さに気づいた。倫理観は時代や個人によって変化することを知り、まず善い/悪いとは何なのかに興味を持った。倫理学について調べる中で柘植先生の「良心とは何か」を読み、変化する価値観を理解するためには根本的な「正しいとは何か」を追求する必要があると思った。

 現代、人の価値観はインターネットの発展やグローバル化により変わり続けているが、アイドル活動はその変化する人々の心を掴むことが重要であり、多くの人と関わる仕事だからこそ自分と違う価値観を理解することも必要である。私は、倫理学の観点から社会・個人における人の価値観の醸成過程について研究し、自身の活動に活かすため、貴塾通信教育課程文学部第一類への入学を志望する。
(719/720)


【2】自分の学びたい学問領域に関わる書籍を一冊選び、概要を簡単にまとめた上で、自身の視点から詳しく論評しなさい。(720字以内)
※著者名・本のタイトル・出版社名も記載(字数には含まない)

著者名:永井均
本のタイトル:倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦 
出版社名:株式会社筑摩書房(ちくま学芸文庫)

ちなみにこの本を選んだ理由としては、著者が慶應卒業生or慶應の大学教授であると間違いないだろうと思いながら、ふんわりとAmazonで易しい哲学書を探していると、ねこぢるの表紙が目に留まった。(ねこぢるうどんはモラルに欠ける漫画なので、それを表紙にした哲学書はかなり挑戦的なのでは?と衝撃を受けた。)
試しに著者について調べてみるとドンピシャ、慶應哲学科の卒業生で、現役の大学教授でもあるらしい(他大学だが)。さらにTwitterを覗いてみると、つい数分前にスマイレージの話をしていた。すぐに永井均さんのことが大好きになってしまい即購入した。実際かなり読みやすい内容なのでおすすめ。

本文:
 本書は、「いけないとはなにか」「なぜいけないことをしてはいけないか」といった倫理規範の本質について、倫理学説史に沿って学生たちと一匹の猫がそれぞれの価値観で討論する構成となっている。結論として猫は、悪事は黙ってするしかないと述べている。なぜなら言葉は他者あるいは未来の自分に伝える性質において多少なりとも正当化や偽善といった善の要素を含むため、言語化して伝えた時点で悪事は善の要素を含んでしまう。悪事を語る言葉が原理的にありえないので、悪事は社会に存在しえないものとされる。

 しかし現実社会では、社会規範として道徳的な善悪に基づいて悪事が言語化されており、社会規範は個人の直接的な善悪とは必ずしも一致しない。文中では社会としての道徳的な善悪と個人の直接的な善悪を結びつけるものは他者への《愛》とされるが、文中の「毒もみのすきな署長さん」のように自己を社会の中に位置づけない人にとっては道徳的な善悪を考慮に入れる必要がなく、社会規範は抑制力を持たない。そこで私は、多くの人の直接的な善悪の基準と、それぞれの生育歴や信教といった社会的背景に関するデータを収集し分析することで、それらの関係性が見えてくると考えた。それによって、社会における道徳的な善悪と個人の直接的な善悪を結びつける《愛》よりも具体的な根拠を明示し、個人の善悪に則した社会規範の多様な解釈を提示できるかもしれない。そして、自己を社会の中に位置づけない人にも社会規範に対する当事者意識を与えることができ、誰に対しても社会規範の抑制力が働くようになるだろう。私はこのように社会の基底をなす構造を再考することで、社会としても個人としても理想的な世の中を作る手がかりとしたい。
(716/720)


【3】なぜ慶應義塾大学の通信教育課程を選んだのか述べなさい。(150字以内)

 教員をきっかけに貴塾を調べ、通信教育課程があると知った。全日制と同じ教員の講義を受けられる点や、面接授業の日数を自ら決められるため、スケジュールや学費の面で仕事と両立しやすい点に魅力を感じた。そして、私の研究意欲のきっかけである柘植尚則先生の講義を受けたい。よって貴塾の通信教育課程を選択した。
(148/150)


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