モマの火星探検記

※内容に触れた感想の為ご注意下さい。


冒頭から、体が芯から震える音楽とダンスに心奪われました。良い舞台が始まるってそれだけで思えました。

途中に挟むダンスと曲もそのシーンに合った嬉しい気持ちや悲しい気持ちを膨らませる良いスパイスになっていて、お話はシリアスで静かな内容が多いのに気持ちが間延びする事なく最後まで一喜一憂しながら楽しめました。

基本的にポジティブなようで少し悩めるモマとスーパー前向きなようでやっぱり少し悩めるそっくりな娘のユーリちゃん。この2人の主人公の何度も挑戦していく姿勢は見ていて元気が出ました。ユーリちゃんが飛び跳ねる度に舞う衣装のデザインがとっても好きでした。

小さくて簡単で当たり前の事を見つけたり感じたりする為の物語なのかなとも、これは小さくて簡単で当たり前ではない事をみんなが知らずに続けているのに気付くための物語なのかなとも感じました。


ここでもまた挟むの? という感じのロボットたちのコント。人がしんみりしているシーンでも突然始まるので、ロボには心が無いからな……と、ただその笑いを楽しんでいました。なのに別のロボが「目から星が……何故こんな面倒な機能をつけたのでしょう」と言った事で、このロボ達は人と同じように悲しんでるんだ。じゃあ今までのコントは全部全部だれかの悲しみを和らげる為にやっていた事なの? と気付かせてからの最後のシーン。めちゃくちゃ泣きました。たくさん撒かれた小さな種を最後に叩きつけられました。

おじさんという登場人物が主人公2人を繋ぐんだろうと思って見ていたのに、片方の主人公とは全然絡まないので、もしかして主人公の幽霊なのでは? と勘ぐっていたら、そんな事をしなくても繋がっていました。全てと。主人公2人だけではなく、その家族や友人、それぞれの生き方と。そしてそのおばけが物語のテーマの根本だったので驚きました。またそのラストの演出が上手くて、その時2人しか舞台には立っていないのに目が全然足りなかったです。会場全体を俯瞰して見てみたかった。

そしてラスト付近の泣き所で今から戦いでも始まるのかと思うような音楽が鳴り驚いたのにも関わらず、その次のフレーズから心を芯から震わせるような楽曲で、胸の中から何かが込み上げてきて涙が次から溢れてくる。不思議な感覚でした。こんなに使われてる曲で感動が膨れるなんて。この舞台の音楽が最後までみんな好きでした。

そしてライトの使い方にも感動しました。途中までも夜空はそこにあったのですが、最後のシーン、私たちのいるここが宇宙でした。


以下おまけ

ロボットの動きがあまりにもロボットで感心してしまいました。細かい所作の全てがロボ。人間辞めてしまったのではと心配になるほどでした。