過去から学ぶテンバガー ホープ編
こんにちは東証学園生徒会長三尊いのりです。
今日は過去から学ぶテンバガーということで、2019年に一番上昇した銘柄「ホープ」を通して、どうしてこの銘柄が上がったのか? 2019年のいつであったらこの銘柄が買えただろうか? など、過去の上昇事例から学んでいく企画です!
では早速ホープを見ていきましょう。
① ビックチェンジ前のホープ
2018年6月期の決算説明資料を見てみましょう。
当時のホープの事業ポートフォリオです。
自治体をメインとした広告ビジネスを収入源としている企業です。
SMART RESOURCEサービスと呼ばれる、自治体の発行している広報誌に企業広告を斡旋する事業と自治体の情報冊子を作成し、そこに企業広告を載せるSMART CREATIONサービスが主です。これらが一括して広告事業とまとめられています。
この頃のホープの売上高は2269百万円、営業利益は-121百万円です。
事業ごとに見ていきますと、
こんな感じですね。DSサービスがSMART RESOURCEサービス、MCサービスがSMART CREATIONサービスですね。
MCサービスは大きく伸びている物の、この時点でのホープは一過性の要因でしか事業を膨らませることが出来ないビジネスモデルで評価しづらい、且つ営業利益も赤字……この時点では成長株の要素が殆どありません。
②ホープのビックチェンジ
さて、ホープではどんな変化が起きて株価が上がったのでしょうか。
ズバリ答えから言います。
答えは新規事業の電力小売り販売が大きく成長したからです。
兆候はどこら辺から現れているのでしょうか?
2019年度の2Qの決算説明資料を見てみましょう。
事業ごとの四半期売上推移です。
こうして見ると、電力事業がQonQで2,6倍程度になっておりますが……。
まあこのときに買いに行けるか? と聞かれると難しいですね。
なんとなく事業の立ち上がりは良かったのかな? と思う程度です。
しかし次のQの決算説明資料を見てみましょう。
そこから更に電力小売り事業が2.5倍伸びて、ついに売上比率の15%程度を占めます。電力小売り事業ストックビジネスで積み上がり型で且つこの立ち上がりの良さは大きく評価出来ますね。
ここでホープを買える人もいれば、ホープの会社そのものが変化を起こしていると理解して、監視を続ける人もいると思います。
私はこの開示を見る限りだと後者ですね。理由としては、電力小売り事業はストック性のあるビジネスといえど、薄利なビジネスモデルなので評価されないかもしれ無い。今現状立ち上がりだけが順調でどれくらい伸びるかわからない。
では、いつであれば明確に買えたのでしょうか?
③ホープを買わなくてはいけないタイミング
それは、2019年5月27日の通期業績予想の修正に関するお知らせです。
ここでホープは電力小売り事業の取引規模拡大が想定以上として、業績を修正するのですが、この事業の好調さを理由に843百万を上方修正するのです。
このときに考えなくてはいけないのは、電力小売り事業は4Qの四半期売上はいかほどかです。
まず、通期の現在の予想値である3800百万円から3Qを引くと4Q単体の売上が出ますね。3800百万-1654百万(3Qまでの売上)をすると、2146百万円です。金額にして、3Qまでの売上の1.3倍を稼いでいるわけです。
大きな変化が見えますね。さてもっと具体的にこの変化を考えていきましょう。
ホープが想定している4Qの売上から想定される広告事業売上とメディア事業を引いてみます。
ここはあまり考えてもしょうが無い部分なので、前年と同程度の売上が発生するとします。そう致しますと、広告事業924百万円、メディア事業11百万円ですね。これを4Qに出る予定の売上を引くと、2146百万円-924百万-11百万円=1211百万円が4Qにおける電力小売り事業の売上になります。
1211百万円?? ここで始めて1年程度のビジネスがホープの中での主要な売上になるのです。もはやここで会社のビジネスモデル自体が変動していると言っても過言ではないでしょう。
更に、電力小売り事業は積み上げ型のビジネスモデルです。ここで考えるべきは、4Qの決算でどんな来期予想数字が出てくるかです。
まず、電力小売り事業はもし成長が突如ストップし、4Qに発生した売上を全てのQで出たと仮定すると電力小売り事業の来期の売上は4844百万円です。その他の事業は今期並みに出ると仮定したら、この時点では通期の予想数字から逆算して2422百万円ですね。つまりかなり保守的に見積もったとしても7,266百万円が来期に想定出来る売上となります。
今期の数字が3800百万円なのに対し、7266百万円なので来期も100%近く成長するということですよね。保守的に見積もってこれ。電力小売り事業は一年目でこの拡大スピードなので継続して事業が拡大する可能性が高いとも推察出来ます。もし、このすでに獲得できているベースの4844百万円から50%成長するとしたら7266百万円が電力小売り事業だけで出ることとなり、その他事業を加算すると、9688百万円。3800百万円から150%も成長する想定も可能です。
保守的に見積もっても、来期は倍の売上が出る。そんな計算になります。
ホープはこの業績予想の修正を受けて、3連続S高致します。が、この根本的な変化そのものに気づいている場合はそれでもホープは購入可能ですね。当時のホープの時価総額は30億円程度。来期100%以上売上がのび、通期の売り上げ規模も7266百万円以上となる企業につく時価総額としては考えづらいですね。
なのでいのりが考える買いタイミングとしては、3連続S高後直ぐ、もしくは4Q決算前ですね。3連続S高後直ぐは上記の変化が織り込まれていき上昇モメンタムが発生するという思考、後者は来期予想は間違い無くいいので決算を持ち越しすれば勝てるという思考ですね。
前者だとすると耐える期間がそれなりにあり、後者だとすると、7/23に行った上方修正での上抜けで買いに行かなくてはいけなくなりますね。
実際のトレードで考えると3連続S高後で買って、その後の下落で損切り、7/23の上抜けで買い直しかなと思います。
ちなみに実際のガイダンスは想定以上の良いものが出てくるのですが……。
そしてこれらのポイントで買いポジションを取れていると年末には6倍程度に株価はなっています。
いかに企業の適時開示を読み、その意味を掴んでいく必要があるということが重要かわかりましたね。
④まとめ
ホープを通して皆さんにお伝えしたかったのは株価に大きなインパクトを与えるのは業態の変化、そしてそれを即座に把握する為にしっかり開示資料の数字の意味を紐解いていく必要性です。
時間もかかるし大変ですが、今回ホープにおいてはその変化が明確に表れてから買ったとしても勝てるということがわかったと思います。
変化は現れてからでも全然いいのです! ただそれを正しく理解し、ポジションを正しく取れるかが重要です。
それをクリアするには、開示をよく読み込んで、時には数字を解きほぐす必要があります。そしてその変化は往々にして業績予想の修正に表れがちです。
もし企業のビジネスモデルに変化が起きてそれにより大きく企業業績が好転してる株、見つけたらいのりにおしえてくださいね。
またね!!!