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妹はうまいこといつもわたしを怠けさせてくれない

なんだか濃い二日間を終えて今朝は少しゆっくり寝たので回復してきた。

家にじっとしてるのもいいけど外に出ると何倍も経験となってわかることがあるんだなーって当たり前のことにおののいていた。けっこう疲れるんよな。こどもが初めてのこととかに触れた日は脳が疲れて早めに寝ちゃうみたいな、そんな疲れだけど。



月曜、数時間悩んで辞退メールを送ったあと、妹の家に向かった。姪は笑顔で出迎えてくれ、ご飯を食べさせたりお風呂に入ったり寝かしつけをしてさてわたしも寝ようかと横になっていた。姿勢の悪さからくる肩こりと久しぶりの面接やら決断やらで頭痛を発症していて寝なければ治らないかなと思って横になった。家に着いてから妹とはほとんど話していなかった。彼女は口を一文字に結んで不機嫌そうに家事をしたり聞かれたことだけに答えたりして私を時折にらみつけたりしていたので、体調も悪いわたしは機嫌が悪いだけだと思ってまさかわたしに怒りの矛先を向けているなど思っていなかった。(想像力にも限界があるのだ。わたしには思いつかない思考や行動をする人の気持ちは目の当たりにしないとわからないものだ。)

というわけで眠った姪の横で倒れ込んだとたんにドアの向こうから椅子を蹴ったりドアを大きな音で閉める音が合唱のように響き、さながら効果音のように地響きのような足音が寝ている部屋に近づいてきた。

バーーーン

とドアをあけ、「むっかつくわ!!!!」

から始まり「何なん!?」と予想だにしない怒りを向けられ不快さMAX。

妹はドアをあけて正面を体に向けたまま目線だけ斜め下のわたしを睨みつけていた。「どうせ他人事なんでしょ!!!おねーちゃんはいいよな!自分のは幸運なだけやん!それにも感謝せずに!!@*%&$#!!!!」

勘弁してくれよぉーーーー頭痛いし腰も痛いんだよ、、、と思うわたしを無視して妹はあれやこれやと前に電話したときと同じ不満を並べ立て、いますぐ解決しようがない内容にうんざりしてどうしたらいいのかを聞いたら「言いたいだけや!」とな。

前に電話で喧嘩して以来、あまり深く関わらないでおこうと思っていたのだけれど、先週電話が。旦那が限界、もう離婚しか考えられないと言うので相当な時間をかけて話を聞いてそれなら行動していこうということでまず離婚カウンセリングを予約し、おねぇちゃんもついてきてと言うので月曜から泊まりに行ったわたしはこの突然の豹変についていけてなかった。ほんとに突然なのだ。先週までは旦那に向けられていた怒りや不満がその夜はわたしに向けられていたのだ。わたしは聞くに耐えない罵詈雑言のシャワーを浴びて頭痛がピークに達していた。そしてこれはデジャヴュだ。と、昔の母の姿を見ていることに気がついていた。気付きながらもこれは一旦退散するしかない、面倒だが終電には間に合う、帰ろうと思って着替えてマスクを装着、そんな言われるなら帰るわ、とドアに向かった。

瞬間。妹がはっとした顔をして後ろを向いて肩を震わせていた。そしてまた神妙な顔でこちらを睨みつける。そしてまたくるりと後ろを向き、また向きなおる。こと4回。

このタイミングで。必死で笑いを抑えてるのだかわざとなんだかよくわからない動きで私も笑えてきたし妹が何故笑ってるのか気になるし。そして心のどこかでこれは帰らなくてもよくなりそうだな、と感じていた。

笑いをきっかけに私の心も切り替わりようやく冷静に頭を働かせることができた。彼女の負の圧がすごすぎて未熟なわたしは呑み込まれていたようだ。

ちなみに笑った理由はマスクのゴムがびよんびよんに伸び切って不細工だったからだって。その日は耳が痛くならないゆるめのゴムのマスクを持ってたけど、あとで装着したらそんな風になることはなかった。その時だけ、何故か、妹にはおかしく感じるくらいには伸びてだらんとなっていたようだ。

それで頭がはっきりしてきたわたしは妹を落ち着かせて、わかったことがある、と言った。それは、問題は夫婦関係じゃないってことだ。さっきわたしを攻撃したように妹は夫をも攻撃しているだろう、と。

わたしはわかってなかった。妹の言葉を額面通りに受け取ってわたしも問題は夫婦関係、夫だと決めつけていたようだ。でもわたしに攻撃してきたことではっきりした。「お母さんだ!」

問題は母だったのだ。ここでいう母は実際の人物というより妹の中の母像だ。わたしはすでに母の問題はクリアした、母も今では別人格のような人になっている。だから私は勝手に今の母なら妹も大丈夫とたかをくくっていた。違うのだ、妹の中での母はかわってないのだ、そして妹はさらに傷つきたくなくて逃げたくて向き合わず、別の問題を起こすように現実を作りだしている。。。!

夫への不満も私への不満もまったく一緒、母の代わりでしかない。だから解決しない。攻撃されたときの彼女の夫とわたしの返す言葉は一緒だった、「じゃあどうしたらえーねん!!!!」とにかくはけ口が欲しくて問題を見つけたり作り出してはそれを理由に不満や怒りを爆発させているだけだった。。。

そのようなことを妹に話すと、「そうかもしれない、離婚もしたくないかもしれない、でも、お母さんの問題なくなったら旦那との問題もなくなるん?」「なくなるわ、旦那がモラハラするのもちょっとわかってきた、わたしはあんたに攻撃されても人を傷つけ返す性格ではないから言わないだけで、あれだけあんたに言われたら弱い人間もしくは元々攻撃性がある人なら反撃しないと身の危険を感じるからやわ。あんたが引き起こしてる、火種があるはず。だからあんたの考え方が変わればモラハラはなくなる、もしそういうことを言われてもモラハラと思わなくなるはず。」

とりあえずさっき不満をぶちかました妹は一時的に落ち着いていたけれど、抜いてもすぐに溜まる腹水のように原因を解決しないとまた同じことの繰り返しになるだろうから、本格的に母との問題解決につとめよう、と確認し合った。

問題は夫婦関係ではないことがわかったが翌日のカウンセリングは既に支払い済。まぁ離婚も視野に入れて解決方法を聞いておくのも悪くないから明日は実際の離婚事情の調査もかねて話を聞こうぜ、と就寝した。

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翌日、姪をバス停まで送って準備し、10時からのカウンセリングに向かう。バスの中で何聞こう〜〜なんてのんきに二人でしゃべっていた。土砂降りの中オフィス街を歩き、ビルの中に入る。受付を済ませて待っていると背の低い感じのおばさんがやってきた。小さな個室に案内される。わたしは妹の後ろに椅子を置いて黙って聞くことにした。

カウンセラーは感じよく、妹の口下手なのを察してなのかもしくは離婚カウンセリングだけあって実際的な情報を提供するのがウリなのか、聞くに徹するよりはよくしゃべるカウンセラーだった。今知りたい情報はある程度わかったしほとんどの場合離婚をすすめないということだった。話は多岐に及んだ。ダイエットの話とかいらんやろ、と目をつむって聞いていた。わたしは口をほとんど挟まないよう努めていたが、途中妹が口をあんぐりあけて振り返ることもあった。「おねぇちゃんと同じこといってる」とな。さすがプロのカウンセラーだけあって妹もなるほどなるほどと受け入れられたようだ。いや、妹のようなタイプはほんとのとこではそう思ってないだろうが、聞き入れやすくはあっただろう。

自分はどうしたいか決めること、どうしたいな〜とぼんやり思わない、決めて目標設定して逆算したら今の行動につながる、自分の捉え方次第で見え方も変わる、などとわたしも言っていたような抽象的なことから始まり、では実際どうしていくかの簡単な例も挙げてくれたりしたのでここがプロですなと思った。もし離婚するなら経済的なものを確立しなくちゃいけないだとか、妹のどんな仕事をしたいとかの話もあって非常に建設的であった。

そしてその中で、「今の結婚を決めたときに(仕事からの)逃げで妥協して結婚して今の状態になったのならば、次に仕事をするときは惰性で適当に職を選んではだめ、今の歳から仕事するのよ?しっかり考えて仕事を選ばないと!」とカウンセラーが言った。わたしはその言葉をしっかりキャッチしてわたしに向けられたものだと感じていた。妹のカウンセリングについてきていたが、それは確実にわたしにも向けられた言葉だったんじゃないかと思う。昨日の決断、間違ってないよ!というメッセージをカウンセラーさんを通して伝えてきてくれたんだなーと思って受け取っておいた。妄想でもいいのよ、こうやって都合よく解釈していくの最高。


カウンセリングが終わって寒い寒いと言いながら途中のモスバーガーに駆け込む。2時間のカウンセリングを二人で振り返っていた。妹は少しは前向きになっていたようだった。しかし帰り際にカウンセラーは「ま、今はなんとなく納得しても3日で戻るけどね」と言っていたので確かに効果は長くないだろう。

人はすぐには変わらない、そして根本的解決がまだなので焼け石に水だけれども妹はカウンセラーのいうことをひとつ実行していた。ねぎらってあげることだ。仕事から帰宅した夫に非常にわざとらしくはあるが「おかえり、疲れたでしょう、もうご飯用意できるよ」と言って好物を用意していた。彼女の夫はまんざらでもなく嬉しそうにすぐに食事をはじめていた。

普通のことよね?普通のことができないくらいに妹は問題を抱えているのだった。問題にフォーカスするのはよくないとかいうけど、いや無理だろう、問題を問題として認識して始めて解決への道を探すことができるんじゃい。わたしは妹を問題としないようにしていたが無理だ、目に入ってくるんだもん。何度も避けようがないほど出現するってことは避けるなってことだ。


というわけでわたしはおせっかいながらも妹の問題解決にのりだすことにする。母と妹の問題なんだけど、わたしも家族だから、無関係じゃない。途中でくじけるかもしれないし違う関わり方をするかもしれないし考えは変る可能性はめちゃんこある。だけど。妹の問題解決できたらもっといろんなことがわかる気がするんだー。そしてそれができたら無敵だと思うんだ。驕る意味ではなく。妹はなんで?が多い。細かい。わたしがなんとなくわかって流してしまうようなこともなんで?とすぐに納得しない。妹がわかるように説明できたらどんな人にでも説明可能だ。妹に別の見方があるよって心底わかってもらえたら、どんな人にでもわかってもらえるくらいのことなのだ。もうこれはミッションかもしれない。と、今は思っている。

これにあたって冒頭コンディション悪い中負の攻撃をくらうと呑み込まれることがわかっているので自分を整えることは基本中の基本やなと思った。

今嫌な仕事したらめっちゃ影響するやん、とかね。すべては流れですな。つながっている。わたし自身も常に自分に嘘をつかずに生きなければいけないなと。妹はうまいこといつもわたしを怠けさせてくれないぜ。


ごきげんよう


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