解像度のお話

解像度というと「なんか難しいんじゃない?」と、あえて勉強しないできた絵描きの人も少なくはないようですが、デジタルで絵を描いたり、PCでデジタル画像を取り扱う仕事の人にはどうしても必要な知識です。

「解像度の事はよく分かってないけど、この際覚えておきたい」という方だけ読み進めてください。
できる限り簡単に説明しますが、算数のお話も多くなるので数字が苦手な人はちょっとだけ我慢してついてきてくださいね。

解像度の考え方は小学生の頃に習った時速の計算に似ています。

たとえば、120kmを2時間で走った場合の時速は
120÷2=60で、60km/hになります。

     き
  ────────
   は  ✕  じ

なんていう覚え方をしたのではないでしょうか?

時速は一般的に「km/h」と表記されます。
「 / 」は分数の横棒を斜めにした「÷」と同じ意味なので、「km/h」は「距離÷時間」という計算式そのものを意味していることになります。

速度の単位「km/h」は「キロメーター パー アワー」と読みます。
解像度の単位「dpi」は「ドット パー インチ」。

似ていますね。

つまり「dpi」は「km/h」のように「dot / inch」と表記することもでき、その関係性も同じです。

「km/h」が「1時間あたり何km」という意味であるのと同じように、「dpi」は「1インチあたり何ドット」という意味を持ちます。

ですから、速度計算同様に

   ドット数
 ──────────────────────
 解像度 ✕ 画像サイズ(インチ)

という事になります。

一旦、話を時速に戻します。
もし、「時速60kmで2時間走行する」と言われれば、「走行距離は120km」ということも同時に分かります。
しかし、「時速60kmで走行する」とだけ言われても、目的地までの距離も走行時間もわかりません。

つまり「時速」「距離」「時間」この3つのうち、最低2つの情報がなければ全容をつかむことはできないのです。

そして、解像度にも同様のことが言えます。
もし「解像度350dpiで描いてくれ」と言われても、サイズが分からなければ、何ドットの画像ファイルにすればいいのか分からりません。

「解像度350dpiで20㎝四方」のように、「解像度」「サイズ」「ドット数」の3要素の内いずれか2つの情報をセットで伝える必要があります。

インチというあまり馴染みの少ない単位がでてくるので計算は難しいですが、多くのグラフィックソフトではセンチでも入力可能ですし、前述のようにいずれか2つの情報を入力すれば残りの数字を自動計算してくれるので、わざわざ電卓を取り出す必要はありません。

かつて、「350dpiで!」と頑なに解像度しか言わない方がいたので、「はい、たしかに350dpiのデータです。ただし印刷サイズは5mm以下ですが・・・」と、極小データを提出したことがあります。

つまり、ピクセル数がたったの64ドットしかなくても、印刷サイズが4.64mmなら、解像度は350dpiなのです。

ここまでの説明でもわからない人はいるかも知れませんが、デジタル画像の発注をする際に最低限覚えておくべきことはふたつ。

・ 印刷用の場合は、必要なのは解像度よりも印刷サイズであること

・ モニタ表示用の場合は、ドット数以外の情報は不要であること

なんにしても、もし理解に自信がないのであれば、へたに「解像度」に触れるのはトラブルのもとなので、言わないほうがいいでしょう。

※文中では「ドット」と説明しましたが、近年では「ピクセル」と言うのが一般的です。

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