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鈴木みそ【マンガ家の生活】 vol.38(2016年5月2日発行)大阪カレー食い倒れの旅

目次
1.今週の日記
2.おたより
3.オススメ漫画
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4月25日(月)

毎週楽しみに見ている「真田丸」の録画ができていなくてショック。
嫁はアナログな人なので、番組予約を毎回手動で入れている。なぜ毎週見る設定にしないのか聞くと、一度入れてしまうと、終わった後も撮り続けてしまうから。っておばあちゃんか! いろんな細かい機能を入れても、使っているのが嫁レベルだとほとんど使われないまま、無駄なボタンだらけになるのである。すぐにボタンを増やす日本の家電のリモコンも問題だが、機能を使わないで自分の感覚だけで操作しているのも問題。
毎週見ている番組くらい、マシンが覚えて「これは見逃していませんか? そんなこともあろうかと撮っておきました」機能くらいつけて欲しいわ。
たしか1週間までなら見逃した番組を見られるアプリがでてるはず。とググったが、それは民放だけなのね。
NHKは別にお金がかかるしくみになっているようでがっかり。
土曜日に再放送があるので、そこを予約した。

毎日時間を見つけては続けている「Threes!」だが、ついに! 8万点の壁を超えた! やったよ。
このところまた少しうまくなって、29000点台が続いていたが、ちょっと合わせるコツを掴んだようだ。うれしいな18万7千点。

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4月26日(火)

朝8時10分の新幹線で大阪。
の予定だったのだが、目覚ましをセットし忘れて目覚めた時は7時を回っていた。
うわあ。
昨日の夜荷物を準備しておいてよかった。とかばんをひっつかんで電車に飛び乗る。
朝の電車は昼より時間かかる。ギューギュー詰めの電車の中で、iPhoneで到着時間を見ると、東京駅に5分足りない。山手線で品川に回って捕まえたらどうだろう。
1分足りない。
乗り換えアプリは、時間にまちをとっているので、渋谷と品川駅で走ればギリギリ間に合いそうだが、遅れた時に目も当てられない。
東京駅の編集者にメール。
「申し訳ありませんが、新幹線時間ずらせますか」
素早く対応してもらって、20分後の新幹線に潜り込む。こういう対処がすぐできるのが今の時代のすばらしいところ。

電車の中では、ずっと小声で打ち合わせをしていたが、3人がけの隣のサラリーマンが何度も頭を揺すって眠れなさそうだった。3人がけになったのは遅刻で電車を変えたせい。ごめんなさい。
大阪ではカレーのお店に突撃。1軒はよく知っているお店で連絡をしているが、残りはアポ無し突撃取材だ。

3軒のカレーショップをはしごして、フルに盛り付けられた丼を一粒残らずやっつけた。

まあ、オレは途中で限界になったので、戦ったのは編集者さいとうであるが。
この様子はダンチュウのカレー特集号で。

めっちゃ汗だく。

昼過ぎに取材は終了したのでホテルにチェックイン。オレはシャワーを浴びてベッドで仮眠。

編集とライターの二人は腹ごなしに大阪の街を歩いて回っていたよう。さすがに若い。
7時を回り、夜の部に突入。
まだお腹の中でカレーが暴れていて「赤ずきんちゃんのおばあさんをたべた後のおおかみ」のような状態になっているのだが、美味しいお好み焼きに行きましょうと言われては行かないわけにはいかぬ。
「お好み焼きオモニ」という有名店で、変な名前のお好み焼きを一人1枚、豚平焼き、タコ、牛すじなどをつまみに大ジョッキを3杯ほど。

おばあさんを消化して、あかずきんちゃんも猟師も全部お腹に収めてぱつんぱつんになったお腹を揺すりながら、バー「細工谷酒類研究所」へ。

マスターが白衣を着ている面白い店。
四国の酒蔵から出ているいろんな酒をミックスした「残骸」というお酒が気になったので、それをいただく。昔、タバコの余りを集めて作ったゴールデンバットなるものがあったが、アレの日本酒版。

最初の香りだけ吟醸香があって、おっと思ったが、中身はまあ確かに残骸という感じだった(笑)もう飲まない。

つまみにグリーンカレーが出てきて、どんだけカレー好きだよ。今日一日で5000カロリーは軽くいったわ。

そういえば最近体重計ってない。乗るだけでクラウド保存されるフランス製の体重計は、電池が切れたまましばらく補充していない。
誰も文句がでないので、オレしか乗っていなかったことが判明。67キロくらいかなー。いつの間にか太ってきたのは運動が足りていないから。少しは知る距離を増やそう。
いつの間にかホテルに戻って寝ていた。

これが泊まったホテル。ドルアーガの塔のようです。

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4月27日(水)

朝7時20分起床。
浴びるように飲んだわりには残っていない。
シャワーを浴びて、英語を1時間。テキストを忘れたのでリスニングと発音だけ。
さて、大阪の散歩はこの前(なんで来たのかもう忘れたが)歩きまわって堪能したので、のんびりスタバで過ごしたりたこ焼きをつまんだり。
今帰りの新幹線でこれを書き込んでます。部屋で仕事し続けていると日記が単調になるので、時々こうして遠距離取材が入るとうれしい。
もうひとつ今月は大阪出張が入る予定だったが、相手の会社の人が東京まで出てくるということでなくなった。イーブックの担当編集宮坂さんは、出張を心から楽しみにしていたので「ううううおおお」と地団駄踏んで残念がっていた。
車内で急にiPhoneのシャッター音が響くので、何事かと思って見渡すと、みんな富士山にカメラを向けている。
おおー、雲のかかりかたが美しい。便乗して一枚。
とても小さいので、インスタグラムアプリで拡大とフィルタリングして、それっぽくしてみました。

3時ごろ品川着。もう帰って来ちゃった。

新大阪駅で買った赤福を嫁にやったらたいそう喜んだ。旅行のおみやげはたいてい甘いものなので、オレはもらっても困るが、嫁が食うから大丈夫。
昨日食べ過ぎた狼は、今日はあっさりしたおつまみとビールで夕飯。

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4月28日(木)

朝7時起床
フェイスブックとツイッターを見ていたら40分ほど経過していた。こういう時間の使い方をしてはいけない。
見るときは集中してみて、ダラダラ時間を使わないようにしないと。
9時半には取材に出なければいけないので、あまりのんびりしている時間はない。英語を1時間ほどやっているうちに出発時刻になる。
今日の取材先は、iPhoneのお絵かきアプリで一番売れている「アイビスペイント」だ。
以前別の飲み会で、アイビスの社長とは挨拶をしてフェイスブックでつながっている。

顔見知り相手の取材はやりやすいようで、案外やりにくくもある。

つい、ツッコミが甘くなりがちなので。
初めての相手に初めて聞くつもりで質問を考えて進めていく。
さすがに、相当深い部分までお話してもらえたが、どこまで使えるかはわからない。
広告をうっていないのに、口コミでユーザーが増えつづけているそうで、中高生のユーザーが多いのも特徴。
はじめて「レイヤー」という概念を知るのがこのアプリ。という子供はとても多いらしい。
アイビスで書いたものが、クリップペイントで開けるようにはならないんですか。と聞いたら、ちょうど今日発表になるんですよ。クリップペイントで開くようになりました。という。今日の取材のタイミングはドンピシャだった。
帰りの電車でiPhoneを見ていたら、そのニュースがスマホに表示される。このタイムリーな感じはなかなかマンガにならないのだが、日記ではどうでしょう。タイムリーですか?

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4月29日(金)

世間はGWに突入。
自分は何も変わらない。5時50分に目覚めたので「超文章法」を読む。
7時にご飯を食べて、英語。昨日の分までやったので3時間。

週刊アスキーのイラストを描く。塗り始めれば楽しい。まずは始めること。すべてはそこからだな。
夕方イラストアップ。えらい時間かかった。

明日のイベントに備えて床屋へ。伸びていた髪の毛をばっさりカット。両サイドには1ミリも毛が残らないほどモヒカンに刈り上げたが、家に戻って家族と食事していても誰も「髪の毛切ったね」とは言わない。もう親父の髪型に注目しないのである。
女性がよく、ちょっとだけ切った髪を気づいて欲しい。という要求をするが、あれは髪の毛ではなく私に注意を支払って欲しい。という欲求である。自分を注意して見ていれば髪の毛の変化に当然気づくはず。と彼女たちは考えるが、他人の髪型など、ごっそり抜けるとか池があるように剥げている。不自然に寄せて何かを隠している。とかでないと気にすることはない。
自分の毛を気にする人は人の毛も気にする人なので、そういう人たちは髪の毛の変化に敏感であるが、それは決して愛情の量には比例しない。
逆に言うと、愛情などなくても、今日の髪型変わった? その洋服似合っているね。などと声をかけると満足したりするようなので、こまめな声掛けは戦略として大変に有効であろう。
オレは嫌いなのでやらないけど(笑)
夜、金色にビシっと染める。
これはタトゥーとよく似ていて、近寄らないでください、危険ですよ。というマークでもある。
金髪にしてからは誰からも道を聞かれてなくなりました。それはメリットなのかどうかよくわからないが。

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4月30日(土)

7時起床。英語3時間。
お昼から九段下、皇居の近くにあるなんとか会館でTシャツイベント。ゲストで出演。

レトロゲームをプレイするイベントがあるというので呼ばれたが、ファミコンなんてもう忘れてるわ。

4~50人のお客さんの前で20年ぶりくらいにファミコンをプレイ。

久しぶりのコントローラー操作に慣れず「さんすうあそび」で何度も池に落ちる。かっこわる(笑)

イベント終了後、Tシャツを見て回る。まだTシャツイラストを描いている最中なのだが、変わったTシャツがたくさんあって参考になった。最近のTシャツの印刷はとても高度になっているので、水彩画のような色調でも印刷できるし、ボコボコと印刷部分が立体で飛び出す作りもできる。

マックの英語キーボードが胸に印字されているTシャツがあった。3900円。ちょっと高いなー、と思いながら隣をみると、たべっ子どうぶつが散らばっているTシャツを見つけた。

おおー、これは面白いなー。と合わせて買う。

帰って嫁に見せたら、目をうるませて、うわー、このTシャツかわいいー。というので、じゃああげるわ。
とプレゼントした。死ぬほど喜んだ。こんなことでなー(笑)
今週は嫁孝行の週なのか。

超」文章法。読み終わる。やはり前半の2章が素晴らしい。
野口悠紀雄さんの論理的な展開は、自分の頭が次々と整理されて片付いていくような快感がある。
主語が複数あって、それがどこにかかるのかわからない官僚的な文章を憎んで攻撃しているところに親近感がわく。
キャラクターというのは「好き」なことより「嫌い」なものの方がくっきりと表現される。という記述があり、はっとした。苦手なもの嫌いなものを結びつけた方が、マンガのキャラも印象つけられるのかもしれない。

「僕だけがいない街8」最終巻が出ていたのでキンドルで読む。すっかり前の話を忘れていて7巻を読み返したら、それも思い出せないので5巻から読み返す。あーこんな話だっけなー。と思い出したが、思い出せないキャラも多い。頭から読み返した方がよかったか。
「アイアムアヒーロー」
15巻で止まっていたのでチェックしたら20巻までキンドルで出ていた。
これはキャラが少なくてシンプルなストーリーなので読み返さなくても大丈夫だった。話の広げかたと展開や構図が、なんとなく「GANTZ」っぽい。そういえばGANTZは最後どうなったんだっけ? UFO出てからよく覚えてないなあ。「いぬやしき」の爺さんと記憶が混同する。

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5月1日(日)

知らないうちに4月のバリケードを突破されていた。来月はもっと真剣に守らないといけない。
それにしても一月が長い。こうやって脳みそを活性化させることはとても大事なんだとひしひしと感じる。英語飽きたら何をしようか。ってまだ1年くらいはやらないとね。毎日2時間は最低やらねば。

半分まで描いていたカレーのネームを読み返してみる。悪くはないけれど、ちょっとわかりにくい表現になっている。野口せんせいはどんどん捨てろという。捨てて捨てて残った部分が核心部分であるという。
パソコンのように切ってつなげることができないのがマンガのネームの弱点であって、いいアプリ出ないかなー。と思いつつ紙と格闘。夕方、これぞ。というネームができた。
よし面白い。
でも5ページあるので1ページ分はここからまだ削らないと。
アイディアをのせて、削ってまたのせる。その繰り返し。
近道はないなあ。

真田丸、先週の分と今週の分を一気に見る。三谷幸喜の中で一番好きかも。
夜中机に向かったが、眠くて落ちた。いかん集中しよう。

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【おたより】

メルマガ感想&質問

絵を描くのをがツライとのことですが。
みそさんは「漫画原作」を頼まれたら快諾するタイプですか?
漫画家さんによってはやっぱり自分の絵で描きたいとか、
いや、ネームだけバンバン描きたいとか分かれそうですよね。
もしくは逆に作画だけしたいとか。

個人的にはベテラン作家さんがどんどん漫画原作したら
面白いのになー、とか思います。
編集者さんも漫画家さんに気軽に聞けない質問かもですし。
マッチングも難しいですしねー。

内海まりお
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【みそ】
原作ねー。そっちの方が描くよりいいかなー。と思ったりするけれど、考えてみるとネームが一番つらいんだよね。
時間があって絵を描くことができたらそんなにつらくなくて、時間がなくて描かなきゃいけない。というシチュエーションがつらいんですの。
原作は早めに作らなきゃいけないだろうし、それが早くできたら、あとは自分で描いちゃうだろうなー。
絵がちょっと今では厳しい。という先生にバリバリ新しいタッチの漫画家を組み合わせるのはありだと思ってますよ。
赤松先生もそんなことを考えているようですが、なかなか実現させるのはハードル高いですねー。

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【おすすめ漫画】

みそさんこんにちは。
「銭」で出会って「おとなのしくみ」まで遡って、メルマガ購読中のファンです。
英語をモノにしていく過程とても面白かったです。
科学、物理に続いて、勉強法を科学的に解した本、読みたいです。

オススメの漫画ですが、「A子さんの恋人」。2巻まで出てます。
オススメというか、みそさんの感想が聞きたいという方が近いです。
みそさんはマンガがすごく上手いと思っているのですが、
(器用という認識のほうが多そうですが、普通に上手い、読みやすいと感じてます)
このマンガもとても色んな意味で上手いマンガです。

絵は、パッと見て高野文子さんのように線が少ないタイプです。
タイトルから分かるとおり、 恋愛モノなのですが、
人間の恐ろしさとか、どうしようもなさが描かれていて、色気もあって、でも軽妙で、鋭い。
そういうものをみそさんがどう読むのか、気になっています。
絵もストーリーも、技術的なことも、その他なんでも、どう思われるかぜひ。
ついでに言うと、みそさんの奥様もお好きな気がします。←ブログを拝読している勝手な印象です。

※電子書籍化はされていないようなので、物理で読んでいただくしかないのですが、
 1~2巻一気読みがおすすめです。1巻後半からのドライブがすごいです。

徳島県 桃鯖
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【みそ】
わ、これは面白そう。ビームコミックってことは、FLOWERSかな。と思ってググったら、もうあの雑誌ないんだ。今は「ハルタ」って雑誌になっていたのか。知らなかった。
で、この連載はやっぱりそこでやっているようですね。
担当は大場くんかな? 彼ももう40代だと聞いてびっくりした。

で、この漫画ですが、なるほど線がオシャレ。
でも高野文子さんはオレの神だからなー。比べてはいけないです。彼女の線はため息が出るほど美しいから。
「A子さんの恋人」
電子化してくれよなー。紙の本買うとかさばるんだもん。
でもこれはしょうがないから買おう。
相当面白そうな匂いがします。ビームの編集者はこれを読んだらオレに送ってくれてもいいですよ。読んでないと思うけど。

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というわけで、今週は旅情たっぷりでお送りしました。
旅行漫画の依頼来ないかなー。
前も書いたけど、鉄道の旅をしながら毎週電車漫画描く。って依頼が昔来たんだけど、時間が無くて断ったんだよね。
半年くらいあっちこっちぶらぶら移動しながら漫画描くって、むやみに経費かかるから難しいかな。
お金余ってそうな、docomoとかLINEとかが漫画家何人も旅行漫画描かせて、スマホで読めるように連載したら、すげえマニアックなファンがつきそうだけどね。
単行本も売れそうだし。一人500万円くらいで1年間描かせれば面白いのになー。

地方自治体が宣伝として鉄道旅行漫画を核として、地元の食べ物と温泉。みたいな組み合わせでムック作ってもいいよね。せっかく新幹線が通ったことだし、北海道、東北なんていいじゃないですか。岩手やりましょう。

ではみなさん、よいGWを! オレは仕事するよするよするよ。
感想のメールはこちらまで。
misokichi@misokichi.com
himo573@yahoo.co.jp(サブ)

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