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人生を変えた10枚のアルバム。 その2

「X」で「人生を変えたアルバム4選」っていうハッシュタグでアルバムを選ぶ企画があって、そういうのにすぐのっちゃう僕はもちろん参加してみました。で、前回の10作品をセレクトしたのに続き、今回は「人生を変えた10枚のアルバム。」その2です。この前もやってたじゃないかとか、お前の人生は2回あるのかっちゅうお声も聞こえてきます(幻聴?)。しかし案の定といいますか、優柔不断な僕が1回ですべてを紹介できるわけもなく、やはりもう10枚選びます。じゃあ最初から20枚にしろ、というご指摘は至極ごもっともなのですが、言い訳をしてしまえば「人生を変えた」ということで考えると先の10枚では不十分に感じたのです。後から思い出すものもありますからね。前回がA面とすれば今回はB面というべきでしょうか。

前回も書きましたが、アルバムとしては必ずしもそのアーティストのベストではなく、「人生を変えた」アルバムっていうのはまた別なのです。その点をお知りおきください。その2はむしろ、その1より僕の「人生(っていうほど大袈裟ではない)に関わった」アルバムをといえるかもしれません。でも結局若い頃に聴いたものがほとんどです。各々のアルバムに、いかに僕の人生を変えたのかコメントを付しています。よろしければお付き合いください。トップの写真はマル・ウォルドロン。



人生を変えた10枚のアルバム。その2。


Bobby Caldwell - What You Won't Do For Love

AORを代表するアルバムです。20歳当時こういうお洒落な音楽はあまりなかった時代で、おねぇちゃんといる時はこれをかけておけば間違いなかった(と思い込んでいた)のです。あまりに頻繁に流していたので、大好きなアルバムになってしまいました。当初はこの人の歌がソウルフルなので、白人なのか黒人なのかよくわからなかったのですが、その後イメージとはいささか違う貧相系の白人(←失礼だ)と判明したのはご愛嬌です。


Chick Corea - Return To Forever

ジャズを聴き始めた頃、もちろんその時代までのバップやハードバップなどの歴史的名盤をまず漁っていたのですが、やたらスタンダードとかなんとか言っていて、正直あまり面白くありませんでした。そんな時彗星のように(?)登場したのがこのアルバムです。ジャズってこういうすご〜〜く自由で、でも高度で、しかし詩的でもありえるという、ジャズに対する概念を変えてくれたアルバムです。


Diane Denoir, Eduardo Mateo - Inéditas

昔鎌倉に「casino classic」っていうCDショップがあって(みのもんたのビル?)、当時は我々も横浜に行くと鎌倉方面まで足を伸ばし時に必ず行きました。とてもおしゃれなお店で、且つディスクのセレクトも抜群でした。そこで見つけたのがこのDiane DenoirとEduardo Mateoのアルバムでした。この時代のウルグアイの瑞々しい音楽、そしてEduardo Mateoという稀有の音楽家を知りました。


Earth, Wind & Fire - All 'N All

大学に入った途端やけに自由な気分になって、お酒を飲んではEarth Wind & Fireの「Fantasy」が収録されているこのアルバムを大音量でかけて、わけもわからず友人たちとタコ踊り状態で踊って騒いで、近所迷惑になっていたのは僕です。迷惑だとわかっていてもやめられないお年頃で、そのうち大家さんから苦情が来てそのアパートを出ることに。「人生」というか僕の「アパートを変えた」一枚です。


Eduardo Gudin - Eduardo Gudin

このジャケットが本当に好きです。なにが好きかって言われると、こういう雰囲気がすごく羨ましかったのです。一応ブラジル音楽の会を長年運営してきましたが、いつかはこのジャケ写みたいな雰囲気が作れたらいいなぁ〜、って思っているうちに終わっちゃいました。Eduardo Gudinは作曲家としてもギタリストとしても(歌い手としてではない)もっとも敬愛するアーティストの一人です。白人サンバの最高峰。


Jose Pinheiro - Tesouro Eencantado

ジョゼに教わったことがたくさんあって、それはまずさまざまな形のブラジル音楽についてであり、そしてそれの基礎となるブラジル各地の文化についてでした。山形での公演をお願いしにスペースオルタまで行き、初対面のジョゼの乳首をツンツンしたのは僕です(よろ乳首という意味ではありません。ただ酔っ払っていただけ)。しかし考えてみれば、何回もジョゼのライブを見たけれど、なんと山形公演はたった1回だったのでした。


Mal Waldron - All Alone

高校生の時、Mal Waldronのソロ公演に行きました。曲を弾き始める前にタバコに火をつけて、一〜二服して弾き始める。曲が終わる頃にはもうそのタバコは消えかけているので、次の1本に火をつけ一〜二服してまた弾き始める。曲が終わる頃には消えかけていて… の繰り返しだったけれどめちゃくちゃカッコいいと思いました。公演後近くのジャズ喫茶に彼がいて、着ていたTシャツにサインをもらいました。それだけの話です。


Marvin Gaye - Let's Get It On

僕はMarvin Gayeを、Donny HathawayやStevie Wonderなんかと同時代的に聴き始めたのですが、朗々とした二人の歌声に比べるとMarvinの歌声って、ちょっといやらしい感じがして、なぜかこれこそソウルちゅうもんじゃありませんか!って思ったのです。最初に聴いたのはラジオから流れてきた「Let's Get It On」でした。「少年よ、歌にもセクシーっちゅうもんがあるんだよ」って教えてもらったアルバムです。


Sérgio Mendes & Brasil '66 - Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66

昔々8トラックという一種のミュージックテープ(ソフト)があったのを、もはやどれだけの者が覚えているでしょうか。主にカー・ステレオがこれを使っていて、ある日僕の父が車でこれを流していたのが、小学生の僕のブラジル音楽初体験です。「Herb Alpert Presents」でレーベルが「A&M」なんてことは当時は全く知る由もないのですが、「マシュケナーダ」はかっこいいってことだけは認識したのでした。


Stevie Wonder - Talking Book

まずは「You Are The Sunshine Of My Love」で、こんな素敵な曲がこの世にあっていいものかと思ったのです。今思うとボサノヴァの影響のある曲ですよね。そして当時確かこの曲より前にシングルカットされた「迷信」も、あのファンキーなリズムとクラヴィネットのサウンドで、こんな音楽があるのかと小さな胸をときめかせたものです。彼が盲目であること、そして朗々とした歌声に驚愕しました。


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