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yamabra disk: PETER BRODERICK / Piano Works Vol. 1 (Floating in Tucker's Basement)

オレゴン州ポートランドに生まれたピーター・ブロデリック(Peter Broderick)は、ピアニスト/作曲家/シンガー・ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト。僕は彼の音楽が好きで、ほとんどの作品を追いかけてきたつもりだけど、率直にいってこのところの作品は、僕にはフィットしていないと感じていました。才人であるが故に、その音楽の振れ幅や方向性が多岐に渡り、それが逆にしっくりこないことがある要因なのかなと。

さて、本作はピアノ・ソロ。元々は楽譜集『Piano Works Vol.1』に付属した、購入者がダウンロードのみで入手できるアルバムだったとのことです。

彼と同郷のTucker Martinというプロデューサーの 「Flora Recording & Playback」というスタジオで録音され、さらに独自のテープ処理とリヴァーブが施されているそうです。

最もミニマルな表現形態の作品で、むしろそれが僕にとっては、彼のコアに近づくような感覚で、琴線に響くようです。ピアノの表現としては質素で時には朴訥ですらある、間を持たせた演奏ですが、哀切の旋律と内省的な音像が、記憶の残像を弄るような深遠な響きをもたらします。

しかしVol.1ってことはこの後も出るんでしょうね?



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