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yamabra disk: ZÉ MIGUEL WISNIK / Vão

寡作で知られるZé Miguel Wisnikの、単独名義としてはほんとうに久しぶりではありませんか。サン・パウロを代表するシンガー・ソングライターであり、エッセイストでもある彼の、これはソロ名義としては5作目となる、まさに待望のアルバムです。

リオの音楽とは違った、より現代的で内省的で詩的な創作は、本作でも変わりません。全ての曲に知性の煌きが感じられます。だからと言って、彼の音楽の魅力はそういうアティチュードにのみあるのではなく、音楽そのものにこそあります。その時に親しみやすく、時に複雑でメランコリックな楽曲の魅力によりもたらされる慈愛に似た感情や、「間」を感じさせる上品なサウンド。そして決して上手い歌ではないのですが、独特の説得力があるのです。Ná Ozzetti、Mônica Salmaso、Elza Soares、娘で幾つかの曲で作詞も担当しているMarina Wisnik、サン・パウロのシンガー・ソングライターCelso Sim などが参加し、Arnaldo Antunes、Luiz Tatitなどが作詞で共作しています。Tr.2のMônica Salmasoのちょっとオフなサポートが素晴らしい。


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