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古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について⑥〜図案の選び方 つづき

古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」では、江戸時代から明治中期にかけて作られた「古作」と呼ばれる着物などから図案をとっています。
kosakuはセミオーダースタイルをとっているので、基本的にはお客様が気に入った図案を使いたいと思ってます。でも、ショルダートートと小さい手さげは内布をつけないため、裏側に渡る糸が長くような図案は避けています、ということは前回書きました。

一方、持ち手のないクラッチバッグとポーチはしっかりした内布をつけるため、裏側の糸をさほど気にせず選ぶことができます。
特に、横長のクラッチバッグは、目の大きい大胆な図案が映えます。トートや手さげでは使いにくい図案にもチャレンジしたくなります。

横長に広い面積を刺せるクラッチバッグ。大胆な図案が映えます

とはいえ、持ち手がないということはこぎんを刺した部分を直接手で持って持ち歩くわけなので、表側に渡る糸があまりにも長いと、これまたひっかける可能性が高くなります。見栄えと安全性のバランスを見極めながら、の図案選びになります。

実は刺し方も少し工夫しています。
私は糸のたるみを多めにふわっと刺して、糸のぼこぼこが触って楽しめるように刺すのが好きなんですが、長く糸が渡る部分を刺すときは、いつもより糸をきゅっと強めに引き、ゆるみが少なくなるように刺します。
こぎん刺しは、布目をきちんと拾って根気よく刺せば、誰でも同じ柄を刺せる刺繍です。でも、糸にどのくらいのゆるみを持たせるか、糸の巻きをどのくらいに維持するか、などは人それぞれ。同じ布と糸で同じ図案を刺しても、個性が出るものです。
これについては、いつかもっと詳しく書きたいと思ってます。

さて、クラッチバッグとポーチですが、内布があるため、総刺し(布全面にびっしり刺すこと)でなくてもよい、という利点が生まれます。
前出の青いクラッチバッグは、光沢があり色が強く出る糸を使ったので、総刺しでは重さ・強さが出過ぎると考え、下3分の1強くらいの底刺し(底の補強のため底部分だけ刺すこと)にしました。
でも、もっとやさしい色だったらもう少し上まで刺しても圧迫感がないし、インパクトのある図案をバーンと総刺しにするのもかっこいい。

クラッチバッグの底刺し〜総刺しパターン。どれもそれぞれ良さがあります

ポーチは、4つのバッグの中で唯一、サイズの変更が可能なバッグです。高さのみ17㎝を最大に変えられます。高さが変わると映える図案もちょっと変わってきます。

基本サイズのポーチ
高さを低くしたポーチ。小ぶりの図案が似合うようになります

4つのバッグそれぞれに合う図案があり、また、同じ図案を使っても、どのサイズのバッグにどこを切り取って刺すかで、全く違うものに見えたります。
すでに完成している古作図案でも、探究しきれないおもしろさ。図案の話はまた時々書いていきたいです。


Instagramでもkosakuを紹介しています
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