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古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について①〜古作があるじゃん!と誕生した経緯

津軽地方に伝わる伝統的な日本の刺繍、津軽こぎん刺しの作家活動をしているmishida135(ミシダ・イチサンゴと読みます)です。
2022年3月、セミオーダーでつくるバッグブランド「kosaku」を立ち上げました。こぎん刺しの中でも江戸時代から明治中期にかけて作られたものが「古作」と呼ばれており、とことん古作の図案にこだわったものです。
このnoteでは、kosakuに込めた思いや制作の裏話などを書いていこうと思っています。こぎん刺しやkosakuに興味を持ってくださった方はもちろんですが、ものづくりをされている、またはこれからしようと思っている皆さまにも読んでいただけたらうれしいです。

kosakuのコンセプトブック

こぎん刺しに関する詳細は折を見てご紹介していきますが、初回は、kosakuを立ち上げた経緯について。

作家活動を始めて5年ほどたった頃。完全フリーのオーダーメイドでこぎん刺しのバッグや雑貨をつくっていましたが、私は常に図案制作に四苦八苦していました。

こぎん刺しはアーティストによる芸術ではなく、人々の暮らしから生まれた実用的な民芸です。つくり手は主に農家のお嫁さんや娘さん方です。こぎん刺しが誕生したのは、着物の保温性を高め、布を補強するためと言われています。
それだけであれば単純ななみ縫いでも良かったのに、彼女たちは家族や自分の着物に美しい模様を刺繍しました。現在、青森県や青森市が保管・所蔵している当時の着物には、それはもう、うっとりするほど多種多様な美しい図案が展開されています。
おばあさんやお母さんから教わった図案なのかなあ、お友だちやご近所さんと競い合い共有し合いながら発展させた部分もあるんだろうなあ、と想像が掻き立てられます。中には、誰にも真似できないオリジナルの図案を生み出すんだ!と幾晩も考え抜いた女性がいたかもしれません。

そんな古作と自分の図案を見比べていて、ある時はたと気付きます。
私、この先がんばっても、古作を超えるものをつくれる気がしない……。
でも、いや、待てよ、というか、そもそも超える必要があるのか? せっかくこんなにかっこいい図案があるんだから、これを眠らせておくほうがもったいないんじゃない?……と。
(※もちろん公的に発表したり商用利用するのは、青森市所蔵の古作など利用可能なものに限ります)

そこで、いったんオーダー受注をストップさせて、純粋に自分がかっこいいと思うものをつくってみることにしました。出来上がったのがこれです。

出来上がったとき、ああ、私がつくりたかったのはこれなのよね、と思えました。古作のかっこよさや凜とした美しさと、今の私たちが気軽に持ち歩き使える新しさが共存するもの。古作図案はすんなり、現代風の色や形とマッチしてくれました。
半分(かそれ以上?)はこの図案を生み出してくれた誰かのおかげ、さらに、残してくれたたくさんの方のリレーのおかげです。勝手にいろんな方とコラボしたような気持ちで、心の中でハイタッチでした。

かっこいいものは古びない。そんなことも実感しました。

色や形や仕立ての話はまたいつか。


Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください


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