あなたの感情と感覚は、あなたのわがままだから。
ホルモンバランスって言葉を知ったのは、いつだったろうか?
発音として耳に入っていたのは就学前、もしかすると3歳、いや、生まれてからすぐだったのかもしれない。
気付けば、
バカバカしいくらいに、
母は毒親であった。
与えられ続けた言葉は、
私という魂に、
不安とリテラシーの欠如を育て続けた。
それはおそらく、
この世に生まれ落とされてすぐに始まったのだろう。
・・・
なにもわからない幼少期のころから、
「あのね、わたしは" ほ ル も ン バ ら ん ス "が崩れやすいの。だから大変なのよ、あなたにはわからないかもしれないけど、" わかる "でしょ。」
言っている言葉、発音の羅列はわかる。
だが、
なにを言っているのかは、
私にはまったくわからなかった。
それに加えて、
「わたしはあなたをその辺の子どもと同じように、子ども扱いしたくないし、ちゃんとした大人として話をしてるの。
だから、
あなたは、わからないかもしれないけど、女性はそういうものなの。だからわからないといけないの。」
「あなたのは、ただの"かんしゃく"だけど、私たちの不機嫌は" ほ ル も ン バ ら ん ス "のくずれだから。」
わからない。
だって、
3歳の男の子になに言ってんの?
そして、
その、
私が逃れることのできない、
"小さな狂っている世界"を
指摘してくれる人、
その言葉の本当の意味を教えてくれる他人は、
だれ1人私の周りにはいなかった。
・・・
母1人男児1人の、
閉ざされた世界で生活する、
"他の他者と出会うことのない、閉ざされた世界"。
自分の嫌だと感じたときの態度や表現は、
「わがまま」
毒親の不機嫌は、
「ホルモンバランスのせい」
・・・
大人になって、そんな自分にもホルモンバランスの変化の影響がある、男性にもあると"身を持って"知った。
大変だったろうなと思う。
だが、
他者と比較できない、他者の言葉を聞かせず、ひとりの毒親の感想が、
世界を表した、
「絶対的な言葉」
として聞かされてきたことは、
絶対的に狂っていると思う。
なぜならば、
その後の私は、自分の感情と感覚を信頼できないようになったから。
私の感情と感覚は、
・他人が承認して許されるもの。
・他人が書き換えることのできるもの。
自分の感覚で、
笑ったり
泣いたり
怒ったり
楽しんだり
そんなことを感じようとすると、
「あなたの感情と感覚は、あなたのわがままだから。」
そんな声が、もやもやの感覚と共に、心の端から聞こえてくる。
私の感情と感覚は、"他者"が承認するもの。
承認されなかった感情と感覚は、
「自分のわがままであって、あなたが悪いだけ」
そういうものだった。
・・・
このことに疑問を持つことができたのは、
そんな単純なことに、ようやく気付いたのは、
生まれてからかなり大人になってからだったから。
なんとなく違和感は感じていた。
毒親とは無縁の他人と接していても、どこかでそういう感覚が付きまとっていたからだ。
だから、
そんな呪縛を生むような、" ほ ル も ン バ ら ん ス の せ い "なんていうセリフは、
「クソ食らえ!」
だと私は思う。
だって、私は、
私だけが自罰的に、
それを我慢してきたから。
そんな風に、日常を生きているだけで感じちゃうから。
もし、私が努力をして、誰かの不可解な挙動を受け入れることができても、
私だけは、
私の中では、
" ほ ル も ン バ ら ん ス の せ い "には
できなかったから。
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