ビーイング

そこにはもうあなたのための欠片は

ないのだから

夜の底の入り口で一粒の米をとぐだけ

どれだけの分量の光をそそごうか

不確かな涙の量とともに

なぜ と  きかれた別れ際を巻き戻し

うつむく人たちの終電に乗り 重なる季節に

しみこんでゆく嘘

もう消えてしまった人たちの面影が

車窓の裏側に透過され

見覚えのある・・・骨片

あれはあたしだ

あたしのしるし

春休みになると振幅する心を

フグリの花びらと一緒にのみこんで

制服姿のあたしに会いに行く

上昇する気温の先端から

樹液の匂いがする校庭に佇むために

不意に哭く

忽然としてそこにある今がどうしようもなくて

不意に哭く

流れ出た鮮血をひた隠し

翻した旗のように抱え込んで

宇宙の果てのいってんでしかない

冤罪のために

もう一度 制服を身にまとい

歩き出す

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