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(12)ヘクソカズラと脱走

今朝は軽く草を抜いて、さて次は部屋で作業をと思ったら窓が5センチほど開いていてジジがいない。しまった。家が傾いていて庭側の窓はすぐに開くのでストッパーをしていたのに。午後から仕事なので早く見つけなければ。ぐるっと家の周りを見たけどいない。汗だくなので、とりあえずシャワーを浴びてそのまま出勤になってもいいように準備をしながらどちらへ向かったか考えてみて、もう一度見に行ったが姿が見えない。表に出てまだ同じ番地内のどこかにいるはずだから、ジジの名前を呼びながら歩く。番地を一周してから裏庭に戻り、隣家との境をくまなく見ていくと、南角を接して3メートルくらいの崖下にある家の庭からジジが見上げていた、と思ったらくるっと背を向けて逃げて行く。一瞬躊躇したが、境の側溝沿いに降りると段差は1メートル位になるので駆け下りて追いかけた。追いかけて他所の家の庭をすり抜けて通りへ出るとジジが引き返したので私も戻る。そのまま帰ればいいのに盆栽の棚の下にうずくまって、私に向かってフゥゥゥと唸っている。仕方がないのでしゃがんで優しい声で、ジジ、と話しかけていると次第に声がニャァに変わったのでそうっと手を出して捕まえたとたん、その家の老夫婦から良かったわねえ!と声をかけられた。様子を見ていたらしかった。奥さんが玄関を開けてくれたので、ジジを抱いて通りを歩いて家に帰った。

ボクは悪くない。

そうでしょうとも、悪いのは私です。ジジは私をよく観察していて、調子が今ひとつでボンヤリしていると寛いでいる様子を見せて安心させた後にサッと姿を消す。だいたい私はボンヤリしやすい性分でスキがあるのだ。日曜日にも南天の木を切っていた時に顎の下をブヨに刺されたらしくて、午後になってから急に腫れてきたのもそうだ。帰宅して薬をつけたが朝見ても顎から喉にかけて腫れてしまって、なんだかペリカンみたい。痛み痒みはさほどないのに見た目が中々すごくて、しかも腫れが広がってきているからリンパ節まで届いてしまったら毒が全身に運ばれてタイヘンな事になってしまわないか? 午前中は忘れていたのは刺されて直ぐに塗ったヘクソカズラで作ったスプレーが効いたのかもしれない。ヘクソカズラの焼酎漬けとミントオイルを水で薄めた虫除けスプレー。昨夜は希釈しない液をそのまま付けたが揮発して効果が持続しないので、庭からヘクソカズラの葉を摘んで乳鉢ですり潰してガーゼに挟んで患部に当てた。

桑の葉で染めをする予定だったから、薬局や病院へ行く時間が惜しくて時代劇や歴史マンガなどの記憶を頼りにしてみたが、午前、午後、就寝前の三回取替えたら翌朝ペリカンではなくなっていた。取替えまでも乾いたなと感じたらスプレーをしたのも良かったと思う。ヘクソカズラは匂いはあるが保湿効果もある薬草だから覚えておくととても重宝だと思う。この時期は緑の葉で秋になると艶やかな茶の実をつける。

兎に角腫れが引いたので外出ついでにムヒEXを買って薬をつけ、その後はどんどん良くなって鏡で見てもポツンと赤くなっているくらい。ただし。普段は自分の顎から喉などあまり見ないので、ペリカン喉を見た時にも何だか変だけど違和感は腫れてるせいかなと思ったのが、腫れが引いてから、耳の方へ頬をかるく引っ張ってみたりして観察した結果、間違いなくこれは弛んでいると判明した。最近鏡を見て感じていたピンと来ない感じも弛みだったのかも。ちょうどコロナでずっとマスクなので顔体操を小まめにしてみることにした。

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