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最後はぐう義務教いぐう

いつかどうしても読んでみたい漫画がある。
聖日出夫先生「試験あらし」

1970年代に少年サンデーで連載されたストーリーは出来の悪い主人公が「いかにカンニングをするか」と、主人公の敵にあたる教師の軍の「いかにカンニングを見破るか」の、お受験戦争を単行本計5冊に渡り描かれている作品。

高校受験から始まる物語はその後、すべての試験を奇想天外のカンニング手法で乗り切ろうとし、最後らへんは東大受験カンニング合格を目指し、最後の最後らへんでは司法試験カンニング合格を目指そうとする、夢のあるサクセスストーリー。
昭和の時代だから許された夢のある漫画だ。

「男どアホウ甲子園」にも東大受験をカンニングで合格しようと奮闘する場面があります。
主人公の父親の趣味が大学入試問題の予想。的中率は意外とよく当たるらしく、父親が見立てた予想解答を丸暗記。仲間達に野球のブロックサインで答えを送って貰いながら入学試験に挑戦。そして見事に東大合格。

おそらく水島新司先生のおふざけが過ぎたその場面にインスパイアを受け試験あらしは描かれた作品だと憶測されます。
ずるい・ばかばかしい・意地汚い・セコい・ケチくさい・へこたれない。
貧乏人が思い付くような発想と笑い。絶対死ぬまでに一読したい漫画「試験あらし」

復刊希望

時は流れ2000年代初期の時代だから許された、『しんどけ第一世代』の女子中学生と教師の愛のぐう2発のお話を此処に告白します。


『勉強する意味をそもそも理解していない学生』
私はそんなぱっぱらぱあーな中学生でした。
『みんな何をやってんだろ〜』と思いながら授業中の机上、上の空に広がる真っ白けなひつじ雲を数えながらSheep Meets Sleep。
黒板の文字をノートに複写する姿勢を真面目に執り行なわずTo Dream。

しかし必ずやってくる中間期末テスト行事。
ノートは真っ白。勉強をしていないからどうしようもない。今どこを習っているのか分からない。おおよそここらへんだろうな〜と目星をつけた出題範囲の解答を、消しゴム、学生服のリボン、ポロシャツの襟元、テスト前日の放課後の教室に1人居残り前席の椅子にこっそり薄く書き込む。

それら『ずる』の括りで呼ばれる悪事を全て実戦しテスト行事に挑み、そして。
毎回先生にずるがバレてしまい職員室へ連行。

愛のあるぱあでシバかれます。
又、ずるしたカンニング解答も間違えており、もう1発ぱあは飛んできて、頭ぱあのぱあと2発。

5教科の中で最も一番ずるをした教科は社会。
ぱあぱあシバきながら先生はよく仰ってくれました。

「カンニングするならテストに出る範囲をカンニングをしろ。せめて答えの範囲のピントを合わせて来い、しんどけ」

プロレスラー藤原組長に瓜二つなお顔で日活レトロブラウンサングラスをかけた社会担当の先生の、日頃の口癖は「しんどけ」でした。

当時はしんどけ先生の仰っている甘言や口癖のしんどけという金言。何を仰っているのかさっぱり理解しておらず、ぱあでシバかれる度にへらへら笑いながら何でいつもバレちゃうのかなあ〜?と不思議に思っておりました。

しんどけ先生は、ぱあでシバいた直後は生徒を優しくアフターフォロー。まるで腕枕のなか頭を撫でて愛でてと包容力のある男っぷりでカンニングのコツを伝授してくださり、吐息は長年吸い続けた煙草の香りが漂っていました。

しんどけ先生曰く私のカンニング行為は、江戸幕府時代のテストの範囲に置いて奈良時代の範囲の準備を整えていたりと『的外れカンニング行為』そこを危険視されているとのことでした。

的だピントだ困惑です。
授業は眠くなる呪文を聴いている感覚、目を開いたまま寝る努力し目開き睡眠術を習得、聖徳太子が建立した寺は少林寺、少林寺拳法を作った人が聖徳太子、福岡のお隣は滋賀、奈良の給食には鹿せんべい、愛媛の蛇口からはみかんジュース、ホトトギスはホッチキス、迷いも曇りもなく思い込んでいる脳味噌です。

テスト時はなんか書いときゃどうにかなる。前向き大雑把思考で未来のプランは真っ白け、全く走らないのに体育の評価は3だから将来マラソンランナーになると三者面談で自信満々に言い出す生徒。

しんどけぱあぱあとシバいても必ずバレるカンニングを辞めず、しんどけぱあぱあとシバいてもけろっと開き直りシバかれ慣れ、しんどけぱあぱあとシバいてもへらへらへらへとシバかれ続ける凸でたものが何一つもない女子中学生。

いよいよ三年生の最後の期末テストの前日。

あほを何発もシバいて掌を痛くした優しいしんどけ先生は、しんどくべき生徒を不憫に思われたようで、放課後職員室に呼び出し『カンニングするといい答えの範囲』を職員室で時間をかけて丁寧に。『明日テストに出る答えをそのまんま』を一問一答しっかりと教えました。


生徒はその晩。しんどけ先生から教えて頂いた答えを0.38ミリの油性ボールペンで自分の掌に『どこまで字を小さく指と指の間に書けるか』百点満点を目指し徹夜でテスト勉強に励みました。


後日戻って来た社会テストの答案用紙点数0点。

暗記をするという発想が義務ゆとり教育時代の最後の最後まで身につかなかった。
出題の問題と答えそのまんま教えてあげたのに。

窓の外は白雪の降る校庭を遠く細目に眺めながらしんどけ先生は仰いました。

「通知表評価0をやりたい今の内に、しんどけ」

最後までぱあでシバかれちゃうなあ〜と呑気にらりらりらと構えるとしんどけ先生は視線をくるりとこちらへ向き固く拳を握りました。

口癖の「しんどけ」を仰りながら、しんどくべき生徒の脳天目掛けて、拳骨卒業証書授与。

かんにんぐう。
最後はぐう義務教いぐう。

ぐう2発の衝撃は、頭上に蛍が電光石火でびゅんびゅん飛び回るような。その蛍はぐるぐるぐるぐ回りすぎてバターになるような。蛍の蚊柱ぷんぷん遊泳。目ん玉溶ろけてお星さま。痛え超痛え頭割れちゃう堪忍ぐうわぐわぐわぐん。

空っぽが行き過ぎた脳味噌をしんどけ先生は愛を込めた2発のぐうでシバいてくださいました。

嗚呼。ちびくろさんぼ。回転蛍バター。卒業後パンケーキ食べたいな〜。仰げば尊く光りました。

回転虎バター

学ばせる教師側からするとゆとり教育は学力低下で失敗だったねというお話でもなく、全くお話にならない失敗の焦点とピントすら合っていない残念な生徒。

ゆとり第一世代の括りに入れることすら烏滸がましい『しんどけ第一世代』そもそも学校に何をしに来とるのだテスト中ちらちらこっちを見やって頼むから上手に気付かれずにカンニングしてく最後はぐう義務教いぐう。

0点チャンピオン世代 / 勇気100%。
しんどけ先生!わたしは今すこしだけ人間様の使う言葉を喋れるようになりました!感謝です‼︎

「いつか読んでカンニングを勉強しろ、しんどけ」
冒頭の「試験あらし」はしんどけ先生からお勧めされた夢のある漫画です。

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