どうでも良い話②:「売らないか?」と家凸してくる投資不動産のビジネスモデル

 私はもともと趣味に全振りした生活で、結婚も諦めて「いつ死んでもええねん!」とノーフューチャーな生活を送っている。とはいえ、全く老後の事を考えていないわけでもなく、うっかり長生きできちゃったときのことも考え、無駄に高い社会的地位に起因する信用力を利用して、投資用マンションを何部屋か保有していたりします。

 20年前くらいは一通りの投資不動産会社が「買わないか?」と営業電話やメールが来て煩かったのですが、ここ数年は不動産価格の上昇からかのか「売りませんか」って電話が頻繁に来る。
 どれくらい来るかというと、「買わないか?」時代も「売りませんか?」時代も1日研究室にいれば数回、研究室あてに営業電話が来る。数年前からは、どこから漏れたのか自前の携帯電話に週イチペースで、「売りませんか?」と電話がかかってきて、仕事にならないので軒並み着信拒否にした。

 そうしたら、去年くらいから自宅に直接来るようになりました。

「高橋さんのお持ちの物件を買いたいという方がいらっしゃいまして、ご意向をお伺いに……」

 だいたいが、このパターンである。
 もし高く売れるなら、それはそれで今後の資産運用計画が変わってくるわけで、正直、興味がないわけではありません。とすれば、私の意向は一択です。

「じゃあ、いくらで買うと言っているか教えて。それを聞いてから判断するから」

 さて、この「いくらで買うの?」という私からの問いに、営業マンは絶対に答えてくれません。値段を出すために「金利」とか「毎月の支払い」とか「家賃と月の収支がいくらなのか」とか、情報を教えてくれとかなんとか逃げまくって、絶対に教えてくれない。

「買いたいって人がいて、交渉を任されているわけでしょ? じゃあ、いくらで買いたいのか、いくらまでなら出せるのか、その人に聞きにいけるよね? こっちは値段を出してくれたら考えると、何度も言っているよね? なんで、そのためにこっちの細々とした情報を渡す必要があるの? その理由すら説明できない上に、ガキのお使い以下のことすらできないの?」

 こんな感じで問い詰めていったところ、向こうが「買取価格を提示したら考える」という話を「売る気がある」と既成事実化しようと変えてきたので、その場でブチ切れて、今まで以上に圧をかけて問い詰めてみました。本人は言い逃れしているつもりなのですが、情報の断片をつなぎ合わせると、うっすらと「売らないか不動産」のビジネスモデルが見えてきました。

①どうやら、資金をどっかから調達している(たぶん銀行から融資を受けていて、期限内に売買を成立させて売上を挙げなければ経営破綻する状態)。

②その資金を元手に、物件を買い叩いて、高く転売して利ざや稼ぐのが最終目的。

③その際、投資物件の持ち主から金利とか家賃とか収支を聞き取り、「赤字だから売ってしまいましょう」と誘導しつつ、「赤字になる物件だから、この相場価格でしか変えません。でも、損するだけよりマシですよね」と買い叩く交渉をしていく。

④買い叩いた後は、不動産価格の上昇にあわせて転売してウマーを目指す。

 そりゃ、「買取価格」を絶対に言いたくないわけです。最後の最後には、「正確なことは言えませんが、少し残債が残る程度の価格になるかと……」などと、シドロモドロになりつつ答えました。今の時代、不動産価格の相場なんてネットで調べたら一発で分かるわけですよ。残債残るってあんた、相場から大幅に下回る金額を出す気満々やんけ!

 というわけで、「今日からあんたら、詐欺師と泥棒と同じカテゴリに入れるから、二度とくるな!」と追い返しました。この時に問い詰めた業者以外にも、自宅にまで来た数社にも同じ問い詰め方をしていって、回答内容も揃いも揃って同じでした。
 これはバブル期の地上げのスキームと同じだと思うのですが、あの時と違って現代は不動産業者と消費者の間で情報の非対称性があまりない時代です。そうう簡単に騙されるやつが居るわけねぇだろって思うのですが、高齢者狙って数撃ちゃ当たる方式でいけば、今でもそれなりに上手く回るスキームなのかもしれません。
 とりあえず、私的には「不動産オーナーに損を被せるほど、自分たちの利益が増える」というビジネスモデルと見えましたので、この手の不動産屋が営業に来たら、可能な限り無視すると言う方針をとることにしました。

 さて、全業者に「二度とくるな!」と追い返したのにも関わらず、2社ほど繰り返し家凸してきました。「とにかく話を聞いてくれ」と言われましたが、こちらからすると、販売価格を一切出さずに個人情報欲しがり続ける時点で、「こちらに損をかぶせて儲けるスキーム」にしか見えませんし、それを指摘して「違うならどこが違うか話して。納得できたら、次の話に進んでやるから」といっても、「金利・家賃・収支の情報くれ」の一点張り。こちらの疑問を解消する内容は一切は無いのを、隠すつもりがないのはいっそのこと清々しい。

 最終的には、騒音で迷惑になったり、不法侵入かましてきたりで「おお、これがバブル期の地上げ屋のやり方なのか」と感心しつつ、警察に通報しました。「また来るからな!」的な捨て台詞を吐いて逃げ出しましたが、その後は、ぴたっと家凸が止まっています。

 こういう記事を書くと、「うちはそんな悪徳会社と違うから、一度話をしませんか」的なメールがいっぱいくるような気もしますが、似たようなことで悩んでいる人も多いと思いますので、ひとまず情報共有まで。みなさん、儲け話にはご注意を。だいたいにおいて、そういう話は「私以外」が儲かるための仕組みですから。

 あと、私に今回の件でこの手の業者は「詐欺師か泥棒」のカテゴリに入れましたので、お互いに近づかないのが平和だと思いますよ>業者の方へ。



 

 
 
 

 

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