ロマンスはエンターテインメント
クリスマスが近いからか、とろとろでたっぷりしたバラードばかりを聞いている。
特にディズニーのテーマソングをアカペラで歌っているこのYoutubeを、いつのまにかひたすらヘビロテしていることも。
とろとろ濃厚なバラードはいい。
恍惚とさせてくれるし、ディズニーの映画はほとんど見ているから、聞いているだけでワンシーンが浮かんできて、その中を泳いでいる感覚になれる。魔法みたい。
コスパのいい、上物のエンターテインメントだ。
と、ここで対義語として浮かぶのは、Siaの「Cheap Thrill」。
わたしはたいして洋楽に詳しくないけれど、Siaだけはアルバムを全部聞いている。
その中でも、「Cheap Thrills」は好き。
これは、ぜんぜんとろとろしてない、むしろカラッカラのフライデーナイトを過ごす女性の心だと、わたしは解釈している。
一緒にダンスをする友達、もしくは恋人はいるけれど、それではなんか満たされない。「Cheap Thrill」は、“安い娯楽”、とでも訳せましょうか。Thrillは刺激、という意味だけど、娯楽でもあるんじゃないかしら、とか。
でも安い娯楽は、とろとろのロマンスより、確実に肌に近い成分でできている感じ。
ロマンスは、現実から遠ければ遠いほどキラキラする。エンターテインメントで有り続けるうちがロマンスだ。
現実になったとたん、生もので、手入れをしていないとすぐ腐る。
でも生活って、つまりそういうことなんじゃないかと思う。
他人にとってはどうでもいいこと、日々何を食べるかとか、お風呂に入るかシャワーで済ますかとか、本当に記録にすることでもない、他愛もないことばかりの積み重ねで、それはエンタメにはなりえない。
ロマンスは、永遠に手の届かない、とろとろの世界の中でぷかぷか浮かんでいて欲しい。
わたしは安い娯楽を食いつぶしつつ、他人事のロマンスをうっとり楽しみながら、あれ、安いのはどっち?とか思いながら、師走の浮足立った忙しない日々を駆け抜ける。
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