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「花束みたいな恋をした」感想

 先日、映画「花束みたいな恋をした」を鑑賞してきました。ネタバレありです。
 この映画に関しては、各々感想を語りたくなる人が多いんじゃないかなと思い、久しぶりにnoteを開きました。案の定たくさんの人が感想を載せていて、楽しく読ませていただきました。

あらすじ

 菅田将暉さんと有村架純さん演じる男女の大学生の出会いから交際、別れまでを描いた物語。
 麦(菅田将暉)と絹(有村架純)はどこにでもいるような大学生。ある日、終電を逃したことをきっかけに知り合い、読書や音楽、映画の趣味が同じ2人は意気投合し、デートを重ねる。数回目のデートで付き合うことになった2人は幸せな時間を過ごすが、就活、大学卒業を経て、2人の関係性は少しずつ変わっていく。

サブカル

 この映画の見どころの一つとして、サブカルチャーの良さがあるんです。
 ストーリーは、映画冒頭の2020年から遡り、出会いの2015年から始まるのですが、きちんとその年代の音楽や出来事が反映されている。懐かしい、までは行かないけど数年前の音楽やゲーム、映画で当時を思い出した人は少なくないはず。
 良い映画を見た後は数日、サントラや挿入歌を聞いて余韻に浸る私ですが、この映画もご多分に漏れず、プレイリストを作って聴いています。

どこにでもある恋愛

 この映画が話題になるのは、恐らく、「どこにでもある恋愛」を描いているから。少女漫画みたいな夢のような恋愛ではなく、おとぎ話みたいな非現実的な話ではなく、等身大の恋愛。
 きっと誰もが経験したことのあるような恋愛がテーマだからこそ、自分の経験と重ね合わせて思い出して、共感して、大切にしたくなる。この映画には、恋愛における共感ポイントがたくさんあります。

3回目のデート

 「3回目のデートで何もなかったら友達になる」という通説。麦と絹の2人はその通説通り、お互いに3回目のデートで告白する決心をしています。終電までに言わないと、言わないと、と思いつつ全然違う話をしてしまう。なかなか告白の雰囲気に持っていけない。あるあるですね。
 いつものファミレスの店員さんのお膳立て?アシスト?があり、告白は成功。幸せいっぱい。

押しボタン式信号

 無事付き合うことになった2人。麦は絹を家の近くまで送りますが、信号がなかなか変わらない。その待ち時間に初めてのキスをします。そこまではしたことないけど、好きな人と出かけた帰り、信号変わらないねーって言っていたら押しボタン式だった、というのを思い出しました。甘酸っぱいな。

草履で駆けつけた麦

 就職活動を始めた絹。麦はある夜、絹からの1本の電話に出るが、絹の様子がおかしいことに気づき、絹の元へ草履に家着で駆けつけます。絹は連日、圧迫面接を受けていたのでした。彼女の異変に声だけで気づいて、しかも駆けつけてくれるなんて、ヒーローかよ。

同棲

 無理にしたくない仕事に就く必要ない、と麦が同棲を提案し、2人は一緒に住み始めます。駅から徒歩30分の物件に、ワクワクしながら荷物を運び込む2人。楽しそう。

就職

 大学を卒業し、フリーターになった2人。麦はイラストを描くバイト、絹はジェラートショップでのバイト。しかし、双方の親から就職を勧められ、麦は月5万円の仕送りも打ち切られてしまいます。2人は就職活動を始め、絹は歯科医院の受付、麦は物流会社に就職します。麦は「俺の目標は絹ちゃんとの現状維持」と宣言。
 大学を出てフリーターになるところまでは分かりますが、親から仕送りしてもらうのは価値観が相容れないな、麦。

"じゃあ"だったら行きたくない

 物流会社の営業部に配属され、毎日仕事に追われる麦。ある週末、2人は舞台を観に行く約束をします。しかし、その翌日に出張の予定がある麦。前乗りの話があることを絹に伝えると、表情が曇る絹。2人で観に行く舞台をとても楽しみにしていました。絹の顔を見て、「じゃあ、前乗りは断っておく」という麦に、絹は、「"じゃあ"なら行きたくない」と言います。
 わたし的に、ここが1番の共感ポイントでした。断れるなら最初から言うな。わたしに何も聞かなくても、自分の意思でわたしを優先してほしいんです。わたしが行きたがるから、仕方なく予定を空けるのでは意味がないんです。女性はこんな経験あるんじゃないでしょうか。

最も美しい呪い

 最後に、私の印象的だったフレーズ。

別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
花は毎年必ず咲きます。

 絹が恋愛ブロガーの記事で読んだというこのフレーズ、元ネタは川端康成の「掌の小説」に出てくる一説。花の名前を教えられた男性は、別れてしまっても、花を見るたびに元恋人のことを思い出すのです。これを最も美しい呪いという人もいるそうです。
 これって、映画のタイトルにも通じてると思いませんか?「花束みたいな恋をした」、始めは、キラキラの思い出がいっぱいの、素敵な恋っていう意味だと思ってたんです。でも帰宅してパンフレットを開いた時、1ページ目がこれだったんです。

2人で聞いた歌、2人で歩いた道、2人で食べた焼きそばパンの味。ぜんぶを覚えていて、きっと2人はそれらを見、聞き、感じる度にこの恋を思い出す。あの歌が、あの道が、あの味が、麦と絹にとっての"花"なんです。2人で楽しんだもの全てが花束のように、この恋を思い出すきっかけになる、そういう意味でのタイトルなんじゃないかなと思いました。違ったらごめん。

最後に

 あぁ、軽く書くだけのつもりだったのにまぁまぁな分量書いてしまった。日記というか、感想というか、備忘録のようなものなので、まぁいいか。久しぶりに、後味の良い映画を見た気がします。今回は1人で見たけど、もう一度、次は大事な人と一緒に観に行こうかな。

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