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マンハッタンカフェの楽園と育成シナリオ

アローラ、岬サニーゴです。

安定の月1更新に何を書くか考えた結果、この間気付いた楽園というウマ楽曲の解釈でもしようかなと思いました。それに加え、年末に引いたマンハッタンカフェの育成シナリオがべらぼうに優れていたので、その内容も絡めてマンハッタンカフェと楽園についての話をします。


楽園


いい曲。Lucky Comes True!の次に好き



マンハッタンカフェの史実とキャラクター

マンハッタンカフェがウマ娘として走るのは、レース場で誰よりも速く駆け抜ける『お友だち』の顔を見るためです。『お友だち』が何かは後々察しが付きますが、まあ幽霊のようなものと考えて差し支えありません。そんな他の娘が見えないものが見える霊感体質なカフェは、あまり社交的とは言えない性格に育ちました。それでも『お友だち』に導かれるようにしてトレセン学園で走りに励んでいます。オカルトに傾倒していることと内向的なキャラ設定も相まって、黒い髪黒い私服に濁った目が特徴です。


←ゲーム | マンハッタンカフェ | 原案→


史実での世代は世紀末覇王ことテイエムオペラオーの2年後、ウマ娘で変わり者の科学者として描かれるアグネスタキオンとは同じサンデーサイレンス産駒で同期です。が、そんな彼女と争ったのは弥生賞のたった一度だけとなりました。弥生賞の次、タキオンは皐月賞を制した後に故障が発生し引退、一方カフェは虚弱体質が災いしてクラシック期の春に体調を崩し休養、本領を発揮したのはクラシック期の夏からです。


←ゲーム | アグネスタキオン | 原案→


カフェは休養が明けてからの健闘により菊花賞の出走権を得て、見事勝利しました。年末にはテイエムオペラオーとメイショウドトウのラストランでもある有馬記念を3番人気で制し、春天を一着に収めた後フランスの凱旋門賞へと足を進めます。この遠征は体質の弱さと蹄に不安を抱えていることが不安視されており、凱旋門賞の後に屈腱炎の発症(元の不安とは関係のない病)が確認され、13着に終わったそのレースが最後のターフとなりました。

このようにカフェはタキオンと同じくウマ娘の育成よりも短い競走馬生なため、育成シナリオではifストーリーが挟まります。まあシナリオの話は後ほど。


とにかく、カフェは霊感体質なことと少し不気味でダークなビジュアルを持つこと、そして故障の不安を持つことが一般的な事前情報かと思います。


歌詞との対応

ここまでの情報を元に歌詞を見ると、色々な連想ができると思います。例えば

ねえ あの夜追い越して いつか辿りつく
ねえ 夢はいつもどうして 儚く色褪せてく

楽園1A

は順調にG1レースを勝ち進めていき凱旋門賞に挑み、しかし奮わなかったことが、例えば

今すぐねえ 狙い定めて
永遠なんて退屈なゲームはいらない
my fatality

楽園2B

は持病を持ち厭世的な側面があることと、霊魂である『お友だち』をmy fatality(直訳:私の死者)と呼んでいることが想像できます。


こうなってくると"楽園"が何を指すのかなんとなく分かりそうですが、個人的に腑に落ちない点がいくつかあります。

1つはサビに登場する

幾千の風が光へと散った

楽園1サビ

という表現です。過去たくさんの競走馬が散ってきたという話だとは思いますが、ここで"光へと"というワードを入れる理由がそこまでわかりません。同様にCメロの「輝きは消えないから」というフレーズも意味深です。

そしてサビ終わりの

This is my love song

楽園1サビ

も違和感があります。『お友だち』をひたすらに追い続けるのはある種ラブコールかもしれませんが、それにしてもラブソングはないでしょう。さらに、その対象を指す言葉はCメロの「あなたが連れて行って」の"あなた"しか存在しません。ここはカフェの陰気性が発揮できるとも解釈できますが、それならばなおさらラブソングにはならなくないかとも考えられます。


以上の疑問点を解決する解釈が天から降ってきたので、以下に示そうかと思います。

つまり、ウマの育成シナリオのネタバレが始まるということです。ご了承ください。まずは育成シナリオで解釈に必要な部分を順に紹介します。


育成シナリオ

旅先案内人『お友だち』

『お友だち』はカフェにとって唯一無二の存在で、幸せをくれる対象です。昔からこの『お友だち』が誘うままに行動した結果、必ずそこに楽しいことが待ち受けていたのです。ただ、この『お友だち』は常にカフェの前を走っているため、『お友だち』の顔を見たことがありません。あの子に追いつきたい、そう思った彼女はトゥインクルシリーズに参加し、トレーナーの意見も聞きつつ『お友だち』が指し示すレースに出走していきます。
この指し示すというのは単にそう語りかけるだけの場合もあれば、ドスンと強く背中を押されるような感覚の場合もあり、またポルターガイスト現象のうな怪奇現象を伴う場合もあるなど様々です。このことや、後で出てくる転換機の描写から、『お友だち』複数人(?)説があったりもします。というか割と有力らしいです。が、今回は『お友だち』単体説を採用して話を進めます。

また、育成シナリオにおいてトレーナーがカフェとトレーナー契約を結んだ際に、あの子に追いつき追い越すために努力すると約束を結んでいます。このこともあり、節々で『お友だち』の導きに従ってレースが決まります。

目標達成の後に・変心


皐月タキオン

カフェの育成シナリオを語るのにこのキャラクターだけは欠かせません。タキオンはウマ娘の限界に到達することを目的としており、自身の育成シナリオでは自分自身が限界に挑む「プランA」を選択しました。しかし、カフェの育成シナリオでは他のウマ娘を代わりに到達させる「プランB」を選択し、そのウマ娘にカフェを選びます。
ある意味史実通り皐月賞をもって走ることを辞めたタキオンは、カフェのアドバイザーとして走りのコツを指導したりトレーニングに口を出してきたりします。

ちなみにタキオンは『お友だち』が見えない上に、その存在をあまり信じていません。カフェのイマジナリーフレンドと仮定して話を進めたりしています。
一方で、カフェはタキオンに『お友だち』に似た何かを感じたため、その他の条件も込みでタキオンがアドバイザーになることを許します。これ伏線ね。

退身


有馬オペドトウ

強いウマと戦えば戦うほど『お友だち』に近づけると気づいたカフェは、トレーナーの提案もあり、古馬と戦える有馬記念に出走します。
パドックでテイエムオペラオーやメイショウドトウと対面した際、彼女らには『お友だち』を見出すことはできませんでした。またこの有馬記念では『お友だち』が今まで以上に速くゴールし、カフェはその事実に焦りを覚えます。カフェの感性が少しずつ尖ってくる感じがいいですね。

有馬記念の後、次に出走するレースは春天に決まりました。が、それはカフェの意思でもトレーナーの意思でもなく……

有馬記念の後に・妖異


そしてフランスへ……

春天の後、カフェは『お友だち』の強烈な意思に導かれて凱旋門賞に出走したいと言います。カフェの体質を考えタキオンはこの判断に難色を示しますが、トレーナーはカフェの夢を応援する約束から海外遠征を支持しました。

いよいよ遠征当日となった搭乗の直前、タキオンは再度この遠征の危険性を表明し、カフェではなくトレーナーをあからさまに説得してきます、あくまで客観的な視点と称して。タキオンの揺れる瞳の奥に動かされたトレーナーは「カフェの成功と存続が、夢より大切だ」と結論づけました。
それでもカフェは一人でフランスへ向かおうとします。そしてその途中で脚が動かなくなります。足を止めたカフェに対し『お友だち』は力強く叫びましたが、カフェが搭乗することはありませんでした。

ここで『お友だち』が2人いて片方が脚を止めたという解釈がありますが、ここはストレートにカフェにとってトレーナーとタキオンが『お友だち』と同じかそれ以上に大切だと認識したからと考えます。ざっくり言うと、カフェの足を止めたのは感情だという解釈です。

別離


春天スペ、宝塚スズカ、ジャパンCロブロイ

フランス遠征をやめたカフェは、宝塚記念でサイレンススズカと、ジャパンカップでゼンノロブロイと戦います。ちなみに春天ではスペシャルウィークと戦っており、それぞれ『お友だち』に似た何かを感じます。

魔女

この辺りでカンのいい人は気づくらしいんですが、この馬達は父馬が同じという共通点を持ちます。そのため、『お友だち』をカフェの父馬サンデーサイレンス(がウマ世界へ霊魂として迷い込んだもの)と考えると、スペやスズカに『お友だち』を感じたことも納得がいきます。逆にオペラオーやドトウにはサンデーサイレンスの血が流れていないため、クラシック有馬で彼女らに『お友だち』を見出だせなかったことも説明できます。

ところで、カフェの育成シナリオにはあと一人サンデーサイレンス産駒がいますよね……

有馬の光

シニア期の有馬記念、最後の目標レースには今までアドバイザーとして従事していたアグネスタキオンの姿がありました。

有馬記念にむけて

プランBを選択し、ウマ娘としての活動を無期限休止していたはずの彼女がなぜ有馬記念に出走したのか、この展開がかなり明示的に示唆されたのは、カフェが宝塚記念を制した時点です。

宝塚記念でカフェはウマ娘の限界のその先に、ついに届きそうになりました。その瞬間を目の当たりにしたタキオンは異様に興奮し、カフェに感想を求めますが、話を聞くうちに彼女の様子がおかしくなってきます。伏せられたウマ娘としての渇望、誰よりも速く走りたいという衝動が彼女を支配し始めたのです。それはまるでカフェが『お友だち』の意思に従うかのような様相で、タキオンはそんな衝動と科学者・観測者としての自分との間で揺れ動きます。

宝塚記念の後に・神界

補足しておくと、タキオン自身の育成シナリオにて彼女は自分の脚が脆さを秘めていることを明かします。そのため自分自身がウマ娘の限界を超えるのは難しいと考え、カフェの育成シナリオではカフェに限界へ到達してもらうプランBを選択したのです。

そんな彼女が、皐月賞から1年以上もターフを走っていない彼女が僅かな可能性にかけ、6月後半から12月後半の半年間で完全に復活する話、ヤバくないわけがないんですよね。

有馬記念にむけて


『お友だち』とは

『お友だち』はサンデーサイレンス異世界転生魂だという話はしましたが、それでは彼はこの物語の中ではどういった存在だったのでしょうか。

色々と解釈はあると思いますが、作中での話を総括すると、ウマ娘の限界へと導く存在だと考えています。ただそこに善悪は無いため、カフェを凱旋門賞へ導くなどのウマ娘の身体を顧みない選択も勧めてしまうのです。また、彼が導くウマ娘はサンデーサイレンス産駒全体であるとも考えており、例えばスズカの激しさであったりロブロイの崩れない心も、形は違えどサンデーサイレンスの導きかもしれません。そして、タキオンの限界のその先を見たいという欲望も、宝塚記念の後に自身で限界を突破したいという渇望も、同じくサンデーサイレンスの導きだと考えます。

夏合宿(3年目)終了


歌詞考察のピース

ここから本題。自分のntoeは毎度イントロが長すぎると話題。

歌詞考察のピースということで、歌詞中に出てくるワードでほぼほぼ一意に定まるものをここで羅列しようと思います。


1. 幾千の風

端的に言うと今までのウマ娘のこと、特にサンデーサイレンス産駒のことだと考えます。サンデーサイレンスは産駒数1530頭であり、幾千の部分がほんのり対応してますね。

2. 光、輝き

このワードは育成シナリオの中に何度も出現します。特に顕著なのは、宝塚記念の後です。

あの……一瞬……。
遠くに……見たことのない光が……

今、私たちが生きている世界……。でも、あの遠くの光は……。
この世界にはないものに思えた。『お友だち』だけが……知る光……。
あそこに触れると……何もかもが変わってしまいそうな。幻だったものが幻でなくなり……。
ウマ娘として生まれた意味……。それすら、わかりそうな……。

宝塚記念の後に・神界

また、光といえば継承のシーンは光が強調されますし、ゲームOPの異世界転生の話でも光や輝きに触れられていました。このことからも、光は現実世界にしか存在しない何かだと考えられます。

その上で『幾千の風が光へと散った』や『まだ見ぬゴールへと光が散った』などの文章から光が具体的に何かを考えてみたんですが、結局はっきりとはわかりませんでした。雰囲気的には(現実世界で)レースを制覇できなかったとか引退した(ウマ娘化した?)みたいな内容な気がしますが、正直よくわかりません。光それ自体は栄光とかが一番近い訳かとは考えていますが、栄光は別にウマ娘にもあるものですし、そこそこ恣意的な解釈をする必要があります。なんなんですかね。

一方で『輝きは消えないから』は、サンデーサイレンスという種の栄光が消えないことをそのまま指していると考えています。まあ自分がしたい解釈では別の話になったりはしますが……。

3. 全ての色を失っても 辿り着きたい場所がある

Cメロの前半部分ですね。"全て"という部分に着目すると、こちらも似た文脈の話が育成シナリオに存在します。

どこまでも目指せる……。
全てを投げ捨ててでも、もっと先へ……。

宝塚記念の後に・神界

『有馬記念』で、私は━━そこにいるマンハッタンカフェとグランプリ覇者の座を競う!
私の力、全てを賭けてね。発表は以上だ。

ジャパンCの後に・復活

『皐月賞』を走ってみて……やはりこの大舞台に私の脚は耐えられないと感じた。

それに,プランAの研究も進みが悪くてね。私のピーク中に、間に合うとは思えなかった。
だから、プランBに舵を切った。

……それからは、自分の脚を壊すつもりで、他のウマ娘に試す薬用のデータを取っていた。

Report『告白』

色については最後まで決着が付きませんでしたが、内容的にはこの辺りの話だろうとは思っています。カフェとタキオンの色合いがモノトーンなことが関係あったりするんですかね。

4. 楽園

今までの流れと育成シナリオのラストからして、楽園とはウマ娘の限界の先へ行くこと、あるいはサンデーサイレンスの光が続くことです。

この限界の先へ行くことは、サンデーサイレンス産駒で凱旋門賞に勝利したいという意志な気もしています。日本の競走馬が凱旋門賞を制覇したことはなく、ある意味で日本競馬の限界の先とも言えるかも知れません。サンデーサイレンス産駒は国内外問わず様々なG1レースに勝利してきましたが、やはり凱旋門賞を制する馬は現れていません。そのため、限界の先へ行くことは凱旋門賞を勝利することかも知れませんし、その視点だと楽園とは凱旋門賞のことを指しているでしょう。

天皇賞(春)の後に・飛翔


俺の解釈はこれや!!!

以上の内容と史実を踏まえて、楽園をカフェ→『お友だち』の歌詞だと考えることが一般的でまっとうな解釈だとは思います。が、自分は育成シナリオのような文脈を汲んだ上での歌詞解釈が好きなので、それに挑戦してみます。

ノルマ

1番:『お友だち』→カフェ

1番はサンデーサイレンス視点の歌詞です。なぜならそう考えたほうが気分がいいので。

とはいえ、何も根拠がないわけではないです。例えば、カフェ視点だと

幾千の風が光へと散った

楽園1サビ

とか何の話かわからない気がします(ウマ娘世界にはこの種の光がないので)が、サンデーサイレンス視点だと産駒が振るわなかったんだなと理解できます。

夢はいつもどうして儚く色褪せてく

楽園1A

もカフェの視点だと考えるとズレた内容になっていますが、これがサンデーサイレンス視点だと考えれば同様に産駒がレースに勝てなかった話に繋がります。

ゴールはまだここじゃない

楽園1B

とかも、カフェよりはサンデーサイレンスの発言の方が理解できますしね。

また、この解釈だと1サビの「楽園」はおそらく凱旋門賞そのものです。凱旋門賞は世界最高峰の競走の1つであり、また種牡馬・繁殖牝馬の選定競走として最高峰のものでもあります。そんな凱旋門賞を産駒が制することは、サンデーサイレンスにとって名誉であり、繁栄に繋がることでしょう。


2番:カフェ→???

2番は1番と比べて感情的(?)な表現が目立ちます。例えば

この胸はどうして愛を求めてる

楽園2A

だったり、

加速した心であの楽園へ

楽園2サビ

などですね。これも1番と2番で視点が変わる根拠だったりします。

カフェもタキオンも感情が薄く描かれがちですが、決して感情が無いわけではありません。カフェはフランス遠征を(自分の解釈では)感情から取りやめましたし、タキオンもプランAを捨てれきれなかったりダービーに出れるなら出たいと言うシーンがあります。それこそ春天後のカフェ育成シナリオでのタキオンの表情を見ていればGOODな感情をたくさん見ることができていいです。やっぱ女と女の感情なんですよね。

話が逸れました。正直2番はそこまで解釈がまとまってないんですが、

動けないこのまま

楽園2A

とかはカフェのフランス遠征時の話なので、カフェ視点の話かなぁと思っています。しかし、カフェ視点だとすると、

まだ見ぬゴールへと光が散った

楽園2サビ

が1サビの「光はウマ娘世界に無いもの」という理論と矛盾します。

ここでタキオンの特異性が絡んできます。アグネスタキオンはウマ娘では"光速の探求者"とも呼ばれており、光というワードに最もマッチしたウマ娘です。実際、カフェの育成シナリオではこのようなことも言っています。

弥生賞の後に・道標

つまり、「まだ見ぬゴールへと光が散った」とは、タキオンが限界の先へ行く前にウマ娘としての活動を辞めてしまったことを指します。タキオンは他のウマ娘のためのデータ採取の目的で強敵と戦えるレースに積極的に出走していたため、そういう点が「ゴール"へと"」の解釈に繋げられたりもします。非常に良い。

つまり、2番はカフェ→タキオンの歌詞だという話をしています。

こう考えると、

永遠なんて退屈なゲームはいらない
my fatality

楽園2サビ

の部分は、お互いに限界の先へ進めるためにウマ娘としての人生を削っていることを指しているんでしょう。もちろんmy fatalityはカフェに全てを託して無期限休止をしているタキオンです。その上で

This is my love song

楽園2サビ

なんですよ。素晴らしいクソデカ感情。


Cメロ:輝きは消えないから

輝きは消えないから

楽園Cメロ

Q. カフェのストーリーで消えたと思われたが復活した輝きといえば?

……

…………

……………………

ジャパンCの後に・復活

A.

有馬記念にむけて


感情~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!


ということでね、Cメロはタキオン→カフェの感情という解釈をします。だってそれが一番気分いいから。

Cメロは短い上に大感情ポイントなので順番に見ていきましょう。

すべての色を失っても
辿り着きたい場所がある

楽園Cメロ

これはタキオンの育成シナリオで何度も語られてきたプランBの話です。つまり、自身のウマ娘としての生涯を犠牲にしてでも、ウマ娘の限界のその先を見たいという欲望です。

しかし、カフェの育成シナリオでは、宝塚記念の後にタキオンは新たな欲望に囚われます。それは、自分の脚で限界のその先を見たいという、ある意味ウマ娘としての本性です。その辺りの話が、有馬記念の直前のコミュでなされます。ここ長文なのシナリオライターの本気度が垣間見れて本当に良い。

クラシック級、皐月賞の後、私はレースを止め、君のアドバイザーに転身した。
針は壊した。そう、止めたのではなく壊したんだよ、自らね。そう決めた。
それで構わないと思った。自前である必要は別にないのだから。
そしてシニア級の夏。君は『宝塚記念』で私の想定していた領域の入り口に立った。
君からその光景をについて聞き……わたしの情動は激しく掻き立てられた!だが決断は1年前にすでに下した後……。

方法は2つさ。もう手には入らないと赤子のように泣き叫ぶか、それとも━━
針は壊れたのではなく、止めたことにしてしまうか。幸い私には科学があった。
科学にも不可能はある。だが問題はそこではない。科学を動かす理由が私にはなかった。
その理由……”鍵”が手に入ったんだよ。予期せぬ失敗の果てに”感情という鍵”が。
私は動いた。全てを投げ捨てて。
自分の体について執拗な研究を重ね、ゼロに近い可能性の壁を打ち破り━━
今━━ここに立っている。

有馬記念にむけて

つまりCメロのこの部分には、今までカフェに対して行ってきた研究が無駄になったとしても、自分自身でウマ娘の限界の先へ辿り着きたいという解釈も可能なわけです。自分は歌詞とシナリオを一致させるのが好きなので、こっちの方が好みです。

Cメロ後半に移ります。

あなたが連れて行って
遥かなる楽園へ

楽園Cメロ

まずは一般的な解釈から考えましょう。この一般的というのはカフェ視点の解釈ということです。あなたの対象は『お友だち』あるいはアドバイザーとして支えてくれたタキオンのことでしょう。そしてここでの”楽園”は、前者なら凱旋門賞や産駒の繁栄、後者ならウマ娘の限界の先を見ることです。

タキオン視点での解釈を始めますが、タキオンにとってのカフェの存在がまた有馬記念直前のコミュで話されます。ここに大事な情報詰め込みすぎだろ……

タキオンにとって、カフェは単なるライバルとは言えません。レース場ではそうかもしれませんが、アドバイザーとしてだったり研究室を共同で管理していたりと、お互いのレース以外での姿を知りすぎているからです。それでは彼女たちの関係は何と称すべきでしょうか。

有馬記念にむけて


今までカフェ→『お友だち』(サンデーサイレンス)の話を散々してきた後で、最後にタキオン→カフェの関係性も『お友だち』のそれだと明言されるの、シンプルに情動がバグるのでやめてほしい。何より全て一方通行な感情なのが在りし日の絶叫と重なるので。

さて、最後にこの「遥かなる楽園」の話をしなければなりません。といっても何度も言っているように、感情という鍵を手に入れたタキオンが自身の脚でウマ娘の限界の先へ行くことが彼女にとっての目標であり、楽園を指しています。ただ、その道のりについても彼女は触れています、有馬記念の後のコミュで。有馬前後異様に文章量多いの本当に面白い。

実験は一時終了だ。ここからは、もうプランAもBもない。全てが合わさり━━
新しい計画が始まる。『プランC』がね。

そう、螺旋のように絡み合い、影響を与え合いながら、さらに加速していく。
お付き合い願うよ、カフェ。この━━壮大な実験にね。

有馬記念の後に・摩天楼

求婚?


落ちサビ~ラスサビ:略

わかりませんでした。


あとがき

ということで、楽園の歌詞解釈記事でした。他にもいくつか考えてみたんですが、多分これが一番感情になれると思います。カフェ歌唱担当が少ないことを除けば特に大きな問題のない解釈ではないでしょうか。

同意を求める時に貼る画像

元々はカフェの育成シナリオのラストがとても感動したことと、楽園Cメロの「輝きは消えないから」とアグネスタキオンの光速とが繋がれば良いなと思い始まった解釈ですが、育成シナリオの節々に歌詞関連ワードが出ていることを認識できて楽しかったです。実際は歌詞にそんな奇妙な解釈は無くて、シナリオライターが歌詞の要素をフレーバー程度に差し込んでいただけだろうとは思いますが、自分が楽しめているので問題ありません。解釈は自由サークルとはこういうものです。

ところで、カフェの育成シナリオは本当に素晴らしいできなので是非自身で読んでみて頂きたいです。あと、今回の自分の記事よりこの人の記事のほうがシナリオ自体を解釈するのには向いているかも知れません。あくまで今回は歌詞解釈がメインなため、自分は歌詞解釈に必要な部分しか対して取り上げていないので。


特に理由もなく月1更新を信条にやっているnoteですが、なんか長い文章しか書けなくなってきた気がします。もっと気軽に適当に書けるお題を探したほうがいいんですかね。それとも長々とイントロを書かないよう気をつけるとか。

まぁ来月になったら考えてみようと思います。それでは。