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【読書記録】いい子症候群

この本を読んで衝撃を受けました。
そして、ずっと”最近の若者”に対して抱いていた疑問が解消されました。

「どうして今の”若い子たち”は、自分を主張しないんだろう?」
「どうして自分は、社会から”圧”を感じるのだろう?」


「先生、どうか皆の前でほめないで下さいーいい子症候群の若者たち」

まず、今の若者は「いい子」です。
一見不可解な彼らの行動原則は、こんな感じ。

・周りと仲良くでき、協調性がある
・一見、さわやかで若者らしさがある
・学校や職場などでは横並びが基本
・5人で順番を決めるときは3番目か4番目を狙う
・言われたことはやるけど、それ以上のことはやらない
・人の意見はよく聞くけど、自分の意見は言わない
・悪い報告はギリギリまでしない
・質問しない
・タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする 
・授業や会議では後方で気配を消し、集団と化す 
・オンラインでも気配を消し、集団と化す 
・自分を含むグループ 全体に対する問いかけには反応しない 
・ルール には従う
・一番嫌いな役割はリーダー
・自己肯定感が低い 
・競争が嫌い
・特にやりたいことはない

金間 大介. 先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち (p.23). 東洋経済新報社. Kindle 版. 

最初に読んだときは、「そこまでかぁ?」って思いました。
でも、作中にでてくるたっくさんの『あるある』を読んでいくと、
「確かに…今の”若者”って…こんな感じだ…」と心から納得します。

取り上げられている例の中から特に1つ挙げると、
「1限だから1限に出る」という思考。

信じられない!
1限とかクッソ眠いし、行きたくないし、取得しなくていい単位なら絶対行かない。
1年生の時の必修くらいでしか行ったことない。
ってのが「私」です。

でも”今の若者”は、「その授業が1限に定められているから1限に行く」という思考だそうです。
えぇ…?早起きできてすごいねぇ…。

なぜ1限に出るのか?
「設定されたその1限に自分だけでないと、なんとなく不安だから」
これだけ。

ほかにも、”今の若者”の行動についてこの本ではたくさん紹介していますので、気になった方は是非お手に取ってみてくださいね。
今ならKindle Unlimitedで読めます。

■教育実習での出来事

この本を読んで思い出した過去の経験がいくつもあります。
1つ目は、教育実習でのことです。

私は大学生で。出身高校に世界史の授業の教育実習に行きました。

「気になること、ありますか?あったら教えてくださいね」
私は笑顔で、なるべく人付き合いが良さそうな笑顔を浮かべて教壇に立って言います。
すると、どうなるか。

誰も、誰一人、目が合わない。

いや、ホントに目が合わないんですよ。
皆下を向いて、教科書を開いて読んでいる(振り)をしている。

ま、いいか。ある程度は予想がついていたので、気を取り直して授業を進めますよね。
私が付いていた男性の先生は、かなり生徒に人気があるタイプの先生でした。
ちなみに「私自身」はその先生は、本当に苦手。嫌いなタイプ。

しばらく指導教諭と担当大学生という形で付き合いましたが、話すたびにイライラが募るので私は教育実習はストレスの塊でした。たくさん勉強にはなりましたが。
どうして当時あんなにストレスを感じていたのか。
当時は分からなかったし、ただただ「私は教師には向いていない…」と凹んで帰ってきた記憶しかなかったのですが。

こうして10年近くたって振り返ってみると、ただただその先生と、
そしてその先生の教え方と合わなくてイライラしていただけに過ぎなかったんだなあ、と。

その先生の教え方、ほとんど全生徒に圧倒的好感を得ていた方法ですが。

『通常は、もちろんシャーペンでノートに記入。
最も重要な語句は、赤色。
次に重要な語句は、青色。
頻出でないが重要ワードは、緑色。
”行間と行間の間に何行あけるか”も、絶対に指示する』

以上のルールです。
いや、硬すぎでしょ。別に、最重要ワードを青色で書いても良くないか?
なんでいちいち”何行開けるか”まで指示しなきゃいけないの?

自由にノートを彩りたい派閥に所属している私は、
これを”自分が言わなければならない”のがただただストレスで。

で、”何行行間を開けるか”言わないと、訊かれるんですよ。
前の方に座っている、だいたい運動部の男の子とかに。

「せんせー、そこ、何行開けますか?」って。
いや、好きにしろよ!!!!!
合間合間に好きなイラストとか描いてくれていいよ???

で。その先生は、授業後にノートを回収して、ノートチェックをする。
ちゃんとノートとってるかどうかを確認しているわけですね。えらい。
で、「きれいに」「指示通りに」ノートを取っている子には高評価を。
「汚く」「適当に」ノートを取っている子には低評価をつけるわけですね。

いや…多分私が学生だったら減点されまくりだったと思いますよ。落書きだらけなんで。

「これが今の僕のやり方なんで、変えると生徒が混乱するんで、踏襲してください」
これが指導教諭の指示でした。
今思い返すと、よくやり切ったな、私。という感じです…。

私は授業中に「興味を持ってもらえるように」
ギリシア神話の元ネタとか、これがFGOに使われてるよ~とか。
このアンクのマークが遊戯王で死者蘇生のカードに使われているよ~とか。
かなり頑張って調べて、授業中に入れられるだけサブカルネタを入れる、っていう授業をしていたんですが。
「面白いでしょ?」って聞いても、教室はシーンとしてるってワケ。

ま、1人か2人くらい、目があって、うんうん頷いてくれる子がたまにいたりすると、滅茶苦茶救われた気持ちになってたんですけどね。

で、「”面白いでしょ”とか、そういうの、訊かなくていいから」とか指導教諭には言われるわけですよ。
うるせー!>< (今思い返してもちょっと怒っちゃう)

この本を読んだ今となっては分かります。

生徒はね。「先生が自分に興味を持つ」のが怖いんです。
目を付けられるのが怖い。
だから目を合わせない。
言われたことだけをその通りにやる。そうすれば怒られないから。
「面白い」とか「面白くない」とか、本当にどうでもいい。
テストで点をとるには何を覚えなきゃいけないか、それを教えてくれるだけでいい。
そういう思考なんです…。

■演技力こそがすべて

突然ですが、あなた(この記事を読んでくださっている「あなた」)は、
日常でどれくらい”演技”をしていますか?

自分は演技なんてしない!常に正直に、思ったことを、思ったままに言う。
なんて正直人間か。

人前とか、上司の前とか、演技しなきゃいけないような時は演技するかなあ。
という必要なときだけ派か。

他人に「自分」を知られるのが怖い。いつもどこか演技してしまう。誰にも”本当の自分を曝せない/晒したくない。
という常に演技派か。

さて、今の”若者”は、どれだと思います?
答えは3。
「仲間内でも演技しあう」が答えです。

なぜなら、”主張している”と受け取られることが怖いから。
何を考えていても、「相手が望みそうなこと」「言いそうなこと」を言うだけ。
お互いに相当に気を遣いながら(そして気を遣いあっていることを相互に隠しながら)生活しているわけです。
なんて苦しい世界なんでしょう!なんて、私は思っちゃうんですけど。

「それが当たり前」で「その関係しか知らない」なら、苦しくもなんともないんです。

そりゃ恋愛なんてしないよ。怖いもん。他人が。

自分なんてそもそも”無い”し、他人に自分を知ってもらいたいなんて思いもしないし、そもそも常に人と一緒にいるのとか怖いし、嫌だし。

だから例え「お付き合い」にまで到達することができたとしても「そこそこの関係」で終わる。肉体関係なんて(一部を除いて)もってのほか、なわけです。

そりゃ結婚率なんて上がるはずないよ。

でも。さみしいんです。本当に完全な、ひとりぼっちは。

だから、”婚活アプリ”が流行る。
「嫌われなさそう」な写真を載せて、いい人風のそれっぽいプロフィールを載せて。
”GOOD”と”BAD”を右フリックか左フリックで1秒以内に判断して。
ごくたまに、ちょっと琴線に触れた相手に、連絡を取ってみようとしたりなんかして。
臆病な”彼ら”はそうやって”恋愛”していくんです。たぶんね。私の、想像。創作ですよ。

■悩む”若者”

個人的な話になっちゃうんですけど。
私は恋愛結婚で、旦那が大好き!と言うことを憚りません。
「えへ。私の旦那様、スパダリなんで。えへへ」って感じです。

実際、IT系企業に勤め、高収入。
私は料理が嫌いなのでほとんど料理をしません。
代わりに旦那が料理をしてくれて、私がやりたくないときは、食器洗いも風呂掃除もしてくれます。

私は趣味で小説を書いていますが、それを応援してくれます。
ネタに困ったときは相談に乗ってくれます。
ね?最高でしょ?

で。その旦那には妹ちゃんがいて。
東京でない地方都市に、旦那のご両親と一緒に住んでいます。

去年の春に、就職。
で、秋ごろに退職。
退職理由は、仕事とのミスマッチ、ですかね。
「自分がやりたくないことを仕事にしてしまった」という感じ。

ん~!「私」はどうだったかって?
そりゃ、1年目なんて「いつ仕事やめてやろうかな」としか考えてませんでしたよ。笑
でも同期の子たちと上司たちの悪口を言い合いまくって、なんとか乗り越えました。
2年目から自分の好きなことがある程度できる配属になって、「仕事…たるいけど続けてやるか…」という感じです。

それから、上司(執行役員、!)からのパワハラにあったり。
(その上司は”飛び”ました)
別の配属先でまた別の上司と合わなくてしんどくなったり。
まあそんなことを繰り返して、精神科に通うようになってしまったりしながら、まあなんとか一応、一応「正社員」の肩書で働けています。ボーナスうまうま。
自慢は「毎年有給を使い切っていること」です!笑
(入院したりとかしてしまうので、それで消えていくんですよ、ね)

おっと、自分語りが長くなってしまいました。失礼。

話を旦那の妹ちゃんに戻すと、今現在”無職”で、次の仕事に悩んでいる、という状態にあるんですね。
両親と一緒に住んでいるので、結構いろいろ辛い環境にあると思います、よ。

『やりたくない仕事やってても心壊して私みたいに精神科に行く羽目になるから、嫌なら辞めちゃうのが正解だぜ~!』ってLINEしたら、
『泣いちゃう>< ありがと><』って感じでしたからね。

妹ちゃんと話していて、私がいつも感じていたのは、
「どうしてこの子はこんなに”自分の意志”がないんだろう?」ということでした。

高校も、大学も、親のいうまま。女子高で、女子大。
ホントは東京で暮らしたいけど、親が言うので、一緒に地方都市に住んでいる。
大学の科目は、サブカル・エンタメ・メディア系。
「これが学びたくて大学に入った」のではなくて、通える範囲のところで、ある程度好きになれそうなことを選んだだけ。
趣味は、絵を描くこと。卒論は、一応WEB制作。
暇なときは、Youtube見たり、仲いい友達と通話しながらゲームしたり。
妹ちゃんは、だいたいそんな感じの「今時」の女の子です。

ん~~~!いい子。いい子 of いい子ですね。

彼女がまだ高校生のときに、
「そんなに東京行きたいなら大学を東京にしちゃえば?」って結構煽ったんですけどね。
「うーん。行きたい、けど…」答えは、いつも一緒。
親が言うから、東京では暮らせない。一人暮らしもしない。

親が言うから、就職した。
でも、あまりにもつらいので、相談して悩んだ末、辞めた。
これから、どうしよう。
そんな感じの女の子。

さてさて、「私」ができることは、なんでしょう?
※地方都市に住んでいるので、会えるのは年に何回かだけ。

まず大前提として、「私」と「彼女」は他人同士であること。

彼女の人生にとって、「私」は自分が高校生の頃に突然現れた”ちょっと仲良しのお姉さん”に過ぎないわけです。

「私」にできること、それは、何でもない内容のLINEをすること。
たったそれだけです。
あ、”気遣い”系のLINEではありませんよ。それは、負担にしかなりません。
「相手に心配させている」という負荷を与えるでしょう。
私ならそう思っちゃうし。私なんかに気を遣うな~!><

私が送るLINEの内容は、
「最近こういう漫画読んだんだけどクッソ面白いから読んでくれ~!」
みたいな内容です。
「一緒にハマってくれ~!話きいてくれ!」っていう。

ん?「私」がその漫画の話をしたいだけじゃないかって?
その通りです。笑

だって。所詮他人同士。できることなんて、ほとんどありません。

「私」が「彼女」に与えられるものなんてほとんどないし、影響を与えるなんてことは、できない。

それは、彼女に限らず、いつだって、誰にだって、そう。
他人は変えられない。変えられるのは、自分の行動だけ。
その思考は、忘れないようにしたいです。

長くなりましたが、締めます。
もしよけれれば、またどこかの記事でお会いしましょう。

みさき

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