’Navigating the Green Path’

~緑の道を歩む~
ミズーリ州が大麻合法化への移行に直面した課題と、今後の大麻産業の展望

はじめに

初めまして。私は、2020年より、アメリカCBD原料の輸出販売を
する会社を経営しております、Misaと申します。

この度は、国際的なフェスティバルになりつつある4/20の前日、19日のアドベントカレンダーを担当させていただくことになり、大変光栄に、ありがたく存じます。

弊社があるカンザス州のすぐ隣のミズーリ州は、2022年末、娯楽用途の大麻使用を合法化しました。
今日は、すぐお隣のミズーリ州の、近年の大麻事情と、今後の大麻産業の展望をお伝えしたいと思います。

ミズーリ州で大麻合法化によって起こったこと

“Anybody can come in and buy”

アメリカの52州のうち、大麻の嗜好用利用が合法化されている州は24州あります。医療利用が合法の州は40州です。
弊社のあるカンザス州は保守派が多いため、大麻の使用はどのような目的でも認められていません。しかし車でわずか5分の距離にあるミズーリ州では、嗜好用大麻の使用が合法化されています。

米国でマリファナが合法な地域

近年、ミズーリ州は大麻に対するアプローチを大きく変えてきました。
2018年に医療利用が認められ、2022年には娯楽利用も合法化されました。
21歳以上であれば、ミズーリ州に住んでいなくてもディスペンサリーで大麻製品を購入できるようになりました。カンザス州など隣接州からも多くの人々がミズーリ州に大麻を買いに訪れるようになり、まるでお酒を買う感覚です。また、製品の種類には医療用と娯楽用の区別はありません。

合法化→在庫不足→バイオマスの価格が高騰

ミズーリ州で大麻製品を製造する会社を経営している友人が、大麻合法化されてから直面したハードルの一つは、在庫不足とバイオマスの価格上昇でした。
大麻の解禁のお祭り騒ぎから一か月以内に、ミズーリ州のディスペンサリーは急速に在庫不足に陥り、その不足状況は3か月から4か月間続きました。3月半ばには、花穂の市場価格が1.65ドル/グラムから8.81ドル/グラムに上昇しました。
この在庫不足と市場価格の上昇の原因は、人々が一気にディスペンサリーに大麻を購入し、ミズーリ州の大麻が一時なくなってしまったからです。

事件1 オクラホマ州からのディストレートの密輸

そのカオスの中で、オクラホマ州でダブついている安価なTHCディストレートが、ミズーリ州に違法に流れ、それを発見した当局が、違法に入手されたディスティレートを使用して作られたと疑われる製品の捜索や押収、販売差し押さえにつながり、その間、製品が販売できないディスペンサリーや製造者に大きな負担となりました。

事件2、Disty gate (ディスティゲート) 合成大麻混入事件

「ディスティ」とは「ディスティレート」のことであり、それは大麻エキスの高濃度な形態を指します。
ミズーリの大手企業が、大麻製品に使用されるディスティレートにおいて、
天然のマリファナ植物から抽出されたものではなく、合成されたカンナビノイドを使用したとして告発されました。
しかし、その会社は「連邦法では、産業用ヘンプ由来のTHCは合法である」と、任意の違法行為を否定し、「産業用ヘンプを使用しているため合法である」と主張しました。
一方、ミズーリ州は、産業用ヘンプから化学的に合成した「合成カンナビノイド」を大麻製品に添加することは違法であると述べ、法的な論争が繰り広げられました。
結果、6万点以上の商品に影響を与える大規模な製品リコールにつながり、
また、そのディスティレートを使用した可能性のある製品もすべて差し押さえられたため、その間製品を販売できないディスペンサリーは多大な損失を被りました。
「ディスティゲート」事件は、大麻製品に関する合法性と「連邦法 vs 州法」という規制上の複雑さを浮き彫りにしました。

二つの事件の背景

これらの事件の背景には、州によって発行されるライセンスの数が違うという事実と、「大麻製品は、州を跨げない(州内で消費されなければならい)」という規制が大きく関わっていると思います。

大麻製品の規制を確保するために取られている手段の中の主要なものの一つとして、ライセンス制度があげられます。
この制度により、州は大麻の生産、販売、流通に関わる事業者を監視し、規制に準拠しているかを確認できます。
ライセンスの発行数は州ごとに異なり、全米では合計12,156のディスペンサリーのライセンスが発行されている中、ミズーリ州では215の事業者がライセンスを取得しています。一方、ミズーリ州の南西で接している近くのオクラホマでは、2,387と、全米最多のライセンスが発行されています。(2024年1月1日時点の情報)

オクラホマ州は税収を増やしたいために、一気に多数のライセンスを発行したため、市場の競争が激しくなり、大麻製品の価格が急降下しました。
同時に、ミズーリは、在庫不足とバイオマスの価格上昇により、供給問題が発生していたため、ミズーリの一部の製造業者が、より安い大麻原料を手に入れるために、オクラホマ州の製造者から密輸を行っていたのです。

大麻製品は「州を跨げない」=「連邦法では合法ではない」という現実があるため、その州の在庫が不足&価格高騰すれば、利益を確保するために、密輸したり、安価に製造できる合成カンナビノイドを大麻と謳って販売したりする製造者も出てきて、これらのような事件が起こったと考えられます。
この問題を解決するには、生産、流通、使用に関する規制枠組みの見直しが必要となりますが、それにはまず、DEA (Drug Enforcement Administration アメリカ司法省の麻薬取締りや規制を担当する機関 ) による薬物カテゴリーが再スケジュールされることが先決となるでしょう。

DEAによる現在の大麻の薬物分類

カンナビスは、スケジュール1の薬物(最も乱用の可能性が高い)として
分類されている

現在、DEA によって、大麻は、スケジュール1(最も乱用の可能性が高い薬物)として分類されています。
連邦で合法になるためには、まずはここが再スケジューリングされなければなりません。

再スケジュールされた場合の変化の予測とその可能性

マリファナがレベル3の薬物カテゴリーに再スケジュールされれば、その生産、流通、使用に関する規制枠組みが進化し、州や国を跨いで
仕入、販売されることも可能になる=在庫不足、他州からの密輸の問題がなくなると思います。
他にも、以下のような変化が起こる可能性があります。

  1. 医療利用の認識: マリファナの医療的な応用に関する研究が増加し、その医療的な利点が認識され、マリファナが医薬品としてより広く受け入れられる。

  2. 規制の変更: その生産、流通、使用に関する規制枠組みが進化し、これにより、連邦レベルでのより包括的な合法化の取り組みが進む。

  3. アクセスと入手可能性: 医療用途が合法である州では、患者がマリファナ由来の医薬品にアクセスしやすくなる=嗜好用の合法化も進む

  4. 経済への影響:新たなビジネスや投資家向けの機会が開かれ、製品の販売から得られる税収も増加する

全体として、マリファナがレベル3の薬物カテゴリーに再スケジュールされることは、その法的地位において大きな変化を表し、医療および娯楽大麻部門、さらには公共政策や規制枠組みに広範な影響を与える可能性があります。

よいニュースとしては、近い未来、カナビスは、スケジュール3の薬物に変更されるだろうとささやかれています。

それを裏付ける理由1


以下の事実を、時系列で示します。

2022年10月6日 - ジョー・バイデン大統領が「大麻の使用や所持だけで刑務所に入れるべきではない」との声明を発表。さらに、大麻の単純所持の前科を連邦レベルですべて恩赦し、すべての州政府に追随するよう促すと述べた。大統領はまた、大麻のスケジュールI指定を見直すことにも言及している。

2023年8月29日-保健福祉省から麻薬取締局(DEA)のアン・ミルグラムに宛てた書簡がブルームバーグにリークされる。この書簡は、大麻を規制薬物法のスケジュールIII薬物として再スケジュールすることを求めている。

2023年9月13日 - 米国議会調査局(CRS)の報告書によると、DEAがHHS(United States Department of Health and Human Services
アメリカ合衆国厚生労働省)の勧告に反することはあり得ないため、大麻を再スケジュールする「可能性が高い」とされる。

2023年12月22日 - バイデン大統領が、連邦法の下で特定の大麻関連の前科を持つ人々をさらに恩赦する布告を発表し、また大統領が非暴力薬物犯罪で不釣り合いに長い刑期を服役していると述べた11人に恩赦を与える。

2024年1月4日 - 麻薬取締局は、大麻の再スケジューリング勧告を検討していることを確認する。

それを裏付ける理由2

近年の大麻業界でのトレンド

以下のようなことが近年の大麻業界でのトレンドになっています。

トレンド①: 大麻合法化する州が増え続けており、今年も合計5州で
       今後も、合法化の動きは進む現実的な予測がなされている
トレンド②:アメリカ人の半数(50%)がマリファナを試したことがあり、
      およそ6人に1人(17%)が「マリファナを今も使用している」
トレンド③: 10人に7人が大麻を合法化すべきだと考えている
トレンド④: 21歳以上の女性の3人に1人が大麻を摂取している
トレンド⑤: 大麻消費者の半数近くが、大麻をアルコールの代替として使用
トレンド⑥: 大麻産業の総収入予想は伸び続ける
トレンド⑦: 大麻はアルコールより税収が多い
トレンド⑧: 大麻企業の雇用需要の増大(前年比5.4%増)

↓2024 大麻業界の現状とトレンドについて詳しく書きましたのでこちらもよろしければご一読ください。

https://note.com/preview/n5e405ed3f50f?prev_access_key=d8955bae3cee0b74dc7283a0ba98f4fe

公衆の意見の変化、医学的利点や潜在的リスクに関する継続的な研究、政治的ダイナミクスの変化(時期大統領が共和党か民主党か)によって、大麻が再スケジューリングされる具体的なタイムラインは変動します。
予想として、今後10年間は、新たな法律の波が押し寄せることになるでしょうが、上記のようなポジティブなトレンドが増え続けることによって、大麻を見直すための政策決定者への圧力が増えれば、そのスケジューリングの再考が自然と求められ、それと共に、連邦法で合法になる日も近づくと思います。

まとめ

日本は、まだカンナビノイド産業の黎明期でありますが、パンデミックが始まって以来、麻を探求する人々が増え、新たな愛好家が増えているのは日本もアメリカも同じです。
麻の栽培、流通、販売のための法的枠組みを確立しようとしている段階の日本にとって、アメリカの大麻産業における規制上の問題から学ぶべき点が多くあると思います。
また同時に、大麻の自由化、そして大麻を楽しむ消費者の多様化は、一般の人々が健康とウェルネスのルーティーンに大麻を取り入れることに興味を持つようになるにつれて、今後も続くでしょう。

最後に

今回、このような貴重なご機会を提供してくださった、
ロジャーさん、こんさん、CBD部の皆様、誠にありがとうございました。
ここまで読んでいただいた皆様にもお礼申し上げます。

Hachizen corporation代表
Misa

↓カンナビノイド原料を販売している弊社Hachizen corporationのご紹介です。
https://note.com/preview/n1f00fead964b?prev_access_key=4c6cb15282101d4f4b84f17e39597872


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