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VTSを参考にした、絵画を用いた鑑賞、言語力トレーニングの進行案(仮)

 前回も含めてVTSを何度か(個人・グループで)やる中で進め方が固まってきました。特に初学者を対象に1時間程度の限られた時間でやる場合は少しやり方の工夫が必要な印象です。

 一般的にVTSで行われるメインの質問3つは

「この絵の中で何が起こっていますか?」
「絵のどこからそう思ったの?」
「もっと発見はありますか?」

 このように記載されている文献がほとんどです。
 医学教育でVTSを使用した海外の研究も多くはそのようになっています。

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https://www.tandfonline.com/doi/full/10.3109/0142159X.2013.770131




 一方で山口氏の記事に書いてあるVTS(我々もNOTEで取り組んでいる)では3つの質問がこのようになっています。

1:何が描かれていますか?
2:絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか?
3:どのような感情や感覚を受けますか?

 当たり前ですが、2,3はより次元の高い質問項目になると思います。また、十分に1が出ていない状態ではあまり答えにも期待が持てません(ああ、でも一方で直感的・感性的にまず観てどんな感情を抱くか、これも重視したいなぁ→採用)

 私としては絵画を言語学習の素材としても捉えておきたいと考えているのでそういった意味でいうと漏れのない細部までの観察、根拠をもった解釈を表現できることは是非取り入れたいです。
 そういう意味では1を古典的VTSの質問に分解して提示しておきたいところです。


 そう考えていくと現時点での案(次回以降の計画)はこんな感じかな。VTSというよりも新しいプログラムというになるのかもしれん。

〜 芸術作品を用いた鑑賞・言語力トレーニング(仮) 〜
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*時間:30分/絵1枚目安
*メンバー構成;司会1名  参加者5〜10名)くらいが基本単位か?
 (多くなってきた場合は5人の島+ファシリなどでもいいかも)
 ☆ 司会役も事前に同題材について取り組んでおくのが望ましい。
*物品;出来れば大きなモニター等で(最初から最後まで)常に絵画を投影したままに出来るのが望ましい。それ以外は、各班のワークシート・メモ帳くらいか?
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0:絵の10秒提示→1分で一言サマリーを示せ(感性的・直感的観察)

絵を鑑賞(方法論の指示はしない)→ワークシートに記載
→あまり分析的に考えようと意識せず短時間でどのような感情を持ったか、解釈できたかをメモしておいてもらう(怖い!とか悲惨!とかでもよい)。後の行程で使用するのでとっておく。
※ このパートは特に全体で共有はしなくてもよいだろう。

1:何が描かれているか?(客観的事実:Objective fact)

→ただし絵の中の事象も白黒はっきりと表現できるとは限らない。あくまで曖昧な情報を扱っているという自覚を促す。ブレインストーミングのように「他には?」とまずは沢山、漏れなく上げていくのが目標。
(これは臨床でも非常に重要な視点なのです!)。

2:絵の中で何が起きている?何が起こる?
(評価 Assessment
→1であげた客観的事実を統合し、物語を紡いでいく。OとAを別物として思考させることが極めて重要。質問しながらその解釈に至った理由を問いかけ、またそれは同じ(O:事実)をもとにしても多様性があるという事実を体得してもらう。

3:どのような感情、感覚(あれば教訓)が浮かぶ?

→こちらに関しても2と同様。2.3が十分に深められない場合は、事実の拾い出しが十分でない可能性もあるため事実の列挙に適宜戻っても良い。

4:まとめ 感性的・分析的観察、解釈を双方向からすり合わせ

→0:の1stインプレッションで感じたことと分析的鑑賞過程で得た結論の相違点を評価する。司会は自分が事前に取り組んだ際の結果と今回のWSで出た意見を比較し感想を述べる。

ご意見、ご感想あればぜひお願いします!


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