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芸術作品を題材にして…

世は空前のアート時代だと思います。まじで。ここ最近のアートを題材にしたビジネス書の発刊数は目を瞠るものがあります。

これ以外にも

これとかもでしょうか(これは正直内容が薄かった…)。少しでも関係があるかな、と思ったら一通り根こそぎ読むようにはしています笑


さて、自分が考えていること、実現したいことの肝になるのは絵画をはじめとした”芸術作品”です。これらを系統的に鑑賞することで、得られるものの例を挙げると

1  曖昧さや不確実さに暴露し、対象を系統的に分析していくこと

2  情報を拾い上げ、解釈し、考察、批評、的確に伝達していくこと

などが期待できると考えています。

思えば我々は”明確な答え”ありきの問題には就業直前まで相当量暴露されます(それはある意味パターン認識力を磨くことに一役買っているかもしれません)。

でも、現場にでて(もはや出る前にうすうす感じていることかもしれませんが)そんなことはない現実にぶちあたります。


実際の臨床現場は、様々な要素が絡み合っており、一つの答えなぞ用意されていないのが当たり前、の世界です(個人的にはその部分にこそやりがいを感じるプロの”アート”な部分だと考えていますが)。

 

その点は、ネガティブ・ケイパビリティという最近知った概念にも通じることがあります。要約すると実は世の中の大半を占める「答えの出ない問題や事象に対して、性急に証明や理由を求めずに、不確実さ、や不思議さ、懐疑の中にいることが出来る能力」といわれています。

現在自分も含めて、結構周りでは”白黒はっきり”させないと何かもどかしくて、もしかして答えなんて無い・出せないはずの問題に、無理やりそれらしいものを押し付けていることって結構あるかもしれません。


絵画という題材を扱う利点は何でしょうか。直接的な臨床能力を高める、とはいかないかもしれませんが、芸術作品は先人たちの技術や経験の途方もない蓄積です。

(人類最古の絵?インドネシアのスラウェシ島の洞窟壁画 4万年前に作成したとも言われる)

 
題材の数もテーマも、ものすごい数があります(そして現在も生み出され続けています。)また実際の患者(模擬や場合によっては人形)を相手にした診療やトレーニングと異なり、既に公開されているものに関しては社会的な問題を起こすリスクを気にせず、思いっきり取り組むことができます。

 

ある程度やり方に習熟すれば病院実習や診療ひいては日常生活に応用し、いつでもトレーニングが可能というメリットがあります。

また訓練後に他者の解釈を知ることも、現代社会では容易です。


そして先程の話題にも戻りますが、解釈の唯一の答えがない、ということが大きな特徴として挙げられると思います。もちろんロジカルに系統的に診ていった場合、ある程度の到達点はあるかもしれません(実際に言語技術トレーニングのために絵画を題材にして、読みとくいう作業した場合、ある程度以上のレベルになると皆似たり寄ったりの解答になります)。

実は自分のプロジェクトが停滞した理由はここでした。何か論理的分析だけにとどめておくには、絵画はもったいなすぎる気がしたのです。

特に絵画から様々な作品を直感で連想するこういった作品は計り知れぬセンスを感じます。

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もはや↑2つが面白すぎて、ここまで到達していないひともいるかも(泣)

何百年の時を経て、こうやって色々な解釈をされたり題材にされたりしうるのは、芸術の懐の深さを感じます(他の素材ではそうはいかないんじゃないかと思います)。


実際、何も考えずに絵から直感的に感じ取ったりする感性的な観方というのも馬鹿にできないと思うんです。ここらへんは下記の書籍で大いに刺激を受けました。

感性的に観るのも、分析的(理性的に)に観るのもおそらくどちらも非常に重要な見方であると考えられます。役割分担をしていくとするとこんな感じでしょうか?

*感性的見方・・・直感的なひらめき、Snap diagnosis、瞬時の重症度、全体像の推測、判断などのSystem1的な思考法。何よりも作業は苦にならず、楽しく継続性があるのも利点であるかもしれない。一方でひらめきを第3者に伝えるのは困難かもしれない。

*分析的見方・・・徹底的に細部までみる、みたものを一つづつ分析したり、意識して視点を変えたりして網羅的にみること。単純作業に近いものはあるが、漏れが少なくなりまた、第3者に説明可能で再現できるものかもしれない。

 後者の分析的な情報解釈などは実は日本では非常に教育の面で欠如していたと言われています。欧米では高校までに学校にてこういった能力は叩き込まれるとのことです。

 確かにこういった授業が十分にあったかというとあまり記憶がないかも…。実はこの先生に一度このプロジェクトに関連することで相談しに行ったことがありますが、絵を題材にする場合、まずはもっと前の段階から実施しないと意味がない、と一蹴されてしまいました。

 実際に、学生・研修医教育に携わっていると、そういった意味でのそもそもの考え方や論理的思考などをどこかで一度教えていかないといけないな、という必要性は感じていますが…どのように形にしていけばよいのか、少し壁にあたっている状態です。


実際に、芸術作品を題材にして医学教育に持ち込む場合、アウトカムがとりやすいのはおそらく”分析的見方”なのだろうな、と思います。


長くなったので今日はこれくらいで。

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