一方で『伝統の自己意識』
芸道と伝統 西川松之助著作集・第六巻を取り寄せることに成功しました。
(最後の一冊だったのか…)
ボロボロでもはや古書でっせ。
・文化史の研究という分野で、西山は5つ(+1)にて伝統は成り立っていると論じているが、さらにその原典は務台理作「伝統」(岩波講座『倫理学』第6冊所収・昭和16年)が元だそうです。
先に紹介した一番しっくり来た六つの特徴
(1)伝統は一つの世代へ伝達される有形無形の伝承及びそれを伝達する様式である。
(2)伝統は個人的なものではなく、社会的、歴史的なものである。
(3)伝統はいつもその発生原初の体験へ帰ってこれを再体験し、あるいは再評価することが行われる。
(4)伝統は伝達され保存されるためには、新鮮な現代人の意識によって再体験・再評価されるものである。
(5)伝統は一定の状況と結合している。そのため、伝統は一方から他方へ、それだけのものとして移植されたり、伝達されることがない。
(6)伝統には自己意思的な性格がある
・6個目の「自己意思的な性格」は先の務台理発案の5ツの要因を踏まえた後、作者(西川)が様々な論者の考えを考慮して作成したオリジナルの要因として紹介されている。
⑥伝統には自己意思的な性格がある について
・内容をよしとして継続し展開させていくのは当然の状況である。
・だが「よしとしなくなる」と消滅してくれるのか(別の言葉でいうと個人の意志でそれを捨てることができるか)というとそれは「出来ない」
・すなわち、伝統はそれを捨てることが出来ない「強い拘束性」をもっている。例えば言葉や美意識や音感や味覚など我々はそれを捨てることが出来ない。
・故に伝統はそれが持つ運動法則の一つに自己意思的な性格があるのである。
所感: 6個目の内容(発案者の意図)が意外でした。何らかの事情で「捨てようと思っても(個人では)捨てられない」とは結構ネガティブなワードです。
Weblio辞書で現代にはそぐわない習わしを調べてみると
因習 ・ 悪習 ・ 悪弊 ・ 悪風 ・ 旧弊 ・ 宿弊 ・ 因襲など、こんなに沢山の類義語が…!
こんだけ用語にバリエーションがあるのは、先人たちも色々悪しき伝統にフラストレーションを感じていたからなんだろうなぁ笑💦
「伝統」の勉強は基本的にポジティブな視点が多かったので新鮮です。
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A:この伝統が好きで、とても大切だと思っている。なくしたくない、次の世代に伝えたい。あなたにも好きになってもらいたい。……けれど、あなたがどう判断するかは自由だ、というタイプ。
B:この伝統が好きで、とても大切だと思っている。なくしたくない、次の世代に伝えたい。あなたにも好きになってもらいたい。……だから、あなたもこの伝統に従うべきだ、というタイプ。
C:この伝統が好きで、とても大切だと思っている。なくしたくない、次の世代に伝えたい、と表向きは表明しているが、本心はそれほどでもない。……けれど、あなたもこの伝統に従うべきだ、というタイプ。
D:この伝統が好きで、とても大切だと思っている。なくしたくない、次の世代に伝えたい、と表向きは表明しているが、本心はそれほどでもない。……だから、あなたがどう判断するかは自由だ、というタイプ。
B,Cがやっかいなタイプ、自分もなってはいけないし、
目指せA
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