見出し画像

音系・メディアミックス同人即売会「M3」に行ってきた話

最高の暇つぶしへ

2022年10月30日、東京モノレールの流通センター駅に行ってきた。
音系・メディアミックス同人即売会「M3」。今年で第50回を迎えるメモリアルなタイミングのようで、私はその日たまたま暇だった。

私はコミケに行ったことがない。
行ってみたい。でもハードルが高い。コミケは怖い。
デカい会場、大混雑の人並み、分からないルール、過激なコスプレのお姉さん。
怖いなあと思っていた。

M3なら、私は音楽を仕事にしているので親近感がある。
コミケよりちょっと敷居が低そうだなと思った。だから行った。

M3とは

M3は「Music Media-Mix Market」の略、音のコミケだ。
毎年1万人以上が来場するようで、音に関連した創作物であればなんでもOK。
他にもVOCALOIDに特化したTHE VOC@LOiD M@STER(ボーマス)、東方Projectに特化した博麗神社例大祭などのイベントがあるが、M3はなんでもアリなようだ。

同人即売会という性質上、匿名で活動している人々も多いようで、基本的には場内の撮影はNG。時たま作家本人が売り子やスタッフに扮していることもあるらしく、顔バレしてしまうことがあるからだ。

なので、今回はLINEを介してAI絵を生成できる「お絵描きばりぐっどくん」の力を借りようと思う。


それでは人生初の音コミケ、M3で感じたことを話していく。


レッツゴーM3

電車→会場

会場は東京モノレールの流通センター駅。なんもない駅だ。
駅前の東京流通センター(TRC)という大きなビルが会場だ。

東京流通センタービル

M3の他にも音ゲー専門の音楽イベントのJunction Boxがここで開催されたり、かつて昭和の数年のみコミケが行われたなど、すごい感じのビルらしい。
このビル以外のあたり一帯はデカい倉庫ビル。トラックやフォークリフトが大活躍してそうなデカいビルばっかり。流通センターなのでそれはそうか。

デカい倉庫ビル群

実はこのデカい倉庫群の中にヤマハの東日本サービスセンターが入っている。楽器の修理受付をしてくれるのだが、以前Nordを修理に出すため炎天下のなか訪れたことがある。(Nordはヤマハが輸入代理店をしています)

モノレールは混んでいた。人々の見た目から「あ、これみんなM3に行くんだな」と分かった。渋谷ハロウィンに群がる人々とは真逆の人達に見えた。
人を見た目で判断してはいけない。

そのなかでびっくりしたのが、電車で座っている男性
リュックから大量の未開封CDを取り出し、丁寧に包装を開けていた。
「会場で作家さんからサインをもらうためにわざわざ持ってきたんだな」と分かった。

カバンから取り出した未開封CDの包装を開けている男性


会場

会場前を埋め尽くす陰の者達
まずは当日券を購入。1,500円でリストバンドとカタログ(パンフレット)がもらえる。
前売りの方が1,650円となっており高い。不思議だ。

カタログ、これは本物
出展サークル一覧、諸注意、コラムなどが掲載されている

場内に入ると、広い。ただ、ネット画像で見ていたコミケほどではないなと思った。整然と各サークル(参加団体)が長机にひしめき合うようにブースを出展していたが、3m幅くらいの通路が確保されていた。人が集中して通れないなんてこともなくスイスイ通れる。コミケの画像を見てたから逆にびっくりした。

大きなイベント会場でたくさんの団体が同人音楽を販売している

会場を埋め尽くす陰の者達。作る者も来る者もどちらも同じようなオーラをい放っていた。私は親近感を覚えたいへん居心地が良かった
みんな優しそう。きっと優しい。文化部だらけの学祭みたいな空気感。


各ブースのようす

ブースの見た目も様々で、男性だけで出展している団体、アイドルみたいな女の子が売り込み、そこに並ぶ男達の行列。バイオリンを展示したり、神主のような格好でファゴットを持っている男性。コスプレをしている売り子さんもいた。サークルスペース内であれば軽度のコスプレはOKらしい。

神主のような格好でファゴットを持っている男性

私はバンドマンなので、物販のディスプレイは気合を入れた方がいいことを知っている。
デザインされた大きなメニュー表を作って見やすくしたり、現物を綺麗に陳列して手に取りやすくしたりするほうが印象が良い。

M3の各サークルのディスプレイの気合の入りようは非常に様々だった。
ホワイトボードに作品と値段を書いてアピールする人、キッチリとメニュー表を作ってきた人、大きな横断幕のようなものを多数セットして豪華にアピールしている人、千差万別だった。

この違いはサークルの規模感や経験もあるんだろうなと思った。

出店ブースには作品の値段が書かれたホワイトボードが机に置かれており、
男性が笑顔で立っている

販売されていたものとお値段

お金の問題。各サークルで価格設定はバラバラだったが、だいたい音楽CDで500〜2,000円の範囲だったように感じた。
一番高い2,000円はミニアルバムのような曲数が多く作りのしっかりしたもの。多くは1,000円前後だったように感じた。
楽曲以外にもボイスドラマや効果音なども販売されていた。音であればなんでもよいユルさが良い。
その他タオルやTシャツなど、音楽コンテンツと一緒に音楽メディア以外の物販を売るのもOKなようで、様々なものが売られていた。

ボイスドラマ


視聴環境

音は漫画や絵などのように視覚に訴える芸術ジャンルではないから、どうやって買っていくんだろう」と思っていた。
フラっとサークルのブースに立ち寄って、聴いてみてよかったので買う。これができるのかなと思っていた。

結論:できたりできなかったりした。
各ブースによるが、机にiPadとヘッドフォンが置かれていて視聴できるようになっているところもあった。Dropboxのリンクを聴くスタイルだった。
視聴環境を整えているサークルは全体の2割くらいかなという感じだった。

フラッと来てビビっときたものを買うのではなく、元々応援していたお目当ての作家さんに会いに行ったり、推しの作家さんの会場限定CDを買いに行くのが来場者の主な目的のように感じた。

推しの作家さんに会いに行く図

とはいえ、M3運営は新しい音楽に出会える場を設けているようで、各サークルから提出されたCDを自由に聴ける視聴コーナーや、映像上映コーナーが設けられていた。

持参したポータブルCDプレイヤーで視聴する。運営さんから貸出用のCDプレイヤーを借りることもできるらしい。
スマートフォンの位置情報と連動させて、会場内に限定させた視聴用ストリーミングプレイリストが作れたらいいのにと思った。イヤホンをして場内を歩き回りながらビビっと来たサークルでそのままCDを買えたら最高じゃない?と思った。

CDが自由に聴ける視聴コーナー

映像上映コーナーがまた特徴的だった。
本イベントは第一展示場・第二展示場の2会場で行われている。
第二展示場2階の角に「映像上映コーナー」が設けられ、プロジェクターから1曲15秒程度のサンプルが流れ続けていた。各サークル90秒程度くらいで入れ替わり。
20脚くらいのパイプ椅子に各々が座り、いい音楽を探していた。

やはりネットカルチャーが浸透しているからか、映像も歌詞や文字が画面に踊るリリックビデオのようなスタイルが多く見受けられた。
ボカロMVみたいだった。

リリックビデオ

1曲ごとに妖艶な女性の声で曲名を読み上げている紹介映像もあった。
「あ、これだよこれ」と思った。
ちなみに、映像上映コーナーの隣に小さいパソコンが用意されていた。
「サブ上映システム」だそうだ。これも伸びているヘッドフォンから楽曲が聴けるようになっている。

ジャンル

ジャンルは様々だった。
ポップ・ガールズメタル・エレクトロ・打ち込みケルトなど。
主にパソコンで完結できるような音楽が多く、バンド音楽やブラックミュージックのような要素はなかった。

サンホラっぽく数人の声優さんが音楽に合わせてファンタジーな世界観のなかでミュージカルを繰り広げるものや、架空のお城の名前やカタカナの名前が登場する曲など、ちょっとメルヘン劇伴チックなものが多かった気がする。16分のゴーストノートを感じるようなグルーヴィーな曲は少ないように感じた。(映像上映コーナーでグルーヴを感じるいい曲を見つけた)
かと思えば音楽なしでボイスドラマをしていたり、効果音を売っていたり、かたやシンセについての同人誌、シンセサイザーを売る人も。なんでもありだ。
いずれにしても渋谷や下北沢のライブハウスでは出会えない真逆の音楽だなと思った。

闇にそびえたつ魔城を目指すメルヘンな楽曲

これいる?ゾーン

全然映えないフォトスポットがあった。よくスポーツ選手が試合直後に会見をするような大きなタイル状のパネルが置いてある。
自立式の縦長ホワイトボードに雑な字で「フォトスポット」と書かれていた。気持ち程度に赤いマーカーで文字の周りをぐるりと囲ってある。
通るたびに誰かしらが撮っていたが、列はできていなかった。
オンライン上に垂れ流し続けるカメラが置いてある映像中継コーナーもあった。人がいたりいなかったりした。

全然映えないフォトスポット


行ってみて思ったこと

  • 人は多いがその分会場が大きいので混雑せず意外と居心地がよかった。

  • 販売するものは割と音に関連していればなんでもアリだが、打ち込みやファンタジーものが多く感じた。

  • みんないい人そうだった。

  • 新たな音楽との出会いを探すというよりかは、既に活動を応援している推しに会いに行く場所に感じた。参加団体の音源が会場内限定で自分のスマホで聴けるシステムができたらいいプロモーションになるし、もっと各団体の売り上げが伸びるのになと思った。


出店している側のお話も直接聞きたくなったので、自身のネットラジオにお招きしてお話を伺えたらいいな、と思った。

今回はお絵かきAIの力を借りてみた。
実際の様子が想像できなかったと思うが、ぜひ次回のM3に参加してその目で確かめてきて欲しい。



この記事を11月に書き上げてから、なみぐるさんとTwitterで繋がった。
次回のM3でお会いできたらいいなと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?