見出し画像

金喰い

東京駅まで友達を見送り、日本橋駅へと歩く。
ふと目の端にイルミネーションの光がかかった。

そうだ。
綺麗なイルミネーションがあったんだ。
進行方向である会社から遠ざかる通りと右手に現れたイルミネーション通りとちょっと迷って私はキラキラした通りへ足を進めた。

金曜日。
華金を迎えたサラリーマンやOLがざわめいている。
イルミネーションで照らされた人々の顔は晴れやかだ。

ドクンドクン

鼓動が早まる。
心臓が痛い。
息が苦しい。
指先が震える。

キラキラが迫ってくる
このオフィス街で出会った人々の顔が浮かんでくる

グチャ

罪悪感が私の心を押しつぶす音がした。

働いていない私。
お前はなんのために、なんのために
存在している?
今週、何ができた?

ハァッハァッ

空気が薄くなっていく。
あーあ
こっちの道来るんじゃなかったなぁ。

金色に輝く日本橋のイルミネーションが
静かに女を包み込んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?