読書メモ 村田 沙耶香『殺人出産』

・先に罰を受けて殺害の権利を得る。その人は讃えられる。一方、罪を犯した人は男女問わず永遠に出産をし続ける。生と死が隣り合わせの画期的なシステム。衝撃的な設定。

・今から100年後、という遠すぎない未来というのがミソだなあと思った。
しかし100年後、人工子宮なども普及して、出産の概念も変化しているというのにパワハラ、セクハラが蔓延っているというのは大変辛い。

・チエちゃんの親御さんは、まだまだ「殺人が悪」という世代だろうに、そんなにすんなり子供の死を受け入れられたのかという疑問。

・お姉さんのような殺人欲求がある人の場合、対象者に自殺されてしまうと10人も産んだ甲斐がないな。

・主人公がこまめに日焼け止めを塗り直しているのが小さな恐怖を煽る。私も同じだから。

・子供はセンターで育って、乳児のうちに家庭に引き取られていく。センターで育ったというのが引け目にならず、みんなの子供という意識があってそれはいいと思った。
ただ、今と同じように恋愛をして、その結果としてできた子を産み育てていくということが許容されていないのは悲しい社会だ。

・いっしょに収録されている『余命』も面白かった。





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