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ががいもの舟

急斜面に建てられた懸け造りの参籠殿のある神社に行ってみた。ががいもの葉に乗ってやって来たという小さな神様を祀ってある少彦名神社である。
参籠殿は見ごたえがある。床下の懸けの部分は8.3メートルもあり、床上の部屋は三方窓硝子で見通しがいい。

気持ちの良い風がふいてきた。白い綿毛状のものがふわふわ飛んできた。そこら中にいっぱい舞っている。

むむむっ。これってもしかしてケサランパセラン?
いやだー、めっちや綺麗、なんか不思議。わーい、ふわふわ。持って帰ろうっと、捕まえなきゃ、きゃー、ドスン。
いたた、コケちゃった。

「イテテテ、何をする。深い眠りを妨げるものは誰だ。起こしたのは誰だ。」

「きゃー!あなた誰、小人さん?」
「何を言うか、私はスクナヒコの命だ。神様だよ。」
「え〜、うそだー!そんなの伝説よ。本当にいるわけないじやん。」
「なんだと、じゃ、お前の目の前のわしはなんだと言うのだ?わからんじゃろ?わしはな、ガガイモの実を舟にして海を渡ってきたのじゃ。」

「え~・・・」「でっ」

「でってなんじゃ」

「だから、何してんの」

「お前に起こされたんじゃよ。お前膝擦りむいてるぞ、ちょっと待て、よし、この草をよく揉んで、ほれ、つけとけ。」
「あら、ありがとう、おじいちゃん、詳しいのね。」
「当たり前だ、わしは薬草の専門家だ。」
「お礼に飴玉とペットボトルのお茶あげる。こうやって開けるのよ。」
「おお〜、なかなか旨いのお。飴も甘くて美味しい。」
「じゃ、私帰る。おじいちゃん、元気でね、さようなら。」
「また、おいで、さようなら。」



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