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コーヒーミルが残したもの

新しい年が始まりました。
どんな年にしようか、どんな年になると嬉しいか、1月はいつの時も無条件で希望を少し持つことができる月ですね。

ミレイン が始まって24年。
しかし私の料理との関わりの始まりはもっと遡って中学生の頃です。
両親共働きのわが家では家事のほとんどを祖母が請け負っていて、その祖母は料理がとても好きな人でした。
昭和はオーブンに発酵機能もなかったので、バターロールを作るのにお風呂で発酵させた膨らんだ生地にびっくりしたり、ハンドルを回して塊肉からひき肉をつくるミンサーから出てくる肉を飽きずに見たり、うどんも打って作ってくれたので、ビニールの上から踏む手伝いや、肉まんを包む作業など遊びのようにしたものです。コーヒーも好きな人で豆も手動で挽いていたのでコーヒーミルを回すのは私と妹の役目でした。

しかしその祖母がある日突然還らぬ人となり、我が家の食卓は一変します。

母はできるだけやってくれていましたが、何せ仕事が忙しく今までの食生活がガラリと変わったことは否めません。思春期の子供にとっては祖母の死と同じくらい衝撃の出来事でした。
おいしいものが当たり前に出てくる魔法の手がなくなって、このままこの生活を続けるか、もういちどあのごはんの生活を取り戻すか、選択肢は2つだけでした。
そこからはお小遣いで料理の本を買っては試作して失敗して、たまーに成功しての繰り返し。
なかなか思うようには行かないことだらけでしたが、大学生になった頃には料理人への道が憧れとなっていました。

今、ミレインの子どもレッスンに来てくれている子どもたちにおいしいごはんの作り方を教えている時、いつも中学生の頃の自分を思い出します。あのとき感じた、おいしいものを自分で作ることができた時の喜び、それを家族がとても喜んで食べてくれた時の喜び(うちは辛口の家だったので、大概酷評でしたが笑)あの感覚を味わってもらえたらな、とレッスンしています。そしてレッスンで作るだけじゃなくてほんとにおうちでも作ってね、とお土産にキッチンで使うものをプレゼントしています。そのグッズをみたら思い出して、台所に立つきっかけになったらいいな、という狙いがあるから(笑)

開室当初に子どもレッスンに通ってくれていた子どもたちは昨年大学生になりました。
一人暮らしを始めた子もいて、’ミレイン で習ったからごはんは鍋で炊いてるよ。毎日だいたい自分でごはんつくってるよ’というものすごく嬉しいお話を聞くことができました。

祖母がいなくなった暗い台所が寂しく、始めた料理もうまくいかずにうんざりしていた中学、高校の頃の私をこんなに時間が過ぎた今、ずっとあとに生まれた人が救ってくれる。こんなのってあの頃は全く想像もできなかったな、と感じます。

おいしいごはんを作ることができた時の楽しみと喜んでもらう嬉しさを今年もお届けしていきます。
今年もよろしくお願いいたします。#この仕事を選んだわけ#料理教室二子玉川#こども料理教室#料理教室東京

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