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「ホーリースピリット」第3話

■ 第3話 ○広場 日が傾き、人がまばらになっている。 「待ってるからね」 二人の頭を撫でると、立ち上がりシンシアに乗るタマキ。 白馬シンシアが歩み寄ってきて、ハルモとイオに頬を寄せる。 ハルモ、タマキを見つめるイオの曇った顔を見て、イオの左手を握る。 「大丈夫」 イオ、夕日に照らされたハルモの横顔ーー前を向く瞳を見て。 「うん」 イオ、ハルモの右手を握り返す。

    • 「ホーリースピリット」 第2話

      ■ 第2話 ○風の都 巨大な聖堂の前、広場の噴水に人だかりが出来ている。 噴射口は龍の口になっており、水が流れている。 一人の少女、栗毛のショートカットを揺らしながら、中心にいる人物に向かって駆け出して行く。羽の生えた白馬が少女に気付く。 「タマキさんっ!」 「ハルモ!」 「隊長就任おめでとう!」 「ありがとう」 タマキ、ハルモを抱き止めてポニーテールが揺れる。 「シンシアもおめでとう」 「ありがとうございます、ハルモさん」 「私みたいなガキンチョにさん付けす

      • 「ホーリースピリット」 第1話

        ■第1話 清き心 ○湖に浮かぶ、石づくりの壊れた遺跡。  巨大な龍の像と古い石板。 ー ■■■『聖龍』が、清き■■■精獣を遣わすー  ところどころ読めなくなっている、石板の文字をなぞる手。  白のマントに身を包み、石板の前に佇む女性。フードで顔は見えない。  振り返り、こちらに向かって微笑む。目元は見えない。 この世界には、目に見えぬ力がある。 私達には、知覚出来ない存在が確かにある。 そう、精獣のように。  犬、猫、小鳥などが女性を囲み、肩に乗ったりする。  

        • 「ホーリースピリット」 あらすじ

          【ジャンププラス原作大賞】 連載部門応募作品「ホーリースピリット」 ◆あらすじ 人間と精獣が共に暮らす世界。 「 神の子『聖龍』が、清き童に精獣を遣わす」とされる、風の都。少女・ハルモは都を守る『遣獣使』を志していたが、15歳の誕生日を迎えても精獣は宿らなかった。 失意のハルモの前に、突如姿を見せた妖獣『鵺』が夜の都を襲って行く。仲間を庇って瀕死のハルモ・・・そこに現れたのは、聖龍だった。 鵺は去り際「これは終わりの始まりだ」と言葉を残す。鵺を止められるのは、4体の神の

        「ホーリースピリット」第3話