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『幻想交響曲』の断頭台への行進

新聞に日本フィルの九州公演の広告が出ていた。

去年は同じ時期にN響のベートーベンの7番行ったな~。

2月のこの時期には日フィルもN響も九州公演をするようだ。

宮崎公演は
モーツァルト:歌劇<イドメネオ>序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
ドボルザーク:交響曲第8番

皆しらね~。聴いたことあるかもしれないが、「あだ名」がない曲は覚わらね~。
旦那曰く、ドボルザーク8番は旦那のMIDIで聴かされたことがあるはず、だそうだ。

で、それでもいいか、と思ったのだが。

旦那が「お、鹿児島なら幻想交響曲だ!」
おおおお。
鹿児島なら車で日帰りで行ける!
幻想交響曲は若い時期に一時期、聴きまくったのだが、生で聴いたことはない。

それで2月15日の鹿児島公演

モーツァルト:歌劇<皇帝ティートの慈悲>序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(メンチャイ・カップリングのこれなら知ってるぞ~)
ベルリオーズ:幻想交響曲

のチケッティングをすることになったのでした。

第49回九州公演 日本フィル in KYUSHU 2024 鹿児島公演 | 日本フィルハーモニー交響楽団

幻想交響曲 - Wikipedia

Berlioz: "Symphonie Fantastique" : 4th Mvt.- Leonard Bernstein - YouTube

バレエにもなっているのね~。

バレエ「幻想交響曲」より断頭台への行進 - YouTube

第5楽章「魔女の夜宴の夢」 (Songe d'une nuit du Sabbat)「幻想交響曲」5/5 パリ・オペラ座/ "Symphony Fantastique" Paris Opera - YouTube

こんな動画も見つけた。

オーケストラの裏側『幻想交響曲』地獄の鐘を舞台裏から見る - YouTube

なんか40年ぶりに聴きなおしたな。

ローチケでチケット購入。端の方だけど、結構、前の方になった。
旦那曰く「やっぱ、幻想交響曲は前の席でしょう」だそうで。


私がクラシックを聴き始めたのは社会人になってからだ。
それまではローリングストーンズとかQweenとか、ロックが好きだった。
元々家にレコードプレーヤーがなく、Qweenもステレオカセットでイヤフォンで聴いて、という状況。

最初のボーナスで念願のレコードプレーヤーを買った(まだCDは登場してなかった)。どうみても針を決められたところに落とすような器用なことはできないと思い、自動で針が動く形式のものを買った。レコードレンタル(なんてあったな~)で初めて借りたローリングストーンズのアルバム。返しに行くと「傷がついている」と言われて買い取りになった…。ちょいとしたトラウマになった。

また、疲れて帰った時、ロックじゃ癒されなかったのだ。
初任地の甲府のオフィスでつけっぱのNHKテレビから流れる「名曲アルバム」で聞き覚えのある曲が流れると、一生懸命、曲名を特定していった。JUN & ROPEのCMに使われたフォーレのシシリアーノの特定にはとても時間がかかった。

最初はフィーリング系のバロックとか。
吹奏楽コンクールの取材で有名中学に出入りするようになって、練習中のバンドの中に座らせてもらったり、近所のスーパーの前での演奏を聴きに行ったり。
その時に聴いたアフリカン・シンフォニーかっこええな~、と思って、レコード店に見に行ったらヴァン・マッコイだという…。
「ちゃうやろ?」と思たら視聴させてくれた…。
疑ってこめんね。人気のないデパートのレコード売り場に無駄に大きく流れたアフリカン・シンフォニー、忘れないぜ…。

甲府から名古屋に転勤したころか、映画「地獄の黙示録」のワルキューレを流しながらヘリが飛ぶシーンを見て「あれは絶対、クラシックちゃうやろ?」と思たら、ワグナーだったOrz。

それから結構、映画音楽っぽいクラシックや映画で使われるクラシックを聴くようになったんだな。

新聞記者5年目で、ライターから編集をする整理記者に異動になった。
自分で書きたいから記者になった訳で、他人様が書いた文章を編集するために記者になった訳じゃない!
でもマンツーマンで仕込まれ、1カ月で1本立ち。当時はほぼコンピュータ編集になっていたから(スポーツ面だけ活版が残っていて、火事場のような雰囲気だった)制作のオペレーターさんと組んで、2人でとにかく時間までに四角い紙面を作る。
見出しをつけ、レイアウトを考え、写真の大きさを決め、長い記事は削り、ともかく四角くする。

毎日が試験のようで苦しい日々だった。
降版時間が遅れると、制作フロアの片隅に印刷デスクが立っている。
さらに遅れると、配送デスクも並んで立っている。
ふと気が付くとその2人が背後霊のように後ろに立って作業をのぞき込んでいる。
メドが付くとダッシュで消える…。

酒を飲みながら待つ、刷り出しまでの時間、先輩に「これはなんで見出しが2段なんだ?」「なんでこの大きさの活字つかった?」「なんで訃報に顔写真使った?」「なんで訃報に顔写真使わなった?」「なんでこの写真はこの大きさなんだ」と突っ込みまくられるモルグが始まる。

このときに「デスクが言ったから」という答えはだめだった。
「じゃ、面担はどこにいるんだ。デスクが大組をするのか?」とさらに突っ込まれる。
屁理屈だろうと間違っていようと、「自分がこう思ってこう判断した」と言わなければならなかった。

この時期に毎晩聴いていたのが「幻想交響曲」だった。
なんで買ったのかも覚えていないけれど、「断頭台への行進」の奇妙な明るさが、開き直って前に進むしかなかった当時の自分の心境にマッチしたのだ。

ウォークマン(時代やね~)で音楽を聴く趣味もなく、毎日、出勤のバス停までの道を頭の中でエアで何度も繰り返していた「断頭台への行進」。



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