ROOM’s Circle Vol.12「渡邉 慎也さん/認定NPO法人カタリバ&タクトピア株式会社」
ミラツクのメンバーシップ「ROOM」で展開する「ROOM’s Circle」。コミュニティ内外から素敵なゲストをお招きし、緩やかにお話を伺うオンラインの場です。テーマではなく人にフォーカスし、ゲストの魅力を通じて、ネットワークや繋がりを創造しています。
本日は2021年9月17日(金)にお招きした渡邉慎也さんの会をご紹介します。
本編
渡邉 慎也さん/認定NPO法人カタリバ&タクトピア株式会社
https://www.katariba.or.jp/activity/project/multicultural/
https://taktopia.com/
1991年、韓国に生まれ、2歳から香港で育つ。父は日本人、母は韓国人。シカゴ大学在学中には政治哲学と映画学を専攻する傍ら、課外教育プログラムづくりに携わる。大学卒業後、シカゴの広告代理店でのインターンや香港で塾講師などを経験したのち、コロンビア大学教育大学院で学校内外の教育政策について研究。修了後来日し、タクトピア株式会社にて英語教育やアントレプレナーシップ、アートを初めとした海外研修プログラム事業の企画・運営を現在まで担当。自身の背景から、外国にルーツを持つ生徒の支援に興味を持ち、2020年6月よりNPOカタリバの「外国ルーツの高校生支援プロジェクト」にもパートナーとして参画。
お話を伺ってみて
渡邉さんがこれまで数々手がけられた多種多様な教育プログラムで大切にされてきた思想をお伺いしました。
渡邉さん自身が、日本と韓国のルーツを持ち、香港にある日本人学校とイギリス系インターナショナルスクールに通った背景から、人々が多層的であることに気づき、「生徒が自分でストーリーを紡げるようになると、自信がつき変容がうまれる」という信念から、個人が人生で紡いできたストーリーとそれに支えられたアイデンティティを大事にされているそうです。
またそのストーリーの背景には必ず家族や環境、社会からの影響があると言い、「制度やシステムが個人に何を暗に伝え、どのような影響を与えているのか」を大学・大学院で学ばれてきました。
現在、渡邉さんが伴走する多くは、東京都立の定時制高校に通う外国にルーツを持つ生徒です。外国にルーツを持つ生徒、と聞いて持つイメージは様々かと思いますが、実際に渡邉さんが日々接する生徒たちも実に多様な背景から来ています。
そういった生徒たちを日本の在住年数や出身国、ビザの種類などで分類をすることはできたとしても、それは生徒の個性や背景、ストーリーを理解することには繋がりません。また、「子どもは保護者や周りの大人がどのように世界を説明しているか、と、子ども自身が何を経験してきたか、でつくられている。そこを前提として積み上げないと、新しいストーリーは入っていかない」とも渡邉さんは考えられています。だからこそ渡邉さんは、生徒が未来を描くために、一人一人が構築している世界観や価値観を一緒に解きほぐし、自身のストーリーに自覚的になるような伴走を実践されているそうです。
また同時に、社会と個人は切り離せないものなので、未来を描くためには「(現在の)社会で特定の事象がどのような背景・文脈を持つのかを生徒が理解をする」ことが重要だともお話しされました。
多様性が存在する社会において、アメリカでは既に多方で実践されているCulturally Responsive Curriculum(文化に対応したカリキュラム)の考え方を基盤に「生徒自身が自分でも行動を起こせるという自信を経験から持てるようになる」を目的として、学校内外・対面/非対面で教育プログラムを展開されている渡邉さん。
お話を伺って、私たち一人一人が隣にいるひとと思想や価値観の背景を共有していくことが、よりインクルーシブな未来への大切な一歩なのではないかと思いました。
インタビュアー・文責:ミラツク研究員 北嶋
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