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北海道大学法学部2・3年次編入試験(英語)の解説をします[第7回]

[第6回から続く]

問2 筆者が行った2つの調査の方法と結果を日本語で具体的に説明しなさ
   い。
 
 
前回(第6回)は、説明問題の解き方の手順に従って、問われていることを明確にし、それに関係する文を文中から探して抜き出すという段階まで説明しました。

 今回はその文をもとにして解答の要素を確定するという段階まで説明します。

■ STEP4 解答に含めるべき要素を見つける
  説明問題でも、抜き出した部分をそのまま訳せば解答になることもありますが、多くの場合、抜き出した部分にわからないところがあれば説明を加えたり、逆に問われていることと無関係だったり、関連性の薄い部分を削除したり、冗長な場合には要約したりする必要があります。

1回目の調査について
① どのような調査だったか → ⅡとⅢ(前回参照)に記述がある。
 A)     翌日、1,500人以上のアメリカ人にアンケートを実施した。
  ● 調査方法についての文なので解答に必要
  ●「翌日」がいつなのかわからないので説明する必要がある。
   → 前の段落Ⅰ(前回参照)を見ると、「6月1日、ワシントンポスト
     紙は「接近遭遇:民主、共和両党、UFOを真剣に考慮」という見
     出しの記事を掲載した。」とある。
   → したがって「翌日」は6月2日。また、あとでワシントンポスト紙
     の記事の内容が必要になるので、あらかじめ記事の内容について
     も補足する。そうすると以下のようになる。
  
   「ワシントンポスト紙が「接近遭遇:民主、共和両党、UFOを真剣に
   考慮」という見出しの記事を掲載した日の
翌日6月2日に、1,500人以
   上のアメリカ人にアンケートを実施した。」

 B)     オンラインパネルプロバイダーであるLucidを通じて回答者を集め
   た。
   ● アンケートを取るために利用した会社の情報は、それが調査結果
     に影響を及ぼすような特殊な場合を除き、調査結果と無関係 
     → 削除

 C)     アンケート参加者には報酬が支払われた。
   ● 報酬の有無が調査結果に影響を及ぼすような特殊な場合を除き、調
    査結果と無関係 → 削除

 D)     回答者の3分の1には、ワシントンポストの記事を読むよう指示し、
   残りの3分の2には何も指示しなかった。
   ● 調査の方法を述べているのでこの文は必要。「ワシントンポス
    トの記事」の内容はすでにA)で説明しているので、ここで説明する
    必要はない。

 E)     その後、全員に対して陰謀論を信じる人々に対する感情について質問
   した。
   ● これも調査の方法を述べている → 残す

 F)     回答者は陰謀論者についてどう感じているか尋ねられ、感情温度スケ
   ールの0(非常に否定的)から100(非常に肯定的)までで評価しても
   らった。
   ● 前半「回答者は陰謀論者についてどう感じているか尋ねられ」はE)
    と同じことで重複 → 削除
   ● 後半は調査のやり方に関する新情報 → 残す

② どのような結果だったか → Ⅲ(前回参照)に記述がある。
 G)     陰謀論を信じる人々に対する肯定的な感情を回答した人の割合は、記
   事を読んだ人が48%、読んでいない人は42%であり、記事を読んだ人
   のほうが約6%多く肯定的な感情を持っていた。
   ● 1回目の調査結果の記述 → 残す

以上から、説明に含めるべき要素は、A、D、E、F後半、G

2回目の調査について
① どのような調査だったか → Ⅴ(前回参照)に記述がある。
 A)     翌日、98%の参加者がアンケートに回答した後、ニューヨーク・タイ
   ムズ紙がリークされた報告書を公開した。
   ● この文には二つのことが述べられている。
      (i) 翌日6月3日にニューヨーク・タイムズ紙がリークされた報告
       書を公開した
      (ii) その記事は98%の参加者がアンケートに回答した後に出た
   ● (i)の情報は2回目の調査と直接には関係していない。というのは
    2回目の調査は次のB)のワシントンポストの記事を利用したから。
    しかし、ニューヨークタイムズによって報告書全体がわかったおか
    げで、B)のワシントンポストの記事が書かれたという点では関係が
    ないわけではない。
   ● (ii)の情報も2回目の調査と直接には関係していないが、2回目の
     調査が1回目の調査と重複していないことを明確にする点で、関
     係がないわけではない。

  → この文を解答に含めるかどうかは、これが問われていることに関連
    するといえるかどうか次第だが、なかなか微妙。まあ、解答に含め
    てもいいし含めなくてもいい…かな。

 B)     その翌朝、前回のアンケートに回答した全員に、その朝のワシント
   ン・ポスト紙の記事「原因不明の空中現象。報告書はUFOの存在を肯
   定も否定もせず。」を見せた。
   ● 2回目の調査の方法を述べている → 必要
   ● 「その翌朝」がいつなのか説明する必要がある
     → ニューヨークタイムズの記事が出た日の「翌朝」なので、6月
       4日の朝のこと。

② どのような結果だったか → Ⅵ(前回参照)に記述がある。
 C)     結果は最初のアンケートの結果と一致していた。
   ● 2回目の調査結果を述べた文 → 必要
 D)     最初のアンケートでUFOの記事を読んでいなかった回答者304人のう
   ち、陰謀論者に対する「感情温度スケール」の平均評価は、この報告
   書に関するワシントン・ポスト紙の記事を読んだ後には、最初のアン
   ケートの27から36に上昇した。
   ● 2回目の調査結果を詳しく述べた文 → 必要

以上から、説明に含めるべき要素は、(A)、B、C、D

 これで解答に使う要素がそろったので、最終的に解答を仕上げていきますが、長くなったので、これについては次回に。


 


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