北海道大学法学部2・3年次編入試験(英語)の解説をします[第8回]
[第7回から続く]
前回で解答を構成する要素を見つけたので、最終的に解答を作成していきます。
■ STEP4 解答案を作成する
1回目の調査について
A) ワシントンポスト紙が「接近遭遇:民主、共和両党、UFOを真剣に
考慮」という見出しの記事を掲載した日の翌日6月2日に、
B) 1,500人以上のアメリカ人にアンケートを実施した。
D) 回答者の3分の1には、ワシントンポストの記事を読むよう指示し、残
りの3分の2には何も指示しなかった。
E) その後、全員に対して陰謀論を信じる人々に対する感情について質問
し、
F) 感情温度スケールの0(非常に否定的)から100(非常に肯定的)まで
で評価してもらった。
G) 陰謀論を信じる人々に対する肯定的な感情を回答した人の割合は、記
事を読んだ人が48%、読んでいない人は42%であり、記事を読んだ人
のほうが約6%多く肯定的な感情を持っていた。
2回目の調査について
[ A) 翌日(=6月3日)、98%の参加者がアンケートに回答した後、ニ
ューヨーク・タイムズ紙がリークされた報告書を公開した。]
B) その翌朝(=6月4日の朝)、前回のアンケートに回答した全員に、そ
の朝のワシントン・ポスト紙の記事「原因不明の空中現象。報告書は
UFOの存在を肯定も否定もせず。」を見せた。
C) 結果は最初のアンケートの結果と一致していた。
D) 最初のアンケートでUFOの記事を読んでいなかった回答者304人のう
ち、陰謀論者に対する「感情温度スケール」の平均評価は、この報告
書に関するワシントン・ポスト紙の記事を読んだ後には、最初のアン
ケートの27から36に上昇した。
■ STEP5 問いに対応した形式で答える
「筆者が行った2つの調査の方法と結果を日本語で具体的に説明しなさい」という問いに対応する答えの形式としては、たとえば、「1つ目の調査は~という方法で行い、~という結果になった。2つ目の調査は~という方法で行い、~という結果だった」など。
STEP4で作成した解答案に上の形式を加えて、解答を作るとつぎのようになる。
「 1つ目の調査は、ワシントンポスト紙が「接近遭遇:民主、共和両党、UFOを真剣に考慮」という見出しの記事を掲載した日の翌日6月2日に、1,500人以上のアメリカ人にアンケートを実施し、回答者の3分の1には、ワシントンポストの記事を読むよう指示し、残りの3分の2には何も指示せず、その後、全員に対して陰謀論を信じる人々に対する感情について質問し、感情温度スケールの0(非常に否定的)から100(非常に肯定的)までで評価してもらうという方法で行った。その結果、陰謀論を信じる人々に対する肯定的な感情を回答した人の割合は、記事を読んだ人が48%、読んでいない人は42%であり、記事を読んだ人のほうが約6%多く肯定的な感情を持っているという結果になった。
2回目の調査は、[98%の参加者がアンケートに回答した後、ニューヨーク・タイムズ紙がリークされた報告書を公開した6月3日の]翌朝(6月4日の朝)、前回のアンケートに回答した全員に、その朝のワシントン・ポスト紙の記事「原因不明の空中現象。報告書はUFOの存在を肯定も否定もせず。」を見せるという方法で行われた。その結果は1回目のアンケートの結果と一致していた。1回目のアンケートでUFOの記事を読んでいなかった回答者304人のうち、陰謀論者に対する「感情温度スケール」の平均評価は、この報告書に関するワシントン・ポスト紙の記事を読んだ後には、最初のアンケートの27から36に上昇するという結果になった。」
■ 採点基準
[配点]
1回目の調査の方法が4点、結果が3点、2回目の調査の方法が4点、
結果が3点。
[減点ポイント]
● 1回目の調査の方法について、説明に含めるべき要素〔A、D、E、
F後半〕のいずれかを抜かした場合、抜かした要素1つにつ
きマイナス2点。
● 2回目の調査の方法についても、説明に含めるべき要素〔B、C、
D〕のいずれかを抜かした場合、抜かした要素1つにつきマイナス
2点。要素Aについては抜かしても減点なし。
● 説明に含めるべき要素以外の文、つまり問われていることとは無関
係な文を解答に含めた場合、ひとつにつきマイナス3点。
→ この点で少し問題になるのは、「今回の調査結果は、政治家
が以前はタブーだった意見を議論しようとすると、他の問題
についての陰謀論に対する好意的な態度が高まる可能性があ
ることを示唆している」という最終段落にある文。これを解
答に含めるべきかどうか。
→ この文は調査結果の意味を述べた文なので、問われているこ
とと直接の関係はないが、無関係でもないので、この文を解
答に入れても減点されることはない(と思う)。
以上で、説明問題の解説は終了です。説明問題はなんとなく感覚で解答している人が多いと思いますが、実は説明問題には上述のように解答の手順があります。キチンと手順を踏まずになんとなく解答すると、思わぬところで減点を食らいます。自分ではできたと思ったのに結果が伴わなかった場合、ひとつの要因がこれです。
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8回にわたって令和6年度北海道大学法学部2・3年次編入の英語問題1問目の和訳と説明問題の解説をしてみました。
つぎは北海道大学法学部2年次編入の小論文問題を解説する予定です。