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放浪してます。

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最近の記事

フェンスぎりぎり

広島市民球場 幼い頃、僕は野球選手になりたかった。友達が亀田興毅に憧れてシャドーボクシングをする中、僕は人に気づかれないように盗塁フォームの練習をしていた。そのくらい野球が好きだった。応援していたのは広島東洋カープ。確か「はだしのゲン」を読んだときに知った『樽募金』が印象的で好きになった覚えがある。 あるとき、野球中継を見ていると球場によってホームランの出やすが違うことに気づいた。カープの本拠地である広島市民球場は、他の球場に比べて明らかに入りやすい。ナゴヤドームなんかと

    • 茶柱、見下ろす景色

      茶柱 お茶が好きだ。緑茶やほうじ茶を好んでよく飲む。強いこだわりがある訳ではないが、毎日急須で茶を淹れる。お茶をしている時間が好きなのだ。 幼い頃、祖母がどんなときでも、決まった時間にお茶を淹れてくれていたのを覚えている。僕が学校に行かなくて怒られているときや、家族の誰かが口論しているとき、僕と祖母が喧嘩しているときでも、必ず時間になると皆にお茶を振る舞った。 その時間がすごく好きだった。どんなに口汚く罵り合っていても、その時間になると誰もが一息ついて、団欒の時間が流れ

      • 草履のある生活

        ずっと、草履を履いている。 ここ2年は季節もなく履き続けている。 草履というものはいい。すぐに履けるし、とにかく楽なのだ。さらには話のきっかけにもなるという優れもの。しかし、それを履いているからという理由で『こいつは変人だ』という判定をもらうこともしばしば。 だが草履を受け入れてくれる人は”しなやかな人”であることが多いので、そこも気に入っている。 ネカフェを渡り歩く 季節は秋。東京のホームレス生活を引き上げ、地元に帰ってきた頃だ。 そのとき僕は東京での生活に打ちのめ

        • アメリカ人のお兄さんと異文化交流をした話。

          ある夏の東京、僕は甲の友達から乙の友達へというふうに友達の家を転々として暮らしていた。あるいは今日知り合った人の家や、泊めてくれる人が誰も見つからないときはインターネットカフェに寝泊まりしていた。 一応、ホームレスである。
そんな生活をしていたときに経験した、ある一晩の異文化交流について話をしたい。 きっかけは地元の友人・ケンシロウからの連絡だった。 当時彼は自動車で日本一周をしていて、以前から東京にさしかかったら会おうと約束していたのだ。しかも彼の友人がふたりを家に一

        フェンスぎりぎり

          新宿徘徊

          東京を浮浪する生活が始まってからだいぶ時間が経ったように思える。僕は東京に住まいがなく、泊まる場所が見つからない日は朝まで街をふらついて時間を潰していた。 その日は新宿を歩いていた。
あてもなく彷徨っていると、髪の長いおじいさんがギターを抱えて弾き語りをしているところに遭遇する。周りでは若い女性がカメラを回して動画を撮っていた。気になって少し歩を緩めてしまう。 すると「大麻やってるかあい!?」と見事に絡まれた。この時、なぜか僕の心の中に妙な嬉しさが生まれた。故郷でない街を

          新宿徘徊