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未来の田舎をつくる拠点、コミュニティ複合施設「隼Lab.」とは? その1

今回の記事では、未来の田舎プロジェクトの拠点である「隼Lab.」について詳しくご紹介します。地域・行政・金融機関など様々なステークホルダーが連携して取り組む未来の田舎プロジェクト。その拠点となっている隼Lab.は、閉校になった小学校の校舎を活用し、2017年12月にオープンしたコミュニティ複合施設です。

地域、行政、企業が連携し始まった、新たな地域の拠点づくり

隼Lab.は、2017年に閉校になった”旧隼小学校”を活用して設立された、コミュニティ複合施設です。隼小学校は、八頭町隼地区で唯一の小学校でした。少子化により隣の小学校との統合することになり、2017年3月をもって閉校することが決定。当時の在校生数は31名と小さな規模の学校でしたが、まだ築20年程度と新しい校舎は、3階建で立派な広さがあります。何より、地域唯一の小学校であった隼小学校は、地域に愛されるシンボルマークのような場所でした。

隼地区は、スズキのバイク「隼」の聖地もなっており、バイク愛好家たちも多く訪れます。

閉校の決定後、地域からは「閉校後も違った形で、人々が集まれる場所に活用できないか」という声が上がりました。そこで立ち上がったのが、隼Lab.設立準備委員会です。委員会には、行政、地域住民の代表者、そしてこの動きに関心を持った民間企業が参加し、隼小学校を活用する形での新たな地域の拠点づくりが始まりました。

地域にとっては思い入れのある大切な場所、そして八頭町にとってはこれからのまちの未来を導いていく旗印のようなプロジェクト。さらに企業にとっては、地域や行政と連携しながら民間企業としてのノウハウを最大限に生かした新たなチャレンジの拠点となったのが「隼Lab.」です。


地域、福祉、ビジネス、多様なコミュニティが交わる複合施設

隼Lab.を設立する一番の目的は、この場所が地域にチャレンジを生み出していく拠点となり、持続可能な未来の田舎づくりにつながっていくことです。そのためにはどう活用していくべきか、地域、行政、企業がともに考える中で浮かび上がったのが「コミュニティを醸成する」ことの重要性です。

1つ目の記事でも詳しく書いている通り、人口減少・少子高齢化が急激に進む地方では、福祉、教育、産業、人々の暮らし、経済…様々な側面で課題が顕在化しています。その根本には「コミュニティの希薄化」があります。課題の顕在化は、人口が減り、少子高齢化により世代のバランスも変わってきた中で、これまでは人々が少しずつ助け合うことで成り立っていた地域社会が成り立たなくなりつつある結果です。
新たな地域の拠点となる隼Lab.の役割や可能性を検討する中で、「コミュニティを醸成する」というコンセプトが明確になりました。

地域の中で希薄化しつつあるコミュニティ。そこにどのような拠点があれば、多様な立場や世代の人々が集まり、緩やかに交わり、コミュニティが醸成されていくような仕組みを作れるか。その答えの一つとして「コミュニティ複合施設」というあり方が実現しました。

3階建の校舎には、カフェ、地域の活動拠点、福祉拠点、ワークスペースなど様々な機能が複合

1Fはカフェ、地域住民の活動拠点、福祉拠点など、地域内外に開いた機能が充実

隼Lab.の1階は、カフェ、地域住民の活動拠点、そして訪問看護ステーションといった福祉機能も入居しています。カフェは地域住民はもちろん、町外、県外からも多くのお客さんが訪れています。特に子連れのファミリーや、若い世代を中心に人気があり、少子高齢化がすすむ地方にもかかわらず、日常的ににぎわいを生んでいます。

カフェで働くスタッフは、県内出身者だけでなく県外からの移住者も活躍しています
若い世代だけでなく、地域の高齢者もコーヒーを飲みに訪れる憩いの場になっています
グラウンドに面したテラス席も人気です。月に一度はテラスでマーケットも開催されます

1Fには、地域の福祉活動を主宰する「隼地区まちづくり委員会」も入居しています。まちづくり委員会は、八頭町内の各地区に配置されている委員会で、地域の高齢者を対象に、健康づくりや介護予防の活動等を主宰しています。隼地区まちづくり委員会では、毎週火曜日に活動を開催し、活動日には30名程度の高齢者の方々が元気に体操や合唱などを楽しんでいます。

隼地区まちづくり委員会さんについての記事はこちら

健康づくりは、家にこもりがちな高齢者のコミュニケーションや見守りの機会にもなっています
活動を主催する「隼地区まちづくり委員会」の皆さん。隼Lab.1Fに事務所も入居

さらに、同フロアには鳥取県看護協会による訪問看護ステーションも入居しています。周辺地域を回る訪問看護の拠点として利用されており、毎朝、担当の看護師が隼Lab.に出勤し、日中、各家庭を訪問し看護を行っています。まちづくり委員会・訪問看護ステーションが入居していることで、隼Lab.は地域の福祉拠点にもなっています。


2・3Fは計44社の企業が利用、地域に新たな産業や雇用を生み出すワークスペース

2F・3Fには、フリーアドレス席のコワーキングスペースと個室のシェアオフィス、2種類のワークスペースがあります。2021年12月時点で、コワーキングスペースの会員・シェアオフィスの入居企業は、合計44社。平日は常に60名以上が働くビジネス拠点となっています。

入居企業、会員だけでなく一般利用も可能なコワーキングスペース
元教室を利用し、個室のシェアオフィスを20室用意。現在満室状態が続いています

入居している企業の業種は、ITやデザイン、ECコンサル、ドローン、自然エネルギーなど多種に渡ります。これまで地域になかった産業が生まれていることはもちろん、地域の産業とのコラボレーションも生まれています。

地域と企業の協業など、連携の事例についてはこちら


ビジネスでもカルチャーでも、様々な使い方が可能なレンタルスペース

元小学校の校舎内には、家庭科室や図工室、図書室、体育館といった施設もあります。これらのスペースは、町民に限らずどなたでもご予約・ご利用可能なレンタルスペースとして運営しています。

シェアキッチンでは、料理教室などを開催
ワークショップルームではものづくりの教室や、子ども向けのアート教室も定期開催
研修や会議などで使える部屋もあり、企業様にも多くご利用いただいています


様々な機能を併せ持つ”複合施設”として運営することで、子どもから大人まで、立場・世代も異なる様々な人々が集う場となっている隼Lab.。
さらにただ集客を目的とするのではなく、集まる人々がゆるやかに交わり、コミュニティが醸成されている仕組みづくりを一番の目的として運営しています。次回「その2」では、実際の運営体制や地域と企業の交わりなど、より中身に迫った部分をお伝えします。

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