切り拓けキャリア。霞が関の若手が考える理想の働き方とは!?

1.霞が関の若手職員約60人集結―!

皆さん、こんにちは!1月23日(土)に、10省庁を超える霞が関の若手職員と、官民経験のあるOBOG等を交えて、登壇者の方と理想のキャリアについて議論する、「ミライのキャリアを実現するための企画立案ワークショップ」を開催しました☺

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私たちは日頃、目の前の仕事を精一杯こなしていますが、ふと気づいたときに、自分のキャリアってどうなるのだろうと不安に思うことがあります。特に霞が関の職員は2・3年で異動を繰り返すことが多く、自分の専門性やスキルを身につけていけるのかよく分からないこともあります。
「これからのキャリアが見えない」、「こんなキャリアを築いていきたい」、「こんな専門性を身につけていきたい」―霞が関の若手職員が集まり、そんな悩みや想いをぶつけ合い、キャリアについてざっくばらんに考えられる機会があるといいんじゃないかと思い、イベントを企画しました。

当日は、理想のキャリアを実現するためにはどうしたらよいか、アイデアを出し合うワークショップのほか、厚生労働省OBの千正様やキャリア教育研究家の橋本様による講演、経済産業省で新卒・中途採用も務められた八木様も交えたパネルディスカッションや懇談会を行いました。
(※イベントのタイムライン及び登壇者の方のプロフィールは末尾に記載)
若手職員が等身大でキャリアを振り返り、理想を描いたイベントとなりましたので、以下、イベントの詳細を振り返りながら、紹介いたします! 

2.待ちの姿勢では正解が分からなくなった霞が関<講演>

さて、冒頭の講演では、
・ 厚労省OBとして霞が関の働き方改革に取り組んでいる千正さんから、政策とは、政府独自のリソースを活用して、人々の行動変容を促し、社会課題を解決する営みであるため、政府だけでは効果が出ないこと。
・ 社会が多様化、流動化しているため、業界団体等を通じて声を届けてくれる人が激減しており、霞が関が待ちの姿勢では正解が分からなくなっていること
・ 現場や民間、人の生活の中にある政策ニーズを正しく把握し、企業、自治体、メディア等とチームになって解決に取り組むために、必要性の乏しい仕事を減らして、外に出かける時間を増やす必要があること
といったお話を頂きました。

また、「キャリア教育研究家」として「キャリア・オーナーシップ」の必要性や育て方の講演を行われている、人事院の橋本さんから、「キャリアを巡る社会の変化」や近年の「人事」、「人の成長」に関する理論やトレンドをご紹介いただいた上で、国家公務員の強みである、信頼性や情報力、多角的な視野を生かして、所属する組織外で仲間を形成することの重要性について、お話いただきました。

3、「なんでここに配属されたの?」が知りたい<ワークショップ>

講演の後、多様な省庁・入省年次なメンバーが、それぞれの所属組織の課題やその入省年次ならではの悩みを互いに打ち明けつつ、逆に「自分の職場ではこうやって対処している!」と言った話や官民経験のあるOBOGより民間での取組等について、活発に意見交換しました。

\ 当日出た意見の簡単な概要はこちら /
●異動の際、「なんでここに配属されたの?」ということが知りたい。人事担当者と各職員が定期的にコミュニケーションの機会を持てるようにしてはどうか。

●もっと専門性を活かした仕事をしたい。そのために、例えば、博士の専門性を活かせるポストの創設や、環境省等で試行されている20%ルール(業務時間の20%までを、担当業務以外の活動に充てることができるようにする仕組み)の導入等を進めてはどうか。

●担当業務・所属省庁といった“背番号”にとらわれず、省外も含めた複数の“背番号”掛け持ちが可能な組織の制度改革などを進めてはどうか。また、社内公募制の導入や自身のキャリア希望とポストとのマッチング制度など、キャリア形成機能の拡充をしてはどうか。

●もっと政策を社会にわかりやすく伝えられるようになるために、職員の発信力を強化する研修をしてはどうか。

4.育児という別の会社に勤めに行っている<パネルディスカッション>

各チームからの発表のあと、千正さん、橋本さん、八木さんと霞が関の職員のキャリアについてディスカッションしました。育休中の八木さんからは、「子育てしている職員は早く帰って休んでいるのではなく、育児という別の会社に勤めに行っているようなものってことを、管理職の人も理解する必要がある。短納期の仕事には対応できないので霞が関からショート発注はなくすべき!」というお話がありました。

また、橋本さんからは、それぞれの階層ごとに誰がどういう仕事をやるのかという役割分担をはっきりさせないと、業務も人材配置も最適化もできないというご指摘がありました。さらに、千正さんからは望ましい人事制度(1on1ミーティングなど)を導入するに当たっては、単に制度を作って管理職に義務づけるだけだと形骸化するので、人事コンサルなど外部のプロの力も借りながら、理念に沿った運用を定着させる必要があるというお話がありました。

イベント終了後も有志により、登壇者やOBOGの方と、少人数に分かれた懇談会も開催しました。自分の勤め先の省庁のOBに「なぜ辞めたのですか?後悔してますか?」と問うなど、このイベントならではの活発な意見交換が盛り上がり、「まだまだ時間が足りない!」といった雰囲気の中ではありながら閉会を迎えました。

5.ワークショップを経たキャリアに対する意識や課題の変化

 参加者の皆様からのアンケートは集計中ですが、本イベントの満足度は100%と大変好評で、「本日のワークショップを経て自身のキャリアに対する意識や課題に変化はあったか」という質問にも、90%を超える方から、「変化はあった」と回答いただきました (※アンケートの集計結果は1月31日時点)。

参加者からは、今回のイベントをきっかけに、キャリアを自分で築いていきたい、といった前向きな声が多数上がっています。

● キャリア形成を自ら主体的に行うことが重要であると強く感じた。自分の中長期的なプランを踏まえて、省内のポストに自分から挑戦したり、そのためにアピールしたりと自らキャリアを築いていきたい。
● 霞が関で出来ることについての理解が深まり、今自分がやりたいことを霞が関のツールを柔軟に使えば、出来るかも知れないと思い始めた。
● 霞が関の課題を認識するだけでなく、その課題を変えたいとまで考えている仲間たちが大勢いると分かったことが嬉しかった。
● 「自分のやりたいことや霞が関での働き方、今後のキャリア形成について悩んでいたが、今回のWSを通じ、焦らず色々な部署や組織で様々な経験を積んでいく中で考えていこうと思えるようになった。低迷していたモチベーションを少し立て直すことができた。」

私たちは、霞が関がもっとより良い政策を創れる場所(=“ミライの霞が関”)となることを目指しています。

今回のワークショップで参加者の皆さまが出された意見も参考にして、職員が専門性を活かしたキャリアを構成出来るように、活動してまいりたいと思います。

最後になりましたが、今回お越しいただいた皆様、そして講師の皆さま、休日にも関わらずご参加頂き本当にありがとうございました。

私たちの活動に関心がある方は、ぜひ、お声がけください。私たち若い世代から、ミライの霞が関のために、よりよい社会の実現のために、共に行動していきましょう!


★イベントのタイムライン★

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★登壇者プロフィール★
千正康裕
1975年生まれ。2001年厚生労働省入省。社会保障・労働分野で八本の法律改正に携わり、インド大使館勤務や秘書官も経験。医療政策企画官を最後に2019年9月退官。株式会社千正組を設立し、企業や NPO等のコンサルティングを行うほか、執筆活動やメディア出演を行っている。内閣府や環境省の有識者会議委員も務める。

橋本賢二
1981年生まれ。2007年人事院採用。副業的に未就学児からシニアまでの人材育成に関わる「キャリア教育研究家」として、教育機関やセミナーなどで「キャリア・オーナーシップ」の必要性や育て方の講演活動 を実施。これまでも、早稲田大学WASEDA NEOでの講師や教育委員会での研修講師を勤めたほか、キャリア教育を提供する団体の支援や産学連携教育プロジェクトにも参画。

八木春香
1987年生まれ。2011年、経済産業省入省、製造産業局自動車課に配属。その後、原子力規制、イノベーション政策、ダイバーシティ・女性活躍の推進などの業務を経て、2018年8月から2019年3月まで「経営現場研修」としてメルカリ・メルペイに所属。2019年に、経産省に戻って新卒・中途採用を担当した。