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英語「を」読むから、英語「で」読むヘ

【英語「を」読むと英語「で」読む】

世界は日々、大きく変化しています。

特に今は時代の転換であり、変化の真っただ中と感じます。米国一極だった世界秩序は、多極化へと変化しつつあり、その世界の変化の最前線は、日本語ではなく、英語で発信されています。

英語は、「英国の言葉」ではなく、世界言語であると感じざるを得ません。

そのため、英語「で」読むことが、世界を知るということになっています。日本語を母国語とする私たちにとって、ハンデキャップとも言えます。

しかし、そんなことをいっても、世界は日本語に変えてくれるわけもなく、やはり「英語」で発信されることが止まることはありません。ならば、世界標準に私たちが合わせていく必要があります。

英語を勉強すると英語「を」読む機会はできますが、世界を知るということには遠くなります。英語を読むことが目的になるからです。

だから、大切なのは英語「で」読むこと。つまり、英語は手段であり、目的は英語で世界の動きを知ることです。英語「を」読むから、英語「で」読むことに頭を切り替えると、情報を得るために読む、そして、世界はどんどん変化している、結果として多読となる、英語「を」読む能力も向上する、ということになります。

結果的に英語「を」読む発想よりも、英語「で」読むの考えの方が英語力が向上すると、私は思います。

しかし、目的は英語能力ではなく、英語「で」情報を得ることです。

【スラッシュリーディングとの出会い】

英語「で」読むために、私がおすすめするのはスラッシュリーディング(区切り読み)という方法です。

英語と日本語では語順がまったく違うため、英語の語順に慣れる必要があります。私のブログでの英語は日本語として意味が通ることを心掛けて訳を付けていますが、自分が最初に読み通すときは、スラッシュリーディングの発想で読んでいます。そのあとで、日本語訳を検討していきます。

スラッシュリーディングとは英語の文章を頭から理解できるよう、意味の塊ごとにスラッシュ(/)で区切って読んでいく方法です。

日本人は中学、高校、大学と合わせて10年間も英語を勉強するのに、学校で勉強した英語が実際の役に立たないということは、よく言われることです。事実その通りであると実感する人も多いと思います。

私自身も全くその通りで、英語は学校で習う科目の一つで、その中で英語を読むのは「長文」と分類されて、嫌な問題でした。勉強しなかった自分が悪いのですが、英語の長文を読むことは苦痛でした。

今は、毎朝、早起きして英語を読むことは楽しみでもあり、習慣でもあります。しかし、元々は、英語「で」読むなどということは、まったく考えたこともありませんでした。

そんな私が曲がりなりにも、英語「で」読むことを習慣にできるようになったのは、スラッシュリーディングのおかげです。その昔、高校生の大学受験用に書かれた本の中に、この方法がありました。その時はスラッシュリーディングとは呼ばれていなかったと思いますが、25年ほどの時を経て、試してみたのが、始まりでした。(その参考書のタイトルは忘れてしまいましたが、自分自身は大学受験の時はこの方法にも挫折して、英語の長文を読むなんて、難解極まりないことだと思っていました)

記憶をたどりながら、また、ネットで調べると、スラッシュで区切りながら読む方法をスラッシュリーディングということを知り、見様見真似で試していきました。

三流大学出身、そして英語を使う職業に就いたこともない、まったく英語に触れることなどない私でしたが、人との出会いで世界を知ることが重要と感じてから、「英語で情報を得なければ、世界はわからないんだ」と思い、とにかく「英語で読みたい」という気持ちが芽生え、取り組み始めました。

全く英語はできない人間がいきなり、フィナンシャルタイムズを読み始めようとするわけですから、正直、まったく意味不明で、タイトルすら意味が分からないことがほとんどでした。最初は一つの記事を読むのに、3日間、合計10時間かかるなんてこともありました。単語もわからなければ、文法もわからない。今思うと、無茶苦茶な挑戦だったと思います。

しかし、なぜ、そんな私がその後、英語の新聞記事が読めるようになったかというと、時間がかかったとしても、スラッシュで区切って、意味の塊ごとに理解することを行っていったからです。フィナンシャルタイムズの英文は一つの文章が長いです。そのため、学校で習ったいわゆる「返り読み」で、後ろからから訳して意味を理解するという方法は、非常に困難です。

英語の語順通りに順番に塊ごとに意味を理解しながら読み進めなければ、混乱してしまって、何が何だか分からなくなります。

そのため、日本語に訳すときも、いったん、英語の語順で意味を理解してから、日本語の文章として成り立つように変換する必要があるのです。英語で理解することと、日本語に訳すことは別の作業です。

学校で習った方法では、私にとっては全く意味不明でした。そのため、スラッシュで区切りながら意味を理解して、次の意味の塊に進むというスラッシュリーディングは最適な読み方でした。時間がかかっても、最終的には全体の意味が分かるからです。

(筆者のスラッシュリーディングで読んだ文章のファイル。当初はすべてプリントアウトして読んでいた)

ただ、苦労したのは単語です。これは、ひたすら調べるしかない。そして、これは今でもそうですが、覚えるしかない。

(筆者の単語帳の一部。全く英語ができないところからのスタートなので、あっという間に増えていった)

ただ、こんな原始的な単語帳を作るのが効率的かというと、そうではないです。もっと、良いやり方はあると思います。私はあまりにも単語が分からなかったので、読んだ英語の記事の文章を抜き出して写し取り、その記事のイメージごと記憶に残そうとして、こうして大き目の単語帳に文章ごと書き出すという方法を取りました。

繰り返しになりますが、スラッシュリーディングは頭から意味を塊ごとに理解していくので、単語や簡単な文法のルールを覚えれば、どんどん文章を読むことができるようになります。根気さえあれば、誰でも読めるようになります。

私の場合、英語力は本当に「0」でしたので、苦労しましたが、普通に英語を勉強している人ならば、誰でも英語で出ている世界の記事は読めるようになるでしょう。

日本語も素晴らしいと思いますし、日本も大好きです。ですが、残念ながら日本語は世界標準ではありません。日本語と英語で情報を得る力を持つ人が一人でも増えて欲しいと願います。それは、日本が変わるムーブメントを起こせる人が増えることにもつながると信じているからです。

私にとって、スラッシュリーディングとの出会い、そしてそれを使って、英語の新聞記事を読むことを習慣にできるようになったのは、世界が一変することでした。

スラッシュリーディングという方法に出会わなければ、とっくに挫折していたでしょう。私にとって、スラッシュリーディングはそれほどパワフルな手法でした。

【スラッシュリーディングの実際】

スラッシュリーディングは英語の語順で、意味の塊ごとに理解していくという方法です。そして、それは英語の語順について理解をしておくと、やりやすくなります。

例えば、英語で即座に、「一昨日」ということができるでしょうか?

これをうまく言える人はある程度、英語ができる人といえるでしょう。たいていはうまくいきません。「一昨日」という表現は、ほとんどの人がすでに勉強したはずです。しかも、これを言い表すのに必要な単語はほとんどの人が勉強しているはずです。

ところが、単語を知っているだけでは英語にならないのです。それは、この英語の表現を日本語にして、日本語の思考法で「昨日の前の日」と覚えているからです。つまり、「返り読み」して覚えているからなのです。

そのため、日本語で最初にくる「昨日」とか、「昨日の前の」に当たるyesterdayとか、before yesterdayという単語が先に出てくる人が多いと思います。

英語の発想の場合、まず、the day 「その日」と言っておいて、その後で「その日」がどんな日かを説明するためにbefore yesterday と、英語の語順で表すことができなくてはなりません。

そのためには、the day 「その日」+before yesterday「昨日の前の」という語順になっているということを知っておく必要があるのです。

簡単なようで慣れていないので、難しい。英語が日本語と語順が違うというのは、こういった単純な英語であっても、あるのです。これが、語順ごとに意味を考える際に知っておくと、楽になる事柄です。

一昨日=the day「その日」+before yesterday「昨日の前の」

単語には苦労したと前述しましたが、単語は調べればわかります。では、英語は単語が分からないから読めないのか?というと、そうではありません。

仮に単語が分かっとしても、返り読みをしていると、英語ネイティブが読むような一文が長い文章には対応しきれなくなります。混乱してくるのです。

以下の文章を読んでみてください。(まだ英語を読むことに慣れていない方は、その次のスラッシュリーディングの読み方で読めるようになりますので、ここでは無理をせずに)


House Speaker McCarthy: Republicans Will Raise US Debt Ceiling

WASHINGTON — U.S. House Speaker Kevin McCarthy pledged Monday that the narrow Republican majority in the House of Representatives will vote to raise the country’s debt ceiling to avert a default on the government’s financial obligations in the coming months, but will also stipulate that future spending increases be capped at 1%.

The White House strongly criticized the announcement.

McCarthy, in a speech at the New York Stock Exchange, called the country’s nearly $31.7 trillion debt a “ticking time bomb” and assailed Democratic President Joe Biden as “missing in action” in resolving the contentious issue before the government runs out of money to pay its bills, which could be as soon as June.

Any resulting default on the government’s financial obligations would be a U.S. first and could roil the world economy, plunge stock values and force widespread layoffs.

Biden and White House officials have called on Congress to approve a debt ceiling increase without conditions, as has often been done in the past, including during Republican administrations. But McCarthy said, "Since the president continues to hide, House Republicans will take action."


一つ一つの文章が非常に長いため、返り読みをしていると、混乱してきて、意味が分からなくなってしまいます。

それもそのはず、英語ネイティブの人は返り読みをしていませんし、日本語の発想で書かれているわけでないので、返り読みは無理があるのです。

では、次にスラッシュリーディングを見てみましょう。


House Speaker McCarthy: /
マッカーシー下院議長
Republicans Will Raise US Debt Ceiling
共和党は米国の債務上限を引き上げるだろう

WASHINGTON —/
ワシントン
U.S. House Speaker Kevin McCarthy pledged Monday/
ケビン・マッカーシー米下院議長が月曜日に約束した

that the narrow Republican majority in the House of Representatives/
下院で僅差で過半数を占めている共和党は、
will vote to raise the country’s debt ceiling/
国の債務上限を引き上げるために投票するだろう
to avert a default/
デフォルトを回避するために
on the government’s financial obligations/
政府の金融債務の
in the coming months,/
今後数ヶ月の間に
but will also stipulate/
しかし、また規定するだろう
that future spending increases be capped at 1%./
将来の支出増を1%に抑えると

The White House strongly criticized the announcement./
ホワイトハウスはこの発表を強く批判した。

McCarthy,/
マッカシーは
in a speech at the New York Stock Exchange, /
ニューヨーク証券取引所でのスピーチで
called the country’s nearly $31.7 trillion debt/
31.7兆ドル近い国の債務を呼んだ
a “ticking time bomb”/
時限爆弾と
and assailed Democratic President Joe Biden/
そして、民主党のジョー・バイデン大統領を非難した
as “missing in action”/
行動を起こしていないとして
in resolving the contentious issue/
国の問題解決に向けての(行動を)
before the government runs out of money/
政府がお金を使い果たす前に
to pay its bills, /
その請求書の支払いのための
which could be as soon as June.
早ければ6月頃になる可能性がある

Any resulting/
結果として
default on the government’s financial obligations
政府の金融債務のデフォルトは
would be a U.S. first/
米国初となる
and could roil the world economy, /
そして、世界経済を揺るがす可能性がある
plunge stock values and force widespread layoffs.
株価が急落し、そして解雇が相次ぐ。(可能性がある)

Biden and White House officials have called on Congress /
バイデン氏とホワイトハウス関係者は、議会に呼びかけた
to approve a debt ceiling increase /
債務上限引き上げを承認するように
without conditions,/
無条件で
as has often been done in the past, /
過去にしばしば行われたように
including during Republican administrations.
共和党政権時代も含めて。
But McCarthy said,/
しかし、マッカーシーは言った、
"Since the president continues to hide, /
「大統領が隠れ続けている以上、
House Republicans will take action."
下院共和党は行動を起こす」。


いかがでしょうか。

このように、意味の塊ごとにスラッシュを入れて、英文の頭から読み下していくと、一文が長くても、英語を理解することができます。

大切なのは、英語を理解することで、翻訳することではありません。私のブログでは、対訳をできるだけ日本語で意味がわかるような訳文にしていますが、それはあくまで内容を伝えるためにやっていることであって、自分が英文をまず一読するときには、このように英語を頭から意味の塊ごとに理解して、読み進めています。

【センス・グループで区切って読む】

では、どうしたら英語をそのまま頭から読み下し、内容を理解できるようになるのでしょうか。それには英語本来の「仕組み」を知っておくと早くできるようになります。

英語の仕組みが分かるようになると、返り読みをしていた時には分からなかった、英語の本質が見えてくるはずです。英語を後ろから「返り読み」する翻訳では、英語の仕組みから離れた日本語に置き換えてしまうために、英語そのものの構造の理解に至らないのです。

英語を忠実に読み下して理解できるようになるためには、どんな方法を取れば良いのでしょう。下記の例文を見てください。

In the early 1980's several Japanese firms plunged enthusiastically into fuzzy research.

この英文を文頭から読み下してみましょう。


In the early 1980's(1980年代の初めに)/several Japanese firms(いくつかの日本企業が)/plunged(飛び込みました)/enthusiastically(熱心に)/into fuzzy research.(ファジー理論研究に。)


私たちが日本語を読む場合にも、文章を一気に一息で読むのではなく、必ず文の途中で間を取りながら読んでいます。

「私は英語を読む際にスラッシュで区切りながら読んでいます」、この日本文を読む際も、自然と区切りを入れて読んでいるはずです。日本人なら誰にも教えられなくてもわかります。それが日本語が母国語だからです。

ところが、英語を母国語としない私たちは、意識しなければ、どこで区切って意味を理解するかが分かりません。

しかし、英文を書いた人は書きながら考え、考えながら書くという作業をしたのです。決して、一瞬にして英語での文章が出来上がるわけではありません。語句のまとまりごとに書いては間を取り、次の語句を考えながら書いた結果、文章が出来上がっているのです。

ですから、英語の文章を読む際は、書いた人が考えるためにとった間を利用して書いた人と一緒に考えながら読むという気持ちで取り組むと良いのです。

上記の英文で言うと、以下のように考えていきます。

①まず、In the early 1980's までの意味を(1980年代の初めに)と一緒に考えるのです。

②次にseveral Japanese firms(いくつかの日本企業が)が、一つのグループです。これを書いた後に、次にどんな言葉を使ったら、自分の考えを最も効果的に表現できるかを考えるために間を取ったはずです。その結果、plunged(飛び込みました)という、かなり思い切った視覚に訴える言葉を選んでいるのです。ここで、plunged(飛び込みました)と動詞が頭に浮かぶのが英語を母国語とする人たちの思考回路です。

日本語を母国語とする私たちは、ここで動詞を考える前に、英語では後で出てくるinto fuzzy research.(ファジー理論研究に。)とか、enthusiastically(熱心に)という言葉を先に考えた後で、「飛び込んだ」と考える習慣があります。このように日本語は、主語とその動詞が離れているのに対して、英語は接近しているのです。

主語と動詞が接近している思考法、つまり「英語の思考法」が身についている英語ネイティブはseveral Japanese firms(いくつかの日本企業が)と結合させるのが当然だという感覚(五感)を身につけています。

③続いてenthusiastically(熱心に)という言葉を使って、plunged(飛び込みました)を補強して、ここでやや安堵の間を取ったのかもしれません。

④そして最後に「何に」飛び込んだのかを説明するために、into fuzzy research.(ファジー理論研究に。)と結んだのです。

このようにすれば、この英文を書いた人と同じところで立ち止まり、一緒に考えながら読み進むことができるのです。こうすれば、文を読み終わった時には、すでに内容が把握できています。

そして何よりも、この読み方をすることによって、英語に忠実な読み方を身に着け、同時に英語の仕組みを身につけることができるのです。これが「英語の思考法」を身につけ、英語を読むための第一歩であることが分かるのではないでしょうか。

私たちが日本語を読む場合にも、文章を一気に一息で読むのではなく、必ず文の途中で間を取りながら読んでいます。

「私は英語を読む際にスラッシュで区切りながら読んでいます」、この日本文を読む際も、自然と区切りを入れて読んでいるはずです。日本人なら誰にも教えられなくてもわかります。それが日本語が母国語だからです。

ところが、英語を母国語としない私たちは、意識しなければ、どこで区切って意味を理解するかが分かりません。

しかし、英文を書いた人は書きながら考え、考えながら書くという作業をしたのです。決して、一瞬にして英語での文章が出来上がるわけではありません。語句のまとまりごとに書いては間を取り、次の語句を考えながら書いた結果、文章が出来上がっているのです。

ですから、英語の文章を読む際は、書いた人が考えるためにとった間を利用して書いた人と一緒に考えながら読むという気持ちで取り組むと良いのです。

これがスラッシュリーディングの考え方と言えるでしょう。

私はこのスラッシュリーディングという方法を取り入れて、たくさんの英語を読むことができるようになりました。

英語でたくさんの情報を手に入れたいけれど、英語は苦手という方はぜひ、取り入れてみてください。

もっと知っておいた方が良いスラッシュリーディングのための基本的な考え方は今後、アップしていこうと思います。その際は、有料とさせていただくことになると思いますが、一生懸命お伝えしますので、その際は、ご理解ください。


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