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会社の4つの旧習

■組織の旧習とは?
 ウォーレン・バフェットは世界一有名な投資家の一人で、数多くの企業を分析してきました。その経験から会社が陥りやすい4つの旧習があることを見抜いています。組織はほっておくと、このような状態に陥り、だんだんと官僚的な組織へと老化していきます。私も数十の会社でお仕事させていただきましたがこの旧習は、多くの組織が陥りやすいという実感を持っています。
 組織が陥りやすい旧習を理解することで、経営幹部であれば組織を良い方向へと改善するヒントが得られると思います。また個人としても組織が陥りやすい旧習を理解することで、組織の中でどのように動けばよいのかのヒントを得られると思います。
 
■組織の4つの旧習
 それでは、バフェット氏が指摘している会社が陥りやすい4つの旧習をご紹介したいと思います。
 
①慣性の法則
 物理には「慣性の法則」というものがあります。「慣性の法則」は、モノは抵抗が無い状態においては、一度動くと方向や速度を変えずに同じ動き続けるというものです。組織にもこの「慣性の法則」が働いています。つまり、組織というのは現状維持に固執してしまうのです。ですから、組織を良い方向に変革しようとしても多くの取り組みが失敗してしまいます。組織は働き方や仕事の仕方が変わることを極端に嫌がるからです。
 これは、不思議な話ではありません。あなたが会社の中で働いるとビジネスパーソンだと考えてください。自分の仕事の仕方を否定されて、新しい仕事の仕方に変えるように指示されたら、嫌な気持ちになりませんか?それが例え必要なことだと分かっていても抵抗感を感じると思います。ましてや組織変革というのは、経営幹部が起点となって行うもので、末端の社員はその必要性をあまり感じていません。その状態で変化することだけを求められるものですから、その抵抗感は凄まじいものになります。これが現状維持に固執をするという組織の旧習を生み出しているのです。
 
②資金の使い果たし
 会社というのは、予算が余るという見通しがたつと、必要性が無いにも関わらず事業計画や買収計画を実行し予算を使い果たします。結果として、会社の手持ち資金は綺麗になくなってしまいます。これは、年度末になるといたるところで工事が行われることからも分かると思います。予算を使い切らないと次年度の予算を減らされてしまうため、無理にでも予算を使い果たそうとするからです。このように会社の資金というのは、必要もないものにまで無理やりに使われ、会社からなくなってしまいます。
 
③トップ追随
 組織というのは、トップの指示に従って動いていくものです。ですから、トップが入れ込んでいる事業は、それが間違っていようとも、部下によってs支持されてしまいます。その事業に対する部下やコンサルによる戦略上の分析の結果は、必ずその事業を強く推進すべきというメッセージに落ち着きます。つまり、トップが事業を推進するという答えありきの戦略上の分析がなされるということです。このように組織というのは、トップに対してNoということはほぼなく、トップが思うがままに事業が推進されることになります。
 
④同業他社への追随
 最後に、会社というのは、事業拡大や役員報酬の設定などについて同業他社に追随する性質があります。理由は、間違った意思決定をしたくないからです。競合他社が行っている取り組みに追随していれば、もし間違っていても責められることはありません。逆に競合他社も行っていないような、斬新な取り組みをしてそれが失敗に終わるとどうでしょうか?その意思決定をした人を責めることは簡単です。このようにして、会社というのは、競合他社がやっていることを横並びで行おうとするようになるのです。
 
 以上が、組織に起こりがちな4つの旧習です。これらの旧習というのは、本当に多くの組織において実際に起こっていることです。ですから、組織を変革する必要ある場合には、この旧習に捕らわれないように実行していくことが大切です。また、個人として組織で働くときには、組織が持っている習性というものを理解して、その上で立ち回っていくと、結果が出やすくなると思います。
 
[参考文献]
ローレンス・A・カニンガム. (2021). バフェットからの手紙 第5版. パンローリング株式会社.

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