見出し画像

5分でかるNFT

■NFTとは何か?
 NFTとはNon-Fungible Tokenの略語です。Fungibleとは代替可能物という意味ですので、NFTは「唯一無二であることを示す証拠」というようなニュアンスです。NFTの最大のメリットは、デジタルアートなどデジタル資産の売買の記録や現在の所有者が誰かを明確にできるということです。
なぜ、これが凄いことなのでしょうか?デジタルアートなどのデジタル資産というのは、簡単にコピーすることが出来てしまいます。ですから、アーティストがデジタル作品を作って発表したとしても、すぐにコピーされてしまうので、そのデジタル作品に対する希少性というものが生まれませんでした。結果、デジタル作品を作ったアーティストはその作品の価値に見合った価格で誰かに売ることが出来ませんでした。このような状態では、少なくともデジタル作品を売りたいと思っているアーティストにとっては、デジタル作品を創作するモチベーションはわきません。しかし、NFTを使うことによって、デジタル作品を誰が誰に売ったのかという情報を正確に記録することが可能になりました。
NFTは2017年から始まった新しい考え方で、ブロックチェーンの技術を利用しています。ブロックチェーンは、元々はビットコインに代表される仮想通貨の技術でしたが、仮想通貨以外にも活用されて始めています。その一つの活用例がNFTという訳です。ブロックチェーンという技術の優れている点は、「ブロックチェーン上の過去から現在に至るまでの取引の全てを正確に記録できる」という点です。ですから、あるデジタル作品を創作したのが誰で、買ったのが誰で、更に転売されて今誰が所有しているのかを正確に記録することが可能なのです。そのため、いくら作品がコピーされたとしても、その作品の本当の所有者がハッキリわかってしまうのです。このように、NFTは簡単にコピーすることが可能なデジタル作品の所有者を明確して、売買することを可能にしました。

■NFTの現状
 では、現在NFTを使って、何が起こっているのかということを見ていきたいと思います。例えば、Twitterの共同創業者のジャック・ドーシー氏の最初のツイートの文章(just setting up my twttr)は3億円で売られました。これは、NFTの立ち上げ期ということでご祝儀的な意味もあるのでしょうが、将来の歴史的な価値を見越して高額で落札されたとも考えられているようです。
 また、日本ではせきぐちあいみ氏のVR作品が1,300万円で落札されています。VRを使ってアート作品を作るパフォーマンスも含めて、VR作品を販売できるというのは画期的なことです。他にも米国のNBAでは、選手のシュートシーンなどの動画がNFTで販売されています。コアなファンからすると、劇的なプレイの動画を自分が保有しているというのは、確かに価値があると感じるのは想像できます。それから、ゲームの中では、希少性の高いアイテムやキャラクターが売買されるようにもなってきています。このように、NFTを使って、デジタル資産の売買が現実に始まっています。

■NFTの将来性
 今後、仮想空間(メタバース)が発展をしていくことが予想されています。もしかしたら、我々は「レディープレイヤー1」や「マトリクス」のようにリアルな世界と同等かそれ以上にメタバース上の世界で過ごしていく時間が長くなるという未来も遠くないのかもしれません。IoTや5Gなどの技術の発展などとの兼ね合いもありますが、この1、2年のリモートワークの広がりを見ているとそう遠くない将来かもとも思えてきます。メタバース上で多くの時間を過ごすということは、それだけ、デジタルアートやデジタルコンテンツに触れる時間が多くなるということです。では、それらのデジタルアートやデジタルコンテンツはどのように売り買いされて、どのように記録されていくのでしょうか?
 その答えの一つがNFTなのだと思います。そのように考えるとNFTの市場は、呼び方や技術が変わる可能性はありますが、その根本的なアイデアは今後成長していくことが予想されます。また、思いもしなかったような使い方も出てくるのはないでしょうか?例えば、町おこしの一環として、NFTを使うということも考えられているようです。町の写真をNFT化したり、歩道橋をNFTで所有することができるようにするなどのアイデアがあります。
 このように、NFTを活用した地域活性化やビジネスへの活用を考えていくと面白いかもしれませんね。

(第42回 2022/1/11)

[参考情報]
足立明穂. (2021). 誰にでもわかるNTFの解説書. Live Publishing.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?