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状況把握が上手くなる方法

■仕事における状況把握とは?
 仕事において状況把握をするということは非常に大切です。状況把握とは、現在何が起こっているのかということを正しく理解することです。状況把握ができていないと、何が起こっているのかを認識できませんので、正しい打ち手を考えることができません。状況把握が必要な場面というのは、仕事の環境や状況が日々刻々と変わっていくような場合です。ですから、マニュアルに沿って毎日同じ仕事をするようなルーチンワークには、状況把握は必要ありません。しかし、プロジェクトベースの仕事のように、決まりきったマニュアルに沿って行われない仕事では必ず状況把握が求められます。そして、素早く成果を上げるためには、状況把握を適切に素早く行うことが極めて重要です。状況把握をすぐに行える人は、仕事においてすぐに成果を上げていきます。 しかし、状況把握が苦手な人というのは、仕事において成果が上がるまでに非常に時間がかかります。今回は、なぜ状況把握が得意な人と苦手な人がいるのかということについて考えていきたいと思います。

■状況把握が得意な人 vs 苦手な人
 「状況把握が得意な人と苦手な人がいるのはなぜか?」の答えは、物事を抽象化して捉えられるかどうかにかかっています。状況把握が得意な人というのは物事を抽象的に捉えることが得意です。一方で状況把握が苦手な人というのは物事を抽象的にとらえることができません。
 物事を抽象化するとは、グルーピングする、もしくは同じものだとみなす能力だと言っても良いかもしれません。例えば、皮ごと食べることができるマスカットと、皮をむかなくてはいけないキウイがあったとします。このマスカットとキウイという果物の種類も物事を抽象化して捉えています。なぜならば、マスカット一粒一粒を観察すると、厳密には同じ粒というものは存在しないからです。キウイも同じです。限りなく似ているキウイはあるかもしれませんが、分子レベル、原子レベルまで行かなくても、厳密に観察すると必ずどこかに異なる点があるのです。ですから、マスカットならマスカットの特徴を捉えて抽象化しているのです。また、もしマスカットとキウイという概念がないと二つの果物を食べる時に非常に困ります。なぜかと言うと、マスカットとキウイは同じ果物で区別しないで捉えていると、マスカットは皮を剥かずに食べることができたので、キウイも同じように皮を剥かずに食べることができると勘違いして、ゴワゴワの皮ごと口に入れてしまうかもしれません。毎回、口に入れて初めて、この果物は皮ごと食べることができるか否かを判断することになります。しかし、私たちはマスカットとキウイの違いを把握しているので、見ただけで皮をむくべきか否かの判断ができるのです。このように私たちは無意識に物事を抽象化して捉えています。

 果物の種類のような日常生活において、よく見慣れた物事については、子供の時からの刷り込みで既に抽象化がなされているので問題なく捉えることができます。しかし、仕事において状況把握をする時には、日常における見慣れた物事ではなく、新しい状況や物事に対して理解をしていくことが必要です。ですから過去に既に抽象化されている物事ではなく、新しく起こったことを抽象的にとらえることが必要になります。状況把握ができる人というのは、新しい状況において物事を抽象的に捉えることができる人だと言えます。一方で状況把握が苦手で時間がかかる人というのは、新しい状況における抽象的な物事の捉え方が不得手であるという場合が多いように感じます。
 
 例えば自社の製品を販売する場合に、新規の顧客には新規顧客の割引額が適用され、グループ会社にはグループ会社の割引価格が適用され、そうではない顧客には割引価格が適用されないという方針があったとします。状況把握が得意な人というのは、 新規顧客、グループ会社、その他顧客という抽象化されたカテゴリーとその割引の有無をはじめに頭に入れます。そして、それに基づいて、個別の顧客の価格というのを正しく設定することができます。しかし、状況把握が苦手な人というのは、顧客のカテゴリーをはじめに理解しようとしません。もしくは、個別の顧客とカテゴリーの関連づけを行うことができません。ですから、個別の顧客ごとに、価格設定の定義はどうなっていたのかを調べなおして、そして価格を設定するというようなやり方になってしまいます。ですから状況把握が得意な人に比べて、一つ一つの仕事が非常に時間かかるという結果になってしまいます。この例は非常にシンプルなのですが、実際の仕事においてはもう少し複雑な状況に出くわします。例えばビジネスモデルを作ることや理解することというのは、商流や物流を抽象化することに他なりません。状況把握が得意な人というのはこのような抽象化を適切に行うことができるので、経験したことがないような仕事についでも素早く状況把握することができるのです。

 以上のように、 状況把握が得意な人と不得意な人の違いはものごとを抽象的に捉えることができるかどうかということだという話をしてきました。ものごとを抽象的に捉えるというのは、グルーピングをすると言うことです。 グルーピングをして捉えることによって、複雑な物事が非常にシンプルに見えてきます。皆さんも 状況把握が必要な時にはものごとを抽象的に捉えるということを意識してみてはいかがでしょうか。

(第35回 2021/11/23)

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