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書き出し力の高め方

■書くことの大切さ
 相手に何かを伝えるとき、少し複雑な内容になると相手に伝えることが難しくなることがあります。自分が伝えようとしていることの背景を相手が理解をしていないと、なおさら意思疎通することが困難です。このような時に有効なのが、書くということです。
 
ここでいう書くというのは、会話をしつつ、ホワイトボード、紙などを使って、情報を書きだしていくことを意味しています。リモートワークの場合には、メモアプリなどを使って書き出していくこともあるかもしれません。また、その場で書きだしていくだけでなく、事前にパワーポイントなどに書きだしておくようなケースもあります。どちらにしても、会話において相互理解を深めて、結論を見出すために書き出すことを意味しています。
 
 書くことによって、2つのメリットがあります。一つ目は、書くことで、自分の頭が整理されて、状況の理解にブレがなくなります。少しでも複雑になると、自分の頭において状況がきちっと整理されなくなります。そのような状態で相手に物事を伝えるのは困難です。
 
 二つ目のメリットは書くことによって、視覚で相手に情報を伝えることができます。人間が受け取る情報のうち8割が視覚からだと言われています。ですから、書くことによって視覚から相手に情報を伝えることができるようになり、正しく情報が伝わりやすくなります。
 
■書き出し力の高め方
 ではどのように書けば情報が正しく伝わるのでしょうか?大切なことは、自分の頭の中、もしくは相手の頭の中の情報を書き表すことです。そして、互いに正しく現状を把握したうえで、合意形成を図ることが求められます。そのためには、3つのポイントがあります。
 
①要素の図式化

 伝えようと思っている事柄について、頭の中の情報を要素に分けて図式化します。要素に分ける時には、出来るだけMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)な状態になっていることが好ましいです。MECEというのは、漏れなくダブりなく、要素が列挙されていることです。
 
 ただし、会話をしながら書き出していく場合には完全にMECEであることを担保するのは難しいかもしれません。その時には、出来る限り、漏れなくダブりなく思いつく要素を書き出すことが大切です。
 
 そして、要素を書き出すときには、図式化することが必要です。特に図に意味を持たせる必要が無いのであれば、〇で表現していくことでも良いかもしれません。要素を具体的に表現できるのあれば、それでも良いかもしれません。どちらにしても、要素をなんらかの図形で表すことが必要です。
 
②要素の命名
 次に必要なことは、図式化した要素に名前を付けることです。大抵の場合、書き出す図は〇や□など非常に抽象的な形をしています。ですから、名前を付けないと、それが何を表しているか分かりません。名前を付けることで、何の要素を表しているのか関係者全員が合意できるのです。
 
③要素のステータス
 ここまでで、会話している事柄の要素を洗い出すことができます。ここまでくれば後は、現状のステータスがどうなっているのかを要素ごとに表していくようにしましょう。すでに対応済みの要素には、「済」のような文字を記載していきます。そうすることで、未対応の要素がどれだけあるのかが一目で分かります。そうなれば、未対応の事項について、対応方針を検討すればよいということになります。論点が明確になり、且つ、具体的なアクションまで検討ができるようになります。
 
 以上のように書き出し力は、複雑な会話をするときには、強力なツールになります。相手が何をいっているのか分からない、あるいはこちらの言っていることが通じない時には、書き出してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。
 
(第79回 2022/10/11)

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