『読書感想文の所感#9』

〜一読で汲み取れるか否か〜

読書感想文は、読みやすく書くべきだ。どれくらい読みやすければ良いかという指標を示すとすれば、『一度読んだだけで言いたいことがほとんど理解できる』くらいだ。

例えば論文なんかは、比較的読みづらい。これは、ある程度専門的な内容を扱っていたり、馴染みのないワードが頻繁に使用されていたり、ある特定のデータや知識を知っている前提で書かれていたりするからである。対して読書感想文は、あくまで個人の感想である。それを述べる為に難解な単語や知識を扱う必要はないはずだし、寧ろ誰が読んでも分かるようなさっぱりした文章であるべきだと思う。
そもそも、論文と読書感想文は読まれ方が異なる。論文を読む場合、そこには『このことについて知りたいからこの論文を読む』という目的意識がある。論文が情報という価値を持っているのに対し、読書感想文にはそういったものがない。仮にあったとしても、『論文よりも読書感想文の方がタメになる』と思ったことがある人はよほど少数なのではないだろうか。読み手の目的意識が薄い。これはつまり、『多少頭を使ってでも読もう』としていないのであり、故に読みづらい読書感想文には目も当てられなくなってしまう。一読で汲み取れる読書感想文を意識したい。

余談であるが、広告などでよく見るキャッチコピーは、逆に一読で汲み取れ無いものの方が良いと言われている。主語を省いたり、倒置を用いたり。様々な汲み取りづらくする工夫をして、二度も三度も読んでもらえるような、つまりは頭に残りやすいような、コピーが完成しているのだと思う。