『読書感想文の所感#3』

〜課題図書で外出自粛〜

読書感想文を書くにあたって読む本には、課題図書と自由図書の2種類がある。課題図書は、各学年層ごとにあらかじめ2〜3冊程度決められている本のことであり、自由図書は、課題図書以外の本のことをいう。この課題図書というものが存外難しい。課題図書だから感想文が書きやすいかと言われたらそうでもないし、本のジャンルもテーマも、統一性がない。そもそも課題図書というだけで、その本で感想文を書く人が増え、結果として内容を比べられることもざらにある。その上、講評では『似たような主張が多かった』と書かれる始末。課題図書にあるメリットなんて、本を選ぶ手間が省けることくらいしかないのではなかろうか。

それでは何故、毎年課題図書が選出されているのだろうか。本の作者が課題図書選考委員に裏工作をして、自らの本を読書感想文コンクールを通して宣伝してもらおうとしている。なんてゲスいことを考えたりもしたが、流石に良くないので他の可能性について話そう。
単刀直入に言えば、課題図書は上級者向けだ。特にメリットのない制限をかけられる中で、どれだけ自分の感想を語れるか。どれだけ自分の色を出せるか。そういう真剣勝負のための課題図書なのではないか。課題図書は言わば、無限に広がる本の世界への外出禁止令である。

課題図書で読書感想文に挑戦する人は、かっこいい。毎年自由図書でお茶を濁していた私の何倍も、何十倍も。