老廃物となって

いつもに比べて、1.5倍の長さ。
短めの、長風呂。
世界と自分の感覚のズレが、
浴室の壁に反響してよく聞こえるのです。

結局、いつものメニューが美味しくて。
結局、いつもの家が恋しくて。
結局、いつもの音楽を聴いていて。
結局、いつもの言葉で自分を表している。

蓄えた僕が、古くなって、いらなくなって、
やがて体外に排出されようとした時。
やはり大概は見るに耐えないほど汚くて、
目を背けたくなったり。
補うように、いつもをいつも補給していて
ふとした瞬間の自分らしくない何かは、
目に見えないサイズまで分解されるか、
跡形も無く消えるかのどちらか。

飛び出る瞬間に、ふと声が出る。
「苦しい」とか「きついな」とか、
あるいはもっと「あぁ」とかいう
間抜けな声だったりもする。
声を出した拍子に、鮮明に思い出して、
ついさっき捨てようとしたものを、
もう一度吸収してしまう。
悍ましく汚くて、身震いしてしまう。

いつもに比べて、2.5倍の長さ。
長めの長風呂、長長風呂。
皮膚の表面は少ししわくちゃになっていて、
老廃物による微かなざらつきを感じるのです。